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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ブリューゲル版画の世界

「ブリューゲル 版画の世界」初日の夜に出かけた。
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作品が面白いのもあるが、色んな工夫のある展覧会で、それがまたとても楽しかった。
ブリューゲルの描いた変な怪生物が場内アチコチを跋扈している。
出口そばにはそやつらのスタンプまである。
わたしが特に気に入ったのは二足歩行するサカナ。
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これを見ると諸星大二郎「栞と紙魚子」シリーズで古書マニア紙魚子の偏愛の書ル・コントス作「直立魚類」がここからキタのかと思ったり。

スケールの大きい虚構を見た、と言う感じがする。
描かれたものすべてに何らかの意がこめられているのだが、その意図も意味も意義も、実際のところ説明を受けなければ全くわからない。
しかしわからなくとも、その画面からあふれ出すタダナラヌ様相には眼が向くのだ。
寓意を読み取れずに楽しむのは、半分以下の愉楽しか与えられないものだということだが、それでも面白く思えるのが、ブリューゲルのエラサだと思った。

1555?6年のシリーズものは雄大な景観にキリスト教のエピソードを小さくつけていったもので、どこに改悛のマリアがいるやら、どこで聖ヒエロニムスとライオンが隠れているやら、イカロスの墜落現場の下方ではヒトビトの生の営みが繰り広げられているやらで、そこのところが妙に面白かった。

七つの罪源シリーズも細かに描き込まれ、イチイチ見ているとクラクラしてくる。
これらはフリーカードになり、アチコチでお客を待ち伏せている。
わたしは「邪淫」をゲットしたが、わたし的には「激怒」と「大食」を自分のキョークンにすべきやな、と思っている。
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一方「徳目」シリーズもあるが、やっぱりちょっと退屈だった。
天国より地獄が面白いのはいずこもおなじことか。
しかし「正義」がただの拷問シーンなのには笑った。
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ベルギーあたりのコトワザは実に多種多様で面白そうだが、覚えることはちょっと難しそうだった。
とはいえ、説明はなくとも「ああ、なるほど」と納得するものもいくつかあった。
人間の心理なんか、宗教・民俗・人種の違いはあっても、大差ないらしい。

今回初めて知ったことがある。
ネーデルラントやベルギーの中世の婦人たちが、頑なに髪を隠す被り物をしている理由。
そして花嫁になるその当日だけ髪を垂らせること。
色んな文化があるものだ。

眺めるうちに、三浦建太郎「ベルセルク」で世界が変わってしまったとき現われた「幻造世界」の見開きシーンがやはりブリューゲルを参考にしていることを思った。
諸星も三浦も絵のタイプは全く違うのに、ちょっとした共通点をみつけたようで、わたしは面白かった。

展覧会は8/29まで。京都のえき美術館にも秋に巡回がある予定。
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コメント
No title
ブリューゲルの奇怪な絵を見ていて、家畜人ヤプーの世界を思い出してしまいました。
2010/07/25(日) 06:29 | URL | 一村雨 #-[ 編集]
☆一村雨さん こんばんは

>家畜人ヤプーの世界を思い出してしまいました。

ワーッハッハッハッハッハッ(笑)。そうキましたか!!
わたし、あれは石森章太郎版と江川達也版をどちらも半分ずつまでしか読んでないんです。
原作は最初と最後だけ。
でも確かに世界観は似てるかも・・・
2010/07/25(日) 23:41 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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