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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

アールヌーヴォーのポスター展

京都の伊勢丹の美術館「えき」で「アールヌーヴォーのポスター芸術展」が3/28まで開催中。
1890?1920年代までのポスターが並ぶ。
cam377.jpg画像は全てクリックすると拡大します。
クリムトの「第一回ウィーン分離派」展ポスターに始まり、アールデコの旗手の一人・カッサンドルの「北極星号」ポスターで終わる展覧会。

リストはいつもながら製作されないので走り書きだけで再現するしかない。
チェコ国立プラハ工芸美術館とチェコ国立モラヴィア・ギャラリー所蔵品で構成されている。

始めにウィーンと世紀末芸術の潮流として、分離派のポスターが第一回目からある。この分離派展は49回まで続いたもので、そのうちの20枚ばかりが集まっていた。
第1回はクリムトによるミノタウロスを倒すテーセウス。
2010030702.jpg  2010030704.jpg
検閲前と検閲後。二人の戦いを見守る戦いの女神アテナ。アテナは分離派の象徴キャラになる。
第5回コロマン・モーザー。翅の少年。金色が美しい。
2010030701.jpg
第9回アルフレート・ロラー。横向きの女立像。モニュメント風。ややあおり加減がいい。
第10回フェルディナンド・アンドリ。海浜。砂の意匠が巧い。
第14回アルフレート・ロラー。腰を屈めた女が白い球を取ろうとする。構成が凄い。
第40回エルンスト・エック。白地に細い黒の縦じまに文字。阪神タイガースだっ!!
第49回エゴン・シーレ。テーブルに着く読書の人々。
2010030703.jpg 建物が素敵。2010030705.jpg

同時期にハーゲン芸術家同盟展もあり、そのポスターも素敵だった。
第5回ハンス・ラツォーニ。オレンジの森の土と枝より下の幹、幹、幹。
第33回フェルディナンド・ミッヒ。丘の上に立つ一本の枝垂れ木。枯れ木のまま。
そして第何回か忘れたが、カレル・シュピラーの木にもたれる女の横顔がひどく魅力的だと思った。

一方、ミュンヘンでもミュンヘン分離派の活動があり、シュトゥックのモザイクによるアテナの顔のポスターがある。
わたしはシュトゥックはサロメや妖女たちの艶麗にして怪異な肖像がとても好きだ。

次にロートレック、ジュール・シェレ、そしてミュシャのポスターが現われた。
ジャンヌ・アヴリルなどの作品がある。馴染み深いものばかり3枚。
そしてミュシャはサラ・ベルナールのために描いたものが多く並んでいた。
cam379.jpg   cam378.jpg
椿姫、メディア、ロレンザッチオ、サマリアの女、ハムレット。
猫好きなスタンランの牛乳ポスターは以前から大好きな作品。
スタンランは「猫屋敷」の住人だったそうだ。

他にも楽しそうなミュージカルポスターが多く出ていた。
この頃はもうオペレッタではなくミュージカルの時代になっていたのか。
主にアルフレート・モラウという作家の作品が多く出ているが、なんとなく昭和30年代までの松竹家庭劇を思い出した。

ミゲル・ウトリリョ ムーラン・ド・ラ・ギャレット  風車を背景に女の顔。夜の社交場の楽しさがあふれている。彼はユトリロの父だ(としてモーリスにユトリロの姓を与えた)が、解説文は間違ってユトリロ本人のような書き方をしていた。
それにしても初めてその作品を見た。

チラシ裏面。cam378-1.jpg


ロダン回顧展ポスターがあった。渾身のバルザック像をあおり気味に載せたポスター。とても力強い。1902年。ウラジーミル・ジスパンスキー。
他にもムンク展、ラファエロ前派展のポスターがあった。
現在とは構成が異なるというか、コンセプトが違うので、なかなか興味深く眺めた。
また映画のリュミエール兄弟のポスター、自転車販売ポスターも楽しい。
MIKADOコーヒー、紅茶のポスターもある。
紅茶は清朝婦人が、コーヒーはアラブ男性がそれぞれカップを手にして、こちらをみつめるもの。
(このMIKADOコーヒーは軽井沢や鎌倉にあるお店とはまた違うみたい)

装飾版画というものは先般世田谷美術館の「オルセー美術館パリのアールヌーヴォー19世紀末の華麗な技と工芸」でも見たが、ウジェーヌ・グラッセ「不安」という作品が出ていた。
何かに怯えるように身を叢に隠そうとする女。横長作品。
これを見ると明治初の関西の油絵師(!)たちの作品を思う。櫻井忠剛は欄間飾りにするために横長の作品を多く残している。
こうした「装飾絵画」を見ると、人々が何を思って何を求めたかが判るような気もする。

珍しいのは版画家で日本に滞在したエミール・オルリクの洋画風ポスター。
香水のポスターで、薔薇に囲まれた美女を描いている。
オルリクにこんな絵があるとは、本当に知らなかった。

アメリカ人ウィリアム・ブラッドリーはイギリスやフランスのアールヌーヴォーを学習して、自国で作品発表を続けて人気があった作家だと解説がある。
牧神と少女が見つめあう作品は、遠目からもビアズリーの影響が濃いのがわかる。
芸術的に後進国だったアメリカがいつからオリジナル作品を生み出したか、わたしは知らない。

アールヌーヴォーの時代からアールデコへ移行する。

1924 ハンス・ヤケシュ ブルノ林業農業狩猟博覧会  アールデコ風な作品。横向きの女がガウンをまとっているが、そのガウンの柄が林業、農業、狩猟に関わる絵で、その線描は完全にアールデコだった。

他に海上輸送のポスターはシャレていた。
夜半、船員が部屋から顔を出すと、海から上がって来て密航しようとする二人の人魚と鉢合わせする。「アラ??」という感じがとても楽しい。

1927 ユップ・ヴィールツ 香水VOGUE  とても魅力的な線描と色彩だった。
cam380.jpg

ラストにカッサンドルのポスターがあった。
パリとアムステルダムを走る寝台特急北極星号。線路の先に大きな☆がペカッッ!
とてもかっこよかった・・・

とても楽しい展覧会だった。3/28までだから、もう一度くらい行ける気がする。
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コメント
ポスターは何度観ても楽し
この時代のポスターはオシャレでいいですねぇ。
絵もいいのですが、手描きのレタリングが好きです。
ウィーン分離派のポスターがたくさんあったのですね。
並んでいると壮観だろうなぁ。
それにしても阪神タイガースなポスター、気になります。
2010/03/07(日) 21:49 | URL | えび #-[ 編集]
☆えびさん こんばんは
> 絵もいいのですが、手描きのレタリングが好きです。

レタリングから色んな文化が見えてきますよね。
中世の修道院の文書、ラファエル前派の書物、ロシア構成主義、ゼセッション・・・

> それにしても阪神タイガースなポスター、気になります。

どーーー見ても「こいつ、阪神ファンやな~~」なポスターでした(笑)。

この展覧会は2007年に釧路で始まったものみたいですが、巡回がよくわかりません・・・
2010/03/07(日) 23:21 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
アールヌーヴォーは永遠の美ですね
4月の京都旅の下調べをしていたら、大好きなクリムト・ミュシャが!!喜びもつかの間、今月28日までとはv-12でも、こちらで展示の詳細を拝見させていただいて、見た気分を味わえました。有難うございます。巡回情報、私も気になります。NHK教育「日曜美術館」で紹介して下さると嬉しいのですが…。
私も昨年の世田谷美術館「オルセー美術館展」見ました!言葉不要なほどの圧倒的な美に感動v-238 夜行バス疲れも吹き飛ぶほど、美術館自体も素敵で、ゆったり半日過ごしました。…また行きたくなってきましたv-41
2010/03/14(日) 17:13 | URL | 88 #-[ 編集]
滅ぶことのない美しさ
☆88さん こんばんは

四月のいつに来られるかは存じませんが、4/1に4月分の京阪神と首都圏の展覧会開催情報などをこのブログでアップしますから、よければそれもご参考の一つにしてください。

世田谷のオルセー展は配置も良かったですね。演出が良いと効果が上向くなぁと思いました。
ポスターですが、京都工芸繊維大学博物館にはシェレなどのポスターが常時貼り出されています。あそことサントリーミュージアムが国内では外国ポスターのコレクションが充実してると思います。
それとミュシャですが、堺市文化館(だったっけ)にミュシャの息子さん認定のいいミュージアムもありますよ~
2010/03/14(日) 22:30 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
No title
これは当たりでしたね。
千足先生の監修の展覧会は地味だけれど、
内容が濃いです。
私もポストカード何枚か買ってしまいました。
カッコよすぎの北極星豪とか。
2010/03/15(月) 22:40 | URL | meme #z8Ev11P6[ 編集]
☆memeさん こんばんは

> カッコよすぎの北極星豪とか。

そうそう、あれはもぉメッチャかっこよかったです。
memeさんが関西ハイカイ中にわたしは首都圏におったわけですね。
大阪歴博の記事を読んで「むむむ、行けと言うことだ~」と一人でほたえてました。
2010/03/15(月) 23:16 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
No title
遊行同志には垂涎物の展覧会ですよね~
うらやましいです。
ナンシーを訪れてヌーボーからデコへ宗旨替えしたワタクシ
ですが、この春オルセーで思いがけなくヌーボーと再開。
昔の恋人にあったように気持ちが揺らめいています。

で、ポスター。
大好きなんで、見られないのが本当に残念!!!
2010/06/23(水) 07:48 | URL | OZ #-[ 編集]
よだれ。
☆OZさん こんにちは
> ナンシーを訪れてヌーボーからデコへ宗旨替えしたワタクシ
> 昔の恋人にあったように気持ちが揺らめいています。

そう、OZ同志同様わたくしもヌーからデへ心変わりしてもたのですが、
こういう展覧会を見るとまさに
<昔の恋人にあったように気持ちが揺らめいています>
うぉぉぉです。

過去も現在も未来もカンケイなく生きるわたしはフラフラとまた・・・きゃっ。
2010/06/23(水) 12:39 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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