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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

フランク・ブラングィン

西洋美術館で開催中のフランク・ブラングィン展に行ったが、実は本当に知らない画家だった。
わたしは字を読むのが早すぎる欠点があり、よく見間違い・錯覚をおこしている。
フランク・ブラングィンという名もフラン・ブラン・グィンまたはブランク・インと見ていたので、到底人前で発音できない状況にあった。
そんな状況で見に出かけたのは、ヒトエに既に行かれた方々のつぶやきや記事に気合を注入されたからだった。
漱石「それから」にも絵のことがあるというが、「七の四」に表れる絵のことなのだろうか。
わたしにはちょっとわからない。
作中で代助は青木繁の「わだつみのいろこのみや」を思い出したりもしている。
彼の嗜好がなんとなくわかるような気がしたのは、この展覧会でブラングィンの絵を実際に見たからだろう。

チラシをみたとき、アメリカのパリッシュという画家を思い出した。
簡単に言うとロマンティックな構成と派手で明るい色彩とが、パリッシュを想起させたのだった。
ブラングィンは松方幸次郎と仲良しだったそうで、その肖像画を見たとき「ああ」と思った。
これだけは見たことのある作品だったのだ。
ホテルオークラのアートコレクションで見ている。
そうか、あの画家かとやっとわたしも納得がゆく。

見ていて心惹かれる作品も多いが、彼もまた「忘れられた画家」の一人だったのか。
アーツ&クラフツ運動に参加したと解説にある。
なるほどと納得する作品がいくつかある。

電灯のデザインなどを見ると「いかにも」アーツ&クラフツだと感じる。
実際かれのデザインしたキャビネットやイスなどはとてもすてき。
わたしは装飾性の強い家具が好きだから楽しい。
アールヌーヴォーのデザイン作品もいくつか出ていて、それが楽しかった。
絵を見るのもいいが工芸デザインを楽しめることは嬉しい。

海賊バカニーア 丁度「パイレーツ・オブ・カリビアン」が4週連続でTV放映するところなので、妙にドキドキしている。
海賊と言えばわたしにとっては「宝島」なのだが(「南無八幡大菩薩」の文字を書いた八幡船もチラッと思い出すが)、今ではすっかりあのばばちぃパイレーツが思い浮かぶ。
ここにいる海賊たちも爪が汚れていそうな奴らばかりである。力強さが色調の濃さにも表れていた。オールを漕ぐ腕の強さ。

海の葬送 船乗りの死。海へ帰る遺体。仲間の見守る中、粛々と儀式は行われる。
明るい陽光の真下で繰り広げられる厳粛な葬儀が強い色彩で描かれ、印象が深まる。
遺体は観客の視線の向うにある。もしかするともう海へ送られた後かもしれない。
ミイラ状態の遺体はそのまま海底へ沈んで行くのだ。

他に気になる絵を一言ずつ感想つけてゆこう。
cam415.jpg
白鳥  どことなくモーリス・ドニを思わせる。絵の構成がそんな風に見せるのか。
それにしてもカラフルな色彩と明るい影のつけ方に感心する。
浜の商い  黒人と白い建物のコントラストが激しい。
音楽  男声合唱・合奏。楽団。なんとなく日本の油絵風。「日本洋画」ではなく「日本の油絵」。
りんご搾り  男の子のかわいい姿がある。ぷくぷくしている。これは炭酸系りんごジュースになるのだろうか。アップルタイザー。
ラージャの誕生日の祝祭  象さんに乗っている。こういう絵を見てインドへの憧れが生まれてくるのだ。

この時代までの絵には強い日差しを感じる。
松方幸次郎とのつきあいが始まってからの作品は色彩が室内向けになったような気がする。

第一次大戦のときに作ったポスターなどは見るのが少し疲れる。
しかし松方と共に夢みた「共楽美術館」のためのワークスはとても楽しい。
美術館の設計デザインを見ていると、巨大な観音像らしきものもあり、花魁まで歩いているのにはびっくりする。シッダルタなら家出するぜ、のような生病老死な壁画も・・・

実は気に入ったのは日本の摺り師による版画作品。ブリュージュの修道院を描いた作品は朝バージョン夜バージョンがあり、どちらもとてもキレイだった。
作品が出来た時期は日本も新版画の時代だから、本当に名品が次々に生まれたのだろう。

山中の肖像  これにちをっとした感慨を抱いた。この山中と言うのは京都の美術商で、世界中に日本美術を供給した人なのだ。
彼の邸宅は青蓮院の真向かいにあり、現在はブライダル関係の施設とカフェとになっている。昨秋、「青不動」を見たときにその建物も見学し、撮影させていただいた。
(一般公開されているかどうかはしらない)

リトグラフで一枚とても気に入った作品がある。
若者の功名心cam414.jpg
ぼぉっとした軍艦が素敵だ。

他にルバイヤッドの挿絵もあり、それは一枚一枚全部見てみたいと思った。
5/30までなので、また行けるときもあるだろう。
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コメント
No title
海の葬送,、よい絵でした。厳粛な雰囲気で。
私の中では、船を題材にした、「メデューズ号の筏」「南風」に並ぶ名作になりました。
2010/03/27(土) 06:35 | URL | 一村雨 #-[ 編集]
☆一村雨さん こんばんは

> 海の葬送,・・・私の中では、船を題材にした、「メデューズ号の筏」「南風」に並ぶ名作になりました。

ああ、そのベスト3よくわかります!う~~ん、シブイ!いいですね~
わたしあの絵を見ていると勝手に音楽がアタマの中に流れてきます。
2010/03/27(土) 22:36 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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