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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

都内で見た「東大寺」 東博と日本橋高島屋

都内で東大寺と言えば、東博の「東大寺大仏展」と23まで日本橋高島屋で開催されていた「東大寺の近現代の名品展」がすぐに思い出される。
東博ではこれも既に奈良へ還ったが、正倉院の宝物が期間限定で東京へ出てきていて、わたしなどは今秋2種類の「正倉院展」を見たような心持になっていた。

東博では内覧会で前期展示を眺め、今回こうして後期を楽しませてもらった。
わたしの大好きな纈染のオウムやゾウさんのハタ、縹の縷、銀壷(乙)がやはりよかった。
今年は奈良でも銀壷(甲)を見ているから、ツインどちらも一秋で見たことになる。
なにかめでたいような気持ち。
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丁度「家庭画報」11月号が東大寺の展覧会に絡んでの特集を組んでいて、そこには東大寺に長く勤めるお坊さんたちの思い出話などがあって、それを読んだことでいよいよ親しいような思いが湧いてきた。

そして東博では古代から連綿と続く東大寺の至宝を見せてくれたが、高島屋では昭和の大修理などに関わった人々の作品が並んでいた。
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東大寺を描く画家と言えば、まず第一に杉本健吉が思い出される。
以前に奈良県立美術館でも杉本の展覧会があって、東大寺、興福寺、元興寺などの様々な情景が描かれた作品を見ている。
今回も出品されていた「修二会」の一連の動きを描いた連作は、奈良を愛した画家が熱心に描いただけに、たいへん実感があった。
ダダダッと走る練行衆の動き、長い回廊を上がり来るお松明、その火の粉が散る様子・・・
ドキドキしながら見守るうちに、あの高揚感が胸のうちに湧き起こってくる。
「早く三月になればいい・・・」
そんな言葉がふと口をついて出てきた。

彼の描いた散華もずらっと並んでいるので、それを集める楽しみもあったろう、と考えると、こちらまでわくわくしてきた。

須田剋太の東大寺の絵もあった。雪の東大寺。絵の具と色紙のコラボレーション。
剋太は東大寺を何枚か描いていて、’87の「落慶法要」'84「東大寺 雪」は特に名品だと思う。彼は元興寺と縁が深いので、あのお寺にもたくさん書などがあった。

さて昭和の大修理の際に華厳経が拵えられたが、このチラシでは東山魁夷の夜桜の絵が見えるが、魁夷だけでなくその当時の錚々たる日本画家の作品が、経巻の冒頭を飾り付けていた。秋野不矩、堀文子、加山又造などなど・・・
この経篋は松田権六の監修したもの。
工芸品では他に北村昭斎の美麗な螺鈿ものもあった。
しかし今回初めて知った彼谷芳水という工芸作家の螺鈿作品は、本当に優美だった。

守屋多々志の「藤三娘」は即ち光明皇后なのだが、この絵ではまだ安宿媛(あすかべヒメ)と呼ぶほうがふさわしい、美少女として描かれている。

先に挙げた修二会、お水取りで忘れられぬのが青衣の女人である。
杉本健吉はそれも描いていたが、かの女の譚を芝居にしたのが「達陀」である。
この芝居は来月都内で演じられるのだが、南座の顔見世で見たとき、たいへん感銘を受けたものだった。

そういえば江戸時代の落慶法要図の屏風が出ていて、これは非常に面白い絵だった。
寺の外では物売りがにぎわっている。大仏は中ではなく外でまずお目見え、建物は建物だけで「おめでとー」状態で、胡蝶の舞楽が奉じられている。
こういうのは初めて見た。なかなか面白かった。

この展覧会は京都で見逃したので東京で見れて本当に良かった。
もう終わっているが、とてもいい展覧会だった。

追記:後年の東大寺の襖絵の公開チラシである。
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