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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

あおひーさん「雨のかげぼうし」

9/8から9/19までアーツ千代田3331で開催された公募展・千代田芸術祭「3331アンデパンダン」に参加されていたあおひーさんの作品を見に行った。
元は中学だった建物がリノベされて、こうした空間になっているのはとても素敵だ。
京都のマンガミュージアム、大阪の精華小劇場などがその仲間である。

あおひーさんとあべまつさんのお二方のご案内で、現代アート素人のわたしも、そこに広がる数々の作品を見ることが出来た。
まず何より先に、あおひーさんの作品を見る。
あおひーさんは「雨のかげぼうし」と名付けられた五枚組の写真を出されている。
あおひーさんのブログにその様子がある

あおひーさんのお写真はひどく個性的だ。
被写体がいつも「かげぼうし」のように曖昧な形を見せ、それ自体の個性を殺しつつ、活きている。
人間だけではなく、花やベンチなどもそうである。
前回の個展で見た作品はやさしい色調をにじませていたが、今回は一枚だけ、かすかな色めを見せている。
後はふんわりしたモノクロである。
DMに使われた作品をあげてみる。
tou403.jpg
ソフトフォーカスのその像はたぶん、雨の日に傘を差しながら自転車をこぐ人を捉えている。
しかし「雨のかげぼうし」というタイトルにふさわしく、この像は「かげぼうし」であり、実体ではない。
あおひーさんが写した時点で、かげぼうしだけが活きて動き出してしまうらしい。
(像の本体はどこか遠いところに隠されているのかもしれない)

次にこちらは栞としていただいた作品である。
tou404.jpg
傘を差すひと。鞄を肩に掛けている。
キノコのようにも見えるし、幕末の股旅道中の旅人(たびにん、と呼ぶ)のようにも見える。
けぶるような影の先には少しばかり色彩もあるが、それはオーラのように広がっている。

会場の一隅、隣の白い壁が90度に寄せる場に、これらが集まっていた。
最初に展示された場から離されて、ここに集まったそうだ。どんな経緯があったかはわたしにはわからない。
しかし一つ面白いことがあった。

作品は直角を成す壁の端に飾られている。
その前の床にジャコモ・マンズーの枢機卿を思わせる彫刻が配置されていた。
その影があおひーさんの作品のかかる白い壁に延びている。まるであおひーさんの作品を応援しているかのように。
わたしはひそかに、そのことを喜んで見ていた。

長居は出来なかったが、わたしなりに多くの作品を見たし、わからないものは解説も受けた。可愛いと思う木彫作品にも出会い、「これが絵本なら」と勝手に物語を想像する絵画もあった。
そしてそれらを見た目で改めてあおひーさんの写真を見る。

不思議なくらい、他者の影響を受けていない作品だった。

最初、まだあおひーさんの作品を見ていなかった頃「どんな感じの写真なんですか」と尋ねると「ボケとブレの」と言われ、「森山大道みたいな感じですか」「そういう荒いのじゃなくて」・・・ソフトフォーカスで柔らかく、というのを聞いて、近代建築の撮影をメインに、構図や芸術性などは二の次に、記録記録記録を意識して、細部を執拗に連写する自分との大きな差異を感じた。

しかし実際に作品を目の当たりにすると、深い納得が生まれてくる。
とてもやさしい、やわらかい、ちょっとトボけた味わいのあるおしゃれな作品だからだ。

この展示は終わった。
しかし次は来月末に東京交通会館で、そして12月には銀座で新作の発表もあるそうだ。
それを楽しみにしている。
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コメント
No title
こんばんは。

素敵な記事を書いていただいてありがとうございます。

写真を発表するようになって2年。

最初の一年はモノクロ。その次でカラーを出して、さらにその先のモノクロ的なカラーに到達しました。

また、更なる先を目指して突き進みたいと思います。
2010/09/21(火) 23:14 | URL | あおひー #lpwSPwoU[ 編集]
☆あおひーさん こんばんは

> 最初の一年はモノクロ。その次でカラーを出して、さらにその先のモノクロ的なカラーに到達しました。

ほわっとした薄いカラーがきつい主張をしないところが、全体をやさしい空気で包むんだな~と思いました。
新たな進化を期待してます♪
2010/09/21(火) 23:54 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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