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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

田中一村 新たなる全貌

田中一村の作品を集めた展覧会に行くのは、久しぶりだった。
‘95年に高島屋で、'04年に大丸で開かれた展覧会はどちらも盛況だった。
中央画檀といった日の当たる場所に出ず、奄美大島で働きながら絵を描き続け、ぱったりとあの世へ行った画家のことを、NHK「日曜美術館」が取り上げたのが、最初のブームのきっかけだったそうだ。
TVというものは怖い。見るヒトをソソッてその場へ向かわせる力がある。
tou406.jpg

千葉市美術館についたとき、大行列なのを見て帰りたくなった。
しかしここが都内の駅前なら「サヨナラ?」だが、はるばるの千葉市美術館なのである。
駅から道に迷いながら延々と歩いてきた苦労を無にしてはいけない。
平日の昼過ぎ、どこから湧いて出たのかと言うくらい、コーレーの方々、主婦の皆さん方があふれかえっていた。

一村以前の頃、大正初期の南画が集まっている。
元々南画に関心がないので、見ていてもあまり面白いとは感じない。
しかし大正13年の元旦に描いた「白梅図」は中国ものの引用とはいえ、惹かれるものがあった。
実際、この時期でいいと思ったのは他には14年の「蘇鉄図」だけだった。
ゴロゴロした幹が集まった蘇鉄図。後年の軌跡を思うと、なかなか興味深いところがある。

やがて昭和5年「サヨナラ南画」という状況になる。
その直前の衝立の表裏どちらか知らぬが、牡丹を描いたものが、派手でキレイだった。
アゲハとオオゴマダラが牡丹の周囲を飛び交う。オオゴマダラを画中に描いたものは、他にあまり見ないので、いよいよ気に入った。

新緑虎鶫、桐葉に尾長鳥 こうした花鳥画が現われ始める。
伝統的な花鳥画とはやはり異なる色の合わせ方を見る。
新緑のその美しさは鮮やかに目に残り、少ない色遣いだと言うことを後から思い出させる。

不思議に浮かび上がるような南天図があった。
赤い実と青い葉が紙から剥がれて中空に現われそうな勢いがある。
これはよく見れば乾き方のせいで絵の載る紙が縮んでいるというか、張りを見せているから起きたことなのだが、それがまるで絵の効果のように見えた。
また、それがこの南天の絵にそぐうのが面白い。

妙な魅力のある絵があった。「仁戸名蒼天」とタイトルがある。ニトナ・ソウテンと読むらしい。ニトナは地名だということで、その広々とした青空の下に林が展開しているのだが、どこかこの世の光景とは思えないシュールさがあった。
野十郎や如鳩の描く風景とどこか通じるものがあるような。

奄美に移住してからの作品はやはり色彩や構図が一村独自のもので、「田中一村」作品だと既に意識に刷り込まれているため、これらが現われると、へんに安心してしまった。
しかし、田中一村だと思わずに作品群を眺めると、「出てくるのが早すぎた画家」だという気持ちが湧いてくるのだった。
これらの作品群が、どこか別の時代・別の地で生まれてたら、画家の生前に(賛美が)間に合ったかもしれない。

気に入った「白い花」の画像がチラシにあった。
サンシュユの白い花と緑の葉。
tou407.jpg
着物は着ないのだが、こんな柄の着物が欲しいと思った。

9/26まで。
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コメント
千葉で一村を観ること
NHKで最初に取り上げられた時は、
「着物柄のような絵」とか「単なるイラスト」
とか批判が集中したそうですね。それだけ
反発があったということは、影響力が強かっ
たということなんでしょうね。
それにしても、一村と千葉って、イメージが
合わないような感じですね。彼が千葉から
奄美へ創作の場を替えなければ、今の
人気もなかったかと思うと、やはり千葉の
美術館で一村を鑑賞するのも意味がある
ことなのでしょうねぇ。
2010/09/23(木) 17:22 | URL | えび #-[ 編集]
☆えびさん こんにちは
千葉の時代に描いた風景画がやっぱりちょっとこの世のものではない感じがしました。
本土を離れて描きたいものを描いていけたのは幸いだったんでしょうが、あのまま千葉にいたらどうでしたろうね。

千葉で見る意義 というのはなかなかムツカシイですね。
しかし普段からの千葉市美術館のがんばり具合を思うと、やっぱりここでよかったなぁとも。
2010/09/24(金) 12:42 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
田中一村
高校の大先輩です。
放映当時、消息がようやくわかったと同窓会報で話題になりました。
2011/04/16(土) 22:26 | URL | 飛行鬼 #91CvM.Pg[ 編集]
Re: 田中一村
☆飛行鬼さん こんばんは

> 放映当時、消息がようやくわかったと同窓会報で話題になりました。

あーなんかすごいですね。一村は今で言う断捨離して奄美に渡った・・・そんなイメージがあります。
しかし学校側も彼を把握していた、そのことにも「ほほー!!」です。
2011/04/18(月) 00:55 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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