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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

大和文華館の中国・朝鮮美術

大和文華館の開館50周年記念名品展として今度は「中国・朝鮮美術」展が3/27まで開催されている。
東アジアに属する日本にとって中国・朝鮮は文化の先輩に当たる。
出藍の誉れという言葉もあるが、基の中国、朝鮮の古美術はやはり美しく、眺めるうちにすっかり心奪われてしまうばかりだった。
嘆美主義の初代館長・矢代幸雄の美意識にそぐう美麗な絵画・工芸品の数々を集めた上に、更に新しく呼び寄せられた名品達、その饗宴を楽しまずしてなんとするか。
様々な梅が咲く庭園を眺めながら美術館へ向かった。
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最初にいかにも北魏らしい白い石造が出てくる。
・石造浮彫飛天像 龍門出土  車の上の飛天?削れたり崩れたりしてても福耳がはっきりしていて、残欠部分はきれい。
・石造二佛並坐像  多宝と釈迦の2ショット。裏に悉陀太子と車匿童子の別れの場が刻まれている。
・石造四面佛 北魏?隋まで流行した形式ということで、上部へゆくにつれ細くなる。
そしてその頂点には山型のギザギザ飾りがついているのが可愛い。
玄関灯にこんなのを見かけることもある。見ようによってはゴシック風。
ちなみに刻まれた佛たちは笑っているのだった・・・

次に唐代の工芸品。
・白銅海獣葡萄鏡  白銅がきらめく。海馬が刻まれているのが西アジアらしい、と解説にあるが、西アジアを越えて更に西のギリシャ神話を思いもする。
海の泡から生まれ出るのは美神だけではないのだ。
・銅製貼銀鎏金双鳳狻猊文八稜鏡  サンゲイ、と読む。獅子のことらしい。瑞花が青光りして螺鈿のようなきらめきを見せている。
・銀製忍冬双鳳文輪花合子  スイカズラと言うのは本当はここに彫られた花とは違うものらしいが、工芸品にはだいたいそのスイカズラが定番なのだった。
アカンサスがギリシャで柱頭装飾になるのと同じようなお約束。
・三彩立女  唐代のふっくら美人。頬にはその頃の流行していた花鈿の化粧をしている。可愛い。以前の大和文華館案内リーフレットにはこの美人がにっこりしていた。

北宋?清朝とりどり。
・白地黒花鯰文枕  ナマズが二匹にんまりしながら泳いでいる、そんな枕。顔つきはビッグコミック誌のキャラみたいな感じ。
それにしてもナマズ柄の枕って一体どんな夢を見せてくれるのだろう・・・
・赤絵仙姑文壷  いろんなシーンでの美人たち。西王母を描いたのは桃と猿のいる図らしい。以前も見ているが、なんとなくこういう絵柄が取り巻く壷は楽しい。
因みに以前みたときの感想をこちらに挙げている。
・青花双魚文大皿  丸々した魚二匹。明代の青花(染付)は色も絵柄もとても好ましい。
・五彩花鳥文小壷  小さくて丸くて愛らしい。昔はチマチマしてるように思ったが、近年は五彩の小さい壷や小皿が大好きになった。
・黄地紫彩花卉人物文尊式瓶  黄土色の地に様々な人物がカラフル?に。
・五彩花鳥文大鉢 ナポレオン三世の皇后ユージェニーの所蔵品だったそうだ。見込みに鳥たちが派手派手しく飛び交っている。清朝らしい絵柄。

可愛いもの・面白いものが集まっている。
まず桃とリンゴが並んでいる。
・桃花紅合子  綺麗な色。
・蘋果緑盃  青リンゴの色。可愛い。
どちらも手の内で可愛がりたいような小さな器たち。
やがて打って変わって「面白いもの」が現われる。
・堆黒屈輪大盆  ぐりぐり。60cmの大きい盆にやや大きめのグリグリなのでじっと見てるとこちらの目もぐりぐりぐらぐらぐるぐる・・・
技法として面白いのはこの二点。  
・鎗金鳳凰唐草文稜花合子
・存星竜鳳文角繋合子  菱形の合子がつながっているのが可愛い。この技法はたくさん見ると飽きるが一つ二つ見るのは楽しい。

わたしの大好きな清水裂が出ている。
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今回は真ん中の猿と地をゆく鹿に注目した。猿は片足を梅においている、鹿は花喰いの様相を見せている。
何度も見ているが視点を変えると新しい楽しみを見つけ出せるのだった。

中国絵画を見る。
・文姫帰漢図  以前も見たが、今回は別れの場面が開かれていた。
漢民族と異民族とのはざまに生まれた悲しい物語は、いつまでも心に残る。
・萱草遊狗図/蜀葵遊猫図 伝毛益 南宋  sun310.jpg
今回初めて知ったが、右側の母猫と左側の格闘組の真ん中に消えつつある茶虎がおるのだった。
麝香猫ファミリー、子猫は四匹らしいが、目立つのはやはり噛み合うわるい奴らばかりだった。
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萱草のわんころたちのそばには百合の花が咲き、バッタとメンチ切り合うわんこもいた。
・竹燕図 馬遠  留まる二羽、飛んでくる一羽。可愛い燕たち。ちゃんと紺・赤・白の三色で出来ている。ツバメというものは中国では特に歌にも多く歌われ、望郷の念を掻き立てる存在のようなものかもしれない。
・秋塘図 伝趙令穣 北宋  チラシ。今回初めてここに二種類の鳥が描かれていることを知った。空を舞う鳥たち、塘の水鳥たち。柳は妙に疲れて見え、対岸の木々には靄がかかっている。秋の豊穣さはここにはない。
・雪中帰牧図 李迪 南宋  トットットッと歩くウシが可愛い。牛歩とは言うがこの牛は割りに足取りも軽やかで、頭に音符でもつけていそうだ。しかしその頭上には騎乗のヒトが手に入れたキジらしき獲物がぶらさがっているのだが。

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朝鮮の美術を眺める。
その中でも古新羅の装飾品などを見ると、繊細な作りで魅力的だと思う。実際に使うかどうかは別としても、やはり綺麗だ。

高麗時代のやきものには偏愛するものが多い。
ここでも優雅なものをいくつも見た。
・青磁九竜浄瓶  きっと九龍には意味があるのだろうが、わたしは知らない。日本神話にはヤマタノオロチという八つ頭のオロチが出てくるが、ヤツラは龍ではない。
ちょっと造形的にはうるさい瓶。
基本的に高麗青磁を酷愛しているが、特に青磁象嵌がたまらなく好ましい。
・青磁鉄絵孔雀牡丹文梅瓶
・青磁象嵌蓮池三魚文扁壷
・青磁象嵌辰砂雲鶴文合子
これらを賞玩したい欲望に駆られている・・・・・・・

・銅製銀象嵌柳水禽文浄瓶  まるで闇に浮かぶように見えた。銀象嵌というのは暗い魅力があるものだ、と思った。人の知らない時間に遊ぶ水禽たちを見たような気がする。 
・螺鈿葡萄文衣裳箱  以前から好きな箱。葡萄の表現がいい。実と細い茎と。
・螺鈿菊唐草文小箱  チラシ右下。新収品。高麗末~朝鮮時代初期に作られた一品。
繊細で精緻な造りをみせている。文句を言わない連続パターン。可愛いのだが、多少の苛立ちを感じてしまう。それはきっと日本の桃山時代の南蛮ものと同じようなパターニングだからかもしれない。

朝鮮の絵画を見る。
・楊柳観音図  高麗時代後期だが朱色はよく残っていると思う。この絵も以前から好きなもので、観音の足元にいる赤ん坊(善財童子)やハスの花が愛しい、といつも思う。
・葡萄図 李継祜  墨の濃淡で葡萄の色分けをしているのだが、葡萄の旨味まで表現されているのがすばらしい。黒色と薄灰色の葡萄。そっと口に入れてしまいたくなる。

80点近くの楽しみに加え、庭園の数ある梅たち、寒咲きアヤメらの出迎えもあって、本当に楽しく過ごせた。
ありがとう、大和文華館。
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コメント
何回も
 学園前で乗り降りしますが みに行ける時間が取れた日は改装で 閉まった日でした。
外から見ただけです。今度 いける日を楽しみにしています
2011/03/23(水) 08:23 | URL | 小紋 #-[ 編集]
☆小紋さん こんにちは
この大和文華館は所蔵品も素晴らしいですが、お庭がまた春夏秋冬たのしめる良いところです。
改装前はちょっとジャングル化しつつあった庭に「野猫」が潜伏するのを見たりもしました。
梅、椿、三春の滝桜の分け桜・・・。
ぜひおいでください。
2011/03/24(木) 12:51 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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