FC2ブログ

美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

根津美術館「いのりのかたち」

新しい根津美術館に初めて出かけた。「新創」記念特別展第七部という状況である。
「いのりのかたち 八十一尊曼陀羅と仏教美術の名品」
日本・中国・朝鮮の仏教美術の優品を見る。
tou272.jpg

近年やっと仏教美術を楽しめるようになってきた。
関西に住まうため身近に寺社があり、日常も仏事に縛られることが多かったので、どうも「美術品」として眺めることが出来ないでいたのだ。
それから思えばこうして楽しめるようになったのは、大きな変化かもしれない。

釈迦多宝二佛並坐像  最近この二佛並坐像をよく見るようになった。右手を挙げているのが釈迦だとある。法華経に説かれる情景。なんとはなしにポンペイの壁画のようにも見える。
仲良きことは美しき哉、というのでもなさそうだが。

隋の頃の七連仏坐像がなかなか面白かった。
クリスマスのオーナメントのように見える。
・・・口から出るナムアミダブツをメザシやと思うわたしですから。

観心寺観音菩薩像光背  河内の観心寺にはいつか出向きたいと思うが、明治の頃の廃仏毀釈で流出したか、こんなものがここにある。
しかしどこへ消えたかわからなくなるより、こうして展示されるくらいの方がまだいい。

仏画で好ましいのを集める。
普賢十羅刹女像  平安時代の一枚。これはなかなか美人揃いで、以前から気に入っていた。普賢を乗せる白象の鼻先に二人の童子がいるのもいい感じ。
阿弥陀三尊来迎図  鎌倉時代。脇侍がどちらもたいへんな美貌で見ていて楽しい。
阿弥陀如来像  これはきっちり制作年とその理由が知れている画像。朝鮮の高麗時代1306年に王の解放を願って描かれた仏画。
真正面向きの大きな阿弥陀様のどっしりさに思いが込められている。
配色も日本のそれと違うところが興味深い。だいぶ変色したとは思うが、鮮やかな緑色と緋色の衣の取り合わせに民族の嗜好を感じるのだ。
tou273.jpg

三井寺展でなるほどと思ったのだが、仏のお姿を世に顕すには三次元の彫刻ではなく二次元の画像が尤もふさわしいそうだ。
だから仏像より仏画の方が尊ばれ、表に出ないことも多かったのか。

鎌倉時代の五大尊像を見る。不動明王だけ欠落しているが、あとの明王は達者である。元気で躍動感のある絵。
コワモテだが案外かわいい感じもある。

次の部屋へ行くと、長いものがあった。
善財童子の旅、鎌倉時代の絵因果経、十二因縁絵巻。
この十二因縁絵巻が面白かった。
言うてみればRPGのようなもので、出てくる鬼キャラがみんな可愛い。
主人公は次々と相手を降参させてゆくが、彼より「ぶちメカ」のような鬼たちが可愛いし、ときどき現れる美人系も面白い。
チラシには終わりのシーンが出ていた。
tou273-1.jpg
思えばこう言うのはモモタロウ同様、鬼側からすれば不条理な話である。
鬼の親玉が負けるのを、子分どもや動物たちが見守る図。
(でも実際は人生における苦悩の要因を十二種類集めてそれを克服する、という図らしい)

青銅器の部屋があった。
ここではわたし好みの表記「殷」で統一されている。
展示の配置が最高によかった!
饕餮くんたちがゾロゾロおるのです。
しかも真ん中にスポット展示という感じで、上蓋に人面ついてます的な饕餮くんが三体ばかりいるのが最高!可愛いなぁ♪
双羊尊は初見。美術館でもらった観覧券はその双羊尊をモティーフにしたもの。
絵だけで見たらアンデス原産アンデス在住ぽいが、実物はやっぱり殷な青銅器。
tou274.jpg

廊下に乾隆帝が大喜びしそうな宝飾時計があった。本当にきらきら。
ところでここの二階の柔らかなシールド?わたしのようなウカツな者にはちょっと危険かもしれなかった。

魅惑の大皿を楽しむ。
明代の呉須、青磁などが並ぶのを見るのは壮観だった。
日本のものでは鍋島が好きなので、それらを喜んで眺めた。
磁器の美しさと言うものは、他に替え難いものだ。
描かれた美しい絵柄をみつめながら、物思いに耽った。

最後の展示は茶道具だった。
「夕さりの茶」とは素敵なタイトルを選んだものだと思った。

大阪の逸翁美術館では毎回逸翁の残した茶会記を再現する展示が、随分前から続いている。
何年の何月に誰とどんな風に楽しんだかを細かに記した逸翁のおかげで、根津嘉一郎が雅俗山荘で機嫌よく茶の湯を楽しんだことを、知っている。
同じお茶仲間には畠山即翁、五島慶太らがいて、彼らの残した蒐集品をそれぞれの美術館で、見せてもらってきた。
そういう前触れがあるからか、一つ一つの作品を愛でるというより、ガラス越しにではあるが、「夕さりの」茶会を鑑賞する―――そんなココロモチでそれぞれを楽しんだ。

さすがにいい美術館だった。
行かれた皆さんが根津ネヅNEZUといわれるのも当然だ。
(なんでローマ字表記がNEZUなのかは知らないが)
「いのりのかたち」は8/8まで。
関連記事
スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア