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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

日本画と洋画のはざまで

山種美術館も今の地に来て一年になるそうだ。
特別展として「日本画と洋画のはざまで」展が開催中だが、数多くの日本画を所蔵する同館だからこそ可能な企画だった。
当初の地・茅場町で開館されていた頃からこうした意欲的な企画があり、それを思い出しながら見て回った。
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第一章 近代化の中の日本画
明治半ば以降、20世紀初頭の日本は欧米化政策に励み、列強に並んで恥じぬ先進国に成り上がろうと邁進していた。
だからこそ明治半ばの洋館には大きな風格があった。
とは言え個人邸宅の場合は、全くの洋館は表の建物であり、昔ながらの和の館が隣接するのが習いだった。
しかし片山東熊が設計した皇太子の宮殿(現・迎賓館)はそうはいかない。
あくまでも洋室だけで構成されている。

しかしその各室の装飾は、いまだ黎明期にあった洋画家らに任されることはなく、旧幕時代から活躍する日本画家や和の工芸職人たちの意匠が活きる場となった。
今回その七宝額下絵が出ていたが、いずれも花鳥画の名手たちによる作品だった。

そしてここから時代が進んで、大正からは和への回帰が見え、和洋折衷の道が広がりを見せはじめた。

・・・などとエラソーなことを書いたが、そんな時代の作品が集まっているのが、嬉しかったのだ。
実際に、やはりご維新から先、コレデハあかんと絵師たちも思ったか、新しい潮流を求めた。(だから栖鳳や春挙の風景画には従来にない新しさがあるのだ。)

珍しいところでは西郷孤月の台湾風景が出ていたが、この頃は日本領で総督府が置かれていた。イル・フォルモッサ 美しい島。
南方の湿度まで感じるような風景だった。
孤独な画家が、この台湾風景で何を見出したかはわからないが。

結城素明の巴里風俗シリーズが楽しい。
「パリ」に対して、洋画家と日本画家の意識の違いがあると思う。
だから洋画家の描くパリにはある種の強さがあり、日本画家の描くパリにはどことなくシャレた軽さがある。

小村大雲 東へ  高句麗の高僧の旅を思い、ある一家の引越し風景を描いた、そうだ。
美人妻の乗るクルマを曳くロバたちの悲しい瞳、童もロバに話しかけながら働かせる。
ロバも子供もたいへんである。しかし画家の発想のモトネタとこの出来上がった絵との関係性はどうも断ち切られているような気がした。

第二章 ヨーロッパからの感化

川端龍子 羽衣  タイトルだけを見て三保の松原の天女伝説を思い出した人は多かったろうが、あの龍子がそんなストレートな連想をさせる絵を描くものか。
見てギョッ。・・・なんでもミクロネシアのヤップ島(あの巨大な石のお金を今も使うてはる島)の美人の踊り子が踊りながら少しずつ海に入ってゆく、ことから着想を得たそうだが、エネルギッシュな踊りがこちらにまで伝わってくる。
南方系の美人は戦前の日本人男性のアコガレの一つだったそうだが。

チラシにも出ているが、華岳の「裸婦図」があった。
たいへん嬉しい。わたしは山種コレクションの中ではこの「裸婦図」、御舟「炎舞」、栖鳳「班猫」が最愛なのだった。

落合朗風 エバ  ルソーやゴーギャン風と解説にあるが、むしろ龍子や石崎光瑤の世界に近いように思う。女の顔は東洋風「ベラ」。(妖怪人間のベラである)。ヘビはなかなか賢そうだが、狡猾と言う感じはしない。
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第三章 日本画vs洋画
静物、風景、人物の対比がそれぞれ。
こういう展示は気軽に眺めることが出来るので楽しい。

楽しく眺めるうちに小出楢重「子供立像」と再会。小出は今ではとても好きな画家だが、以前は本当にニガテだった。ブリヂストンでの小企画「小出楢重の肖像」を見てからすっかりキモチが変わったのだった。
そしてこの子供の絵の解説を読んで、笑い出しそうになった。
今、損保に来ている「ヴィンタートゥール」所蔵のルソーの不敵な赤ん坊とこの子は、どうやらタッグが組めそうである。

第四章 日本画と洋画の交差
ここでは異様な作品を一枚見てしまった。

古径 静物  大正11年の作。チラシにはモノクロ画像があるが、それではこの怪異な感覚は伝わらないと思う。
黒い器の中に林檎だか梨だかわからない果実が納まっている。
そこに置いたのか、隠されたのか、なんなのかわからない。
奇妙な存在感がある。果実も決してその器の中に納まらぬ風情がある。飛び出してきそうな予感がある。
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第五章 劉生と御舟
東近美から劉生の「切通之図」がきていた。真昼の光を感じる一枚。
そして「炎舞」が暗い室内に飾られていた。
胸の奥がざわめいて、しばらくの間、そこに立ち尽くす。
小学生の頃から好きで仕方ない一枚だった。
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他に御舟のモズの子を描いたものがあったが、可愛かった。雀より目が大きくて嘴が鋭いのがモズだと認識しているが、本当はどうかはわからない。
御舟の絵ではモズも雀も斉しく可愛いだろうと思った。

11/7までだから、また見に行ってもよさそうな・・・
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