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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

津田信夫 近代金工の巨匠

既に23日で終了したが、佐倉市立美術館の「津田信夫展」はたいへんよい展覧会だった。
この展覧会を知ったのは、七月の首都圏ハイカイの最中、京成電車内の車内吊りポスターを見たからだった。
ツダ・シノブ。名前にも記憶があった。
東京藝大美術館の所蔵品の中に素敵な鋳造作品を見ている。

木彫も好きだが、けっこう鋳造された彫刻も好きだ。
それが動物や装飾品などだと、いよいよ好きになる。
津田の作品は動物ものが多かった。
チラシやポスターに選ばれた作品はシロクマだった。
(尤も鋳造なので色なんかわかりゃしない)
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メタリックアートでも冷たさの感じない、温かな作品が会場に集まっていた。

大正から戦前の新版画運動の中で、都内の風景を捉えた作品がいくつもある。
日比谷公園の噴水を描いた作品は土屋光逸のそれが素敵だし、日本橋を描いたものはヌエットや巴水に良いものがある。
それらの風景に描かれている噴水の鶴、装飾柱の霊獣などをデザインしたのが、津田信夫だった。
tou419.jpg
惜しいことに戦時中の金属供出に日比谷の鶴は召しだされてしまったが、今日でも高速道路に覆われているとはいえ、日本橋の霊獣は活きている。
今までは特にどうとも思わなかったが、そうと知ってからは、この霊獣と仲良くなりたいと思っている。
(今度いっぺん通るときにナデたろ)

ここにあるのは「所在の明らかなもの」とチラシにある。かなりたくさん集まっていて、たぶん今までの津田信夫の作品展示の中ではいちばん大規模なものではないかと思う。

藝大の卒制あたりは人物像だった。
憂鬱の婦人立像  なにやら暗い面持ちの日本髪の女のヒトが、着物に手を入れて胃の辺りを押さえている。憂悶するヒトはみんなその辺りをよく押さえるというので、妙に感心して眺めた。

津田が一本立ちしてからの作品タイトルにナゾな四字熟語のものが多いのも楽しい。
こんなコトバよそでは聞かない、というものばかりのオリジナルな造語で、そのセンスがなかなか素敵だと思った。(夜露死苦とかそんな類ではない)
展覧会のリストは無いが、ナゾ語を集めた品名とその意味と題材とが書かれたリストが出ていた。

津田の作風はアールデコ+モダニズム&和派手orリアリズムというところか。
そのアールデコな作品を見る。

ラジエーターの装飾。大理石の天板の上にアヒルらしきものが置かれている。青大理石。
ラジエーター自体は透かしの青海波。旧朝香宮家のそれを思い出す。
・・・・・思い出すのも当然で、津田はフランス滞在中、アールデコ博覧会の審査員をしていたのだった。そのデコ博に朝香宮夫妻が見物に出かけて感銘を受け、邸宅をアールデコ様式で建てたのだ。

鋳造が多いが、磁器も色々出ていた。
これがまた可愛い作品が多かった。

寝子(ねこ) 朝倉文夫もニャンッとなるような可愛いにゃんこ。こういうのを見ると撫でたくなる。
狸  こちらは赤黒い釉薬が巧く混ざり合っていて、いかにも狸らしい色合いに見える。
大きい尻尾で、きょとんとした顔つきが愛らしい。

どうぶつ個体の作品が多かったが、花瓶に文様として浮かび上がる作品もある。

群蝶をモティーフにした花瓶には「交歓」と銘があったのもいい感じ。
筐体に氷上のアザラシというのもなんだかモダンだった。
山口蓬春のモダニズムな日本画のような。

フランソワ・ポンポンの影響を受けたらしい、とある。
ああ、あの・・・とシロクマの彫刻が思い浮かぶが、確かに納得。

それにしても鋳造は色の濃いものが多いので、普通の豹も黒豹もユキヒョウも区別が出来ない。
でもタイトルは「文彩君子」??「彩の王者」と解説がある豹像だが、どぉ見ても黒豹。

その豹やシロクマ(六難無敵・・・向かうところ敵なし)、鳳、ハヤブサ、獅子など勇ましいのが多い中で、仲良しな鹿ップルやモコモコの羊たち(吉祥錦錦・・・おめでたい織物!)他にカンガルーやウサギ像もあった。

コッテ牛に、どう見ても仲の悪そうな鷺たち、磁器で出来たぬめぬめのナマズなども面白いツクリだった。
とにかくいいな、と思う作品がとても多かったのだ。
予定よりずっと長居した。
tou421.jpg

またここにはパネル展示で、彼のほかの作品も出ていた。
前述した日本橋の装飾のほか、上野の国際こども図書館のエントランスの装飾、国会議事堂の装飾扉、ジェンナー像などが津田の公共的な仕事だった。

ずっと以前、山の手線内の「彫刻どうぶつ探検」をしたが、久しぶりにやってみようかというキモチが湧いている。
いい展覧会だった。
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コメント
No title
あれだけ薦められておきながら、結局行きませんでした。
巡回ないんですよね、きっと。

葉山は行けるのに、佐倉は億劫になるのはなぜなんだろう。
どこかでこの展覧会の図録見ます。
2010/09/26(日) 11:05 | URL | meme #-[ 編集]
☆memeさん こんばんは

そらまた残念ナリ。ぜひどこぞで図録をご覧なることをおススメします。

> 葉山は行けるのに、佐倉は億劫になるのはなぜなんだろう。

葉山はバスが長くて、そこに泣きが入りそうです、私は。
でも久しぶりに春江みたいし・・・彼の「孔雀」がもう一度見たいんです。
でもどうなんだろう・・・

10/16名古屋ツアー思案中です。
2010/09/26(日) 22:38 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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