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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

琳派芸術 第一部 煌く金の世界

出光美術館「琳派芸術―光悦・宗達から江戸琳派」の前期展に出かけた。
前期は「第一部 煌く金の世界」として光悦から光琳・乾山兄弟をメインにした展示がある。
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まず「琳派芸術」のロゴが可愛い。
派のサンズイが梅花になっている。
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こういうのを見つけるのが小さな楽しみになる。

1章 美麗の世界
光悦と宗達のコラボ作品が出ている。
蓮下絵百人一首和歌巻断簡、月梅下絵和歌書扇面、萩薄下絵和歌書扇面などなど。
宗達が金泥で花鳥風月の影を思わせるような絵を描き、その上に光悦が流麗な手蹟を載せる。
どちらも強い我を張らず、合致した優美な作品に仕立て上げている。
わたしはついつい絵の方を追ってしまうが、しかしここから書だけをなくすと、やはり何かしら物足りなさを感じるだろう。
絵と書の一体感の幸福。
それが光悦&宗達のワークなのだった。

宗達の扇面が並ぶ。扇面に描かれた美麗な絵。扇面と言う枠の中で活きる雅。
伝・宗達ということだから、本当には宗達工房の作品で宗達監修と言うことかもしれないが、それは別に不都合ではない。
美麗であることに変わりはない。
扇面散らし屏風に至っては壮麗な有様だった。
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先ほどまでの単品の扇面図がソロで歌う楽器だとすれば、この屏風はフルオーケストラ、もしくは大群舞の様相を見せていた。

2章 金屏風の競演
7つの金屏風がずらずらずらーっと並ぶ様は将に壮観。遠目からでもキラキラピカピカに見えた。
日本人はやはり金が好きなのだ。銀のシブさもいいけれど、金は格別なのだろう。
金は日本国土から生まれ出た鉱物なのだ。

京博、根津、出光の三枚の金屏風が一堂に会する情景、そこに佇む。
四季草花図屏風、あるいは草花図襖。
金地の空間に咲き乱れる草花たち。
目線を均一の高さにして右から左へ流す。果てに至る。
次に左から右へと戻る。季節の逆行。花が不思議な表情を見せる。
金地に開く赤い花の妖艶さにときめき、藍色の花びらに惹かれる。
小さい花から大輪の花まで斉しく綺麗だった。
伊年ブランドの壮麗な美を堪能する。

実際このあたりを何度も往復する人々を見かけた。わたしも行きつ戻りつして意識の底にこの美麗な世界を刷り込ませた。
全体像を把握してから個々の花々を愉しむ。
可愛い小茄子のふくらみ、ペルシャ絨毯を思わせるような赤い花々の集まり、小さく賑やかなスミレたち、黄色く丸いたんぽぽ・・・
そんな喜び方もこの三つの屏風から教わった気がする・・・

3章 光琳の絵画
大阪市美の燕子花図が来ていた。いつもちょっと遠慮がちに見えたこのやや小ぶりな絵が、ここでは自由に咲いているように見えた。
花を描いたものは、その花が展示された場によって、開いているかどうかを確認してしまう。

紅白梅図屏風  MOA美術館の姉妹だと看做していいのだろうか。可愛い梅が咲いている。
白梅は静かな咲き方だが、紅梅は京劇の「花旦」のような動きを感じさせる。よく咲いているから、というだけでない賑やかさ。

太公望図、禊図、白楽天図、と物語や伝承を描いた情景図屏風がある。
いずれも水に面した人々。
太公望は嬉しそうな眠たそうな、昔男くんは川の流れをみるのか、単に背を向けるのか、問答する白楽天vs住吉さん(仮装中)。
人々が好んだ説話をこうして絵にする。
それだけではなく、人の思わぬ構図にしてしまうところが、やっぱり光琳の巧さなのだと思う。

4章 琳派の水墨画
墨梅図 宗達  縦長の絵の真ん中にすぅっと伸びるまっすぐな枝。それを横切る細い枝。枝の配置がいい。
咲ききっていない白梅花というものは、どこか幼い少女のようで、静かな美しさがある。

神農図 宗達  しんのうさんは薬の神様なのでここでもなにやら草をかんでいる。(薬になるかどうかを自分で調べている←働き者)
着物は柏の葉っぱのようなのを着ているのがこれまたいかにも。頭には小さい角もあるが、なんで神様に角があるのか、ずっと前から不思議に思っている。
光琳の神農さんは目を見開きながら草をかむが、なにやら考えてもいるような顔つきだった。

竜虎図 伝・宗達  色白な竜はともかく、丸顔の虎が昔の日本のおっちゃんみたいで可愛い。柔道とか得意なタイプの。

竹虎図 光琳  このおとらさんはなかなか人気者で、よく見かけます。可愛い。

白蓮図 抱一  白い蓮が丈高く伸びている。どことなく鬼気迫るような一枚だと思った。


絵画ばかりが琳派ではない。工芸品には乾山というオオモノがいる。
やきものがメインの展示の時は別として、ほかの展覧会の時にもさりげなく展示されるやきものの名品たち。
今回もえりすぐりの京焼が集まっている。

赤樂兎文香合 光悦  卯年の始まりにいい。ススキが風になびき、ウサギが同じ方向に顔を向けている。招きではないがこのウサギも手を挙げているのが可愛い。

色絵絵替角皿 乾山  女郎花はわかったが、ほかの草花はわからない。わからないなりに綺麗だなと感じる。赤い木花、黄の草花、白い花びら・・・優しい絵柄のセットもの。
とても愛しい。乾山ブランドの魅力、というものを感じる。

色絵紅葉文壷 乾山sun148.jpg
大好きな壷。画像で一目惚れし、実物を見て、いよいよ好きになった一品。もぅ可愛くて可愛くてどうにもならない。色の取り合わせも形もサイズも、本当にベスト。イスラムタイルで少しばかり似たものを見たことがあるが、そのとき「あっ乾山写し!」と小さく叫んだことがあるのを思い出した。

透かし鉢も出ているので嬉しくて仕方ない。
芦雁文、竜田川。別な角度から見ると、また新しい楽しみが生まれる鉢たち。
飛ぶ雁が金で表現されているのもいい。透かし方が雲を思わせる。
一方紅葉流るる竜田川のほうは、ある種の欲望に駆られるカタチをしている。
そこに指を突っ込みたい・・・口にしたことのない、欲望。
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色絵椿文輪花向付 魅力的だと言うのはお世辞でも何でもなく、実際に欲しくて欲しくて仕方ない。

だいたい乾山のやきものは、どれを見ても何を見ても素敵だ。だから時々写しを買おうかと思ったりもする。
幕末の道八が乾山写しを拵えたのも、そのブランド力にあやかろうというのではなく、一ファンとして自分が「素敵だ」と思った先人のやきものを<作ってみたかった>からだろう、とわたしは勝手ながら信じている。
わたしも「腕に覚えあり」というヒトなら、乾山の写しを拵えてみたい。
そんな魅力が乾山のやきものにはある。

本当にいいものばかりが揃っている。
黄金の美麗さを堪能するだけでなく、光悦、宗達、光琳、乾山らの作家性も楽しめた。
ありがとう、出光美術館。

いいものを見せてもらっただけでなく、今回は本当に助かったと思ったことがある。
風邪薬の影響で不意に意識が飛びそうになったとき、休憩席でお茶をいただき、休めたおかげで、意識が定かになった。助かりました。
今回は二つの意味でありがたさを感じた。

次は2/11?3/21第二部「転成する美の世界」。
銀の愉楽を味わえそうな展覧会。
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コメント
No title
チラシのロゴまで気づきませんでした。なるほど、これがタイポグラフィというのかと実感しました。こういう発見をするとデザイナーさんは喜ぶでしょうね。
私も金屏風の前でくらくらしました。
2011/02/01(火) 06:00 | URL | 一村雨 #-[ 編集]
田中一光風?なロゴ
いいですね、琳派の「派」が梅の枝なのですね。

乾山の壺!私も好きです。それにしても
イスラムタイルの模様を見て「乾山写し」と
言うあたり、遊行さんらしいです。
どのくらいのサイズなのだろう?
ホンモノを見たくなりました。
2011/02/01(火) 18:58 | URL | えび新聞 #-[ 編集]
タイポグラフィ
☆一村雨さん こんにちは
わりにロゴとか見るの好きなんですよ。書体とかも。
梅のモティーフと言うのがいよいよエエですね。

あの金屏風空間、凄かったですね~
秀吉もなーんもなしの金ぴか空間でなく、柄つきにしたら利休に・・・
なんて想像して楽しいです。
2011/02/02(水) 12:50 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
形は田中風ですね~
☆えびさん こんにちは

> イスラムタイルの模様を見て「乾山写し」と言うあたり、遊行さんらしいです。

イスラムの蔦に締められそうです(笑)。

> どのくらいのサイズなのだろう?

小さくて可愛いですよ!金沢のジロハチの水あめとか、堺のかん袋のお餅とか入れたくなります。
ぜひご覧になってください!
2011/02/02(水) 12:53 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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