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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

妄言・いけばな考

生け花のことでふと思ったことがある。
剣山に花の茎を刺す。それがひどく官能的な行為に見えてきた。ナマナマシイ生物の命を断ち切り、そのしなやかさがまだ息づくうちに、その身体を剣に刺し貫く。
「舞踏とは生きながら突っ立った死体である」
土方巽は舞踏をそのように定義したが、生け花もまたその範疇に入るのではないか。

そんな苦行に近いような責め苦を受けながらも、花はヒトの手を借りて、生きているときよりもなお美しい様相をそこに現出させる。
そうして少しの時間を絢爛に生きて、後は無残な病み呆けた姿を見せる前に棄てられるのだ。

ある展示会で花を見ていた。何らかの訓練を受けたヒトの手による構成である。
強い照明、多くの観客、空気のよどみ。
花にとっていい環境でないことはわかっていた。
しかし花はそこに飾られている。
その花の前に立ちながらも、実際のところ自分の眼は花を見ているのかどうか。
花を通して何か別なものを見ていることに、気づく。
それが何かまではわからないのだが。

何を思うこともなく無心に花をみつめたいが、わたしの眼は何処か遠いところを見ているようだった。
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コメント
No title
おお、考えたこともなかった哲学的考察ですね。

生け花は一期一会の芸術であります。
お稽古で活けた、同じ花を自宅で生けなおすときですら
同じ作品にはなりませんから。

オーッホッホ、そうです、御明察!
ワタクシ、へっぽこ生け花教授。
2010/03/11(木) 21:04 | URL | OZ #-[ 編集]
OZ ist 生け花教授in瑞西
☆OZさん こんばんは
>生け花は一期一会の芸術であります

まさにそうですよね、大納得です。
わたしは全くのお素人さんでして、
わたしがいけたら花が気の毒。
そんな状態になりそうです。
花の花びら部分と茎とを見るうち、
なんとなくこんな妄想が・・・

ううむ、お花のお師匠さんでしたか~
(なぜかアタマの中に笑点のメロディが流れてきてるのは、ナイショです)
2010/03/11(木) 21:24 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
舞踏と生け花
そういえば、いけばな作家中川幸夫さんと
舞踏家大野一雄さんがコラボレーション
してましたねぇ。TVで観たのですが、
あれはすごかった。
まさに、遊行さんの言うとおり!!
2010/03/11(木) 22:02 | URL | えび #-[ 編集]
美の陰には凄まじい苦心がある
☆えびさん こんばんは

>いけばな作家中川幸夫さんと舞踏家大野一雄さんがコラボレーション

異種業種でありながらも、どこか魂の底で通じ合う・・・
そういうのってすごくかっこいいですよね。
わたしは大野さんのファンなんです。
それは見ていないのですが、さぞや・・・そんな風に思いました。

2010/03/11(木) 23:54 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
No title
私は剣山に花の茎を刺す違和感に耐えられなくなり、
いけばなの稽古を止めました。 鋏で切るまでが精一杯です。
2010/03/12(金) 21:21 | URL | 山桜 #-[ 編集]
No title
こんばんは。

今頃、東京の夜をお過ごしのことでしょう~

花と縁が深いので、フムフム拝読いたしました。
美しい花というものはない、といったのは小林秀雄だったっけ?
確かに鋏が入った瞬間、死への旅立ちのセレモニーの始まりです。
朽ちていくものへの参拝か、
それでも命あるままの姿で私たちの目を喜ばすその
形に陶酔を頂いているのか、
一瞬のことに酔いしれます。
様々な表現がある中、なんか和みたいジャン。
ってのが私のスタンスで、
厳しい花が生けられないことへのジレンマと
現実逃避行でもあります。

>いけばな作家中川幸夫さんと舞踏家大野一雄さんがコラボレーション

これはありえるでしょうねぇ。
異端の人のもつ激しい命の美しさ。
2010/03/12(金) 23:29 | URL | あべまつ #-[ 編集]
ただいま帰還
☆山桜さん こんばんは
>剣山に花の茎を刺す違和感に耐えられなくなり

そこに違和感を見出す山桜さんの目と、
それにエロティシズムを感じるわたしの眼。
(しかしその官能には何かが欠けているような)

土に触れる歓びを知る指、
土から遠く隔てられた身を撫でる指。

色々な違いを知り、そのことをまた考え続けてみたい・・・


☆あべまつさん こんばんは
>厳しい花が生けられないことへのジレンマ

流派関係なく「厳しい」花を求める心と言うものは、
どのようなものだろうか、と思いました。
花を生けるには覚悟と言うものが必要なのだ・・・
素人の私はそんな風に考えましたが、
ニュアンスが違うかもしれません。

日本人の精神性、文化、様々な事柄を含めてのことなのか・・・
2010/03/14(日) 22:21 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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