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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

「写真絵はがき」の中の朝鮮民俗

高麗美術館で 「写真絵はがき」の中の朝鮮民俗 という展覧会が開かれている。
副題が二つある。
「1910年 日韓併合から100年」
「100年前への時空の旅 1900?1945」
行った日は2010年8月28日で、日韓併合の日は1910年8月29日だった。

政治的・歴史的なことをここに書かないようにしている。
わたしは自分が「面白い」と思ったことにしか反応できないからだ。
それが「日々是遊行」と言うことだと思っている。

美術館へはスリッパに履き替えて「こんにちは」と入ってゆく。
左手の展示室はちょっとだけ段差があり、そこに狛犬ならぬ虎がいる。可愛い。
その虎のお仲間のような石獣がいきなり現われた。

1912年の消印が入ったソウル景福宮の光化門あたりの写真絵はがきの拡大版があった。
石獣の上に少年が立っている。
「コドモニャマケルネ」とでも言いそうな石獣の顔つきがいい。
実を言うと、わたしもこういう石獣を見ると上りたいと思うことがしばしばあるが、さすがにこのトシでこのナリでやってしまえば、即通報されてしまう。
だから石獣は触るだけ・目礼するだけなのだが、やっぱりちょっとうらやましいと思う。
いい絵はがきだ。
tou386.jpg
その上には両班のご老人と、働くおばあさんと孫との2ショット。
皆さんカメラ目線なので、言うたらヤラセ写真ではある。

モノクロ写真に手彩色というのは昔広く行われた手法で、これがまたなんというか、ある種の良さがあると思う。レトロではなく「古臭さ」というのがピッタリの語感だが、それがまたなんとなくいとしいのだ。

こちらのチラシ上部には彩られた家族写真絵はがきがある。
tou387.jpg

もちろん写真絵はがきばかりではなく、イラストや版画に良いものが多いのも当然だ。
絵はがきセットの袋物にそんな佳品が多い。
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それから妓生(キーセン)のブロマイド風な絵はがきも実に数多く展示されていた。
鳥瞰絵師・吉田初三郎、日本画家・土田麦僊が妓生の美に深く惹かれたそうだが、彼女たちの清楚さは、21世紀の現在の眼から見ても、本当にきれいだった。
tou386-3.jpg
わたしが妓生を知ったのはやっぱり「春香傳」からだと思う。
それは俳優でエッセイスト・殿山泰司の著書に「朝鮮芸者を呼んでみんなで遊ぶが、『春香傳』を聴いてみんなシュンとなる」といったことが書かれていて、それを調べるうちに知ったのだった。
親に訊くと「妓生はオデコがきれいな形やないとあかん」ということだったが、実際ここに並ぶ妓生たちはみんなきれいな額を見せている。

吉田初三郎が大好きだった妓生の写真絵はがきをいくつか見る。
彼はその清楚な美に撃たれて、わりに長い間クニに帰らなかったらしい。
その吉田の朝鮮の地図が幾種かあった。
tou386-1.jpg
わたしはあんまり朝鮮の観光地を知らないが、有名な金剛山という地の案内地図が、特に素晴らしかった。
この吉田の絵図を見ていると、本当に金剛山へ行きたくなってくる。

立体画像が現われるステレオ写真装置をのぞく。
3Dのようなもの?・・・あんまりよくわからない。しかしそれは写真のせいではなくわたしのせい。わたしは3Dの「飛び出し」もあんまりわからないのだった。

日本で言えば道祖神にあたる地下大将軍・地下女将軍のチャンスンとソッテ。
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これらは中学の遠足の民博で見た。しかし文字の記憶がない。
ただ大学の頃に狂った夢野久作「犬神博士」には「天下大将軍・地下女将軍」と記されていたので、実物を知らないわたしはちょっとばかり混乱をきたした。いまだにどういうことなのかわからないままである。

百年前の映像も流れていた。活気を感じる。
そして船は行く そんな絵はがきもある。
tou386-4.jpg

この展覧会は本当によい内容だった。
図録もとてもいい。
10/17までだから、「また再訪できる」と、わたしはひとりごちている。

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