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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

京都国立近代美術館 春の常設展示

京都国立近代美術館の常設を楽しんだ。
企画で面白かったのが<日本画の下絵に見る「きったりはったり」>。
特別展でパウル・クレーの「きったりはったり」?「切って・廻して・貼って 切断・再構築の作品」?を見た後で、なんだか微笑ましいココロモチになった。
わたしはクレーを<楽しむ>よりある種の緊張を感じてたので、自分のホームグラウンドに帰った気がするのかもしれない。

8点全てが大正期の作品の下絵だった。
・中村大三郎 灯篭のおとど(下絵) 真ん中に重盛が座し、左右にハスの花を捧げ持つ女房が立つ。優美なおもての人々。本絵を知らぬのでゼヒ見てみたいと思った。
・都路華香 大下図「埴輪(別稿)」「埴輪」 数年前の回顧展で見て以来の再会。にこにこする老爺は変わらず、別稿では美人が立ち、本絵に選ばれた方は少年が立っている。
岡本神草 左「口紅」草稿 ・右「拳を打てる三人の舞妓」 「口紅」本絵は化粧する舞妓の妖女じみた表情に絡め取られたが、この草稿では普通の女のように見え、それはそれで新鮮な感じがした。
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一方の「拳を」はだいぶ前にこの作品が発見されたときか何かで、そのときに見て以来だと思う。

・岡本神草「春雨のつまびき」草稿 これも本絵を知らないが、草稿で見る限り、この玄人筋らしき女の顔はどうも浮世絵から来ているように思われた。
どうかするとこちらをトリコロシかねない顔つきを見せている。
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<春の名品選 「コレクションにみる春」>
こちらも近代日本画。やっぱり自分が近代日本画がいちばん好きなのを実感する。

・橋本関雪 朧夜白狸図  関雪ゑがくどうぶつたちは皆が皆、たいへんカシコそうな顔をしている。この白い狸もそう。寄り眼を見せながらクンクンと歩く。ヒトの罠から逃れようとしつつ。  
・菊池契月 桜  全体に淡彩というより殆ど白描に見えるほどの白さが目に残る一枚。切花の桜を投げ入れている大壺は、イスラームの壺のように思う。
・西山翠嶂 春霞  大画面に春が横溢している。人間世界のはるか上に広がる春霞。左端に大きく天女が描かれている。胸がとても綺麗な天女が。
・菱田春草 春山瀑布  斜めに走る瀧はまるでまっすぐな亀裂、もしくは雷鳴のようにも見えた。名前が「春草」であっても、わたしは彼は秋の景がいい、と思っている。
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・伊東深水 春宵  製作年未詳らしいが、わたしはこれは戦前の作ではないかと思っている。女の線にふわふわとした優しさを感じるからだ。戦後の深水の女たちはみんなとても強い芯を感じさせる線で描かれているように思う。
この女が玄人か素人かは知らないが、静かな艶かしさがいい。
・森田曠平 惜春「盲目物語」より 谷崎の小説の1シーンを描いている。右端に三味線を弾く盲目の弥一、左側にお市の方はじめ彼女の子等がいる。
舞う情景でありながらも、深い静謐さを感じる。それは人物の眼ヂカラに根付くものかもしれない。
わたしは森田の「物語絵」が本当に好きだ。どこかで彼の物語絵だけを集めた展覧会が開催されないだろうか。

工芸品では非常に綺麗なものを見た。
・堆朱楊成 乾漆木蓮図硯箱SH3B03920001.jpg
これも大正期のもの。おりしも木蓮が花盛りになりつつある今、こうした作品を見ると、それだけで嬉しくなる。
・楠部彌弌 葡萄文蓋付壺  昭和初期の作。色が綺麗。
・バーナード・リーチ 生命の樹  最初にこの陶板画を見たとき、本当に感動した。この陶板画をみていると、色んなことを考える。
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一本の樹を中心に鳥が集い、虫がうごめき、生命の連環が生まれる・・

洋画では初見のものが一点。
・須田国太郎 夜桜SH3B03930001.jpg
これは初めて見た。須田の重厚な色彩構成が夜桜<らしさ>を演出している。今回は印藤真楯の「夜桜」も出ているが、40年ほどの歳月の流れでは日本洋画の「夜桜」は――京都洋画壇の「夜桜」は――変化を見せないのかもしれない・・・

色々といいものを見た。5/22まで展示は変わらない。
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