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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

空海と密教美術展

東博まで「空海と密教美術展」を見に行ったが、地元の年長の知人友人たちには、このことは秘密だった。
東京で空海を、密教美術を見る、ということを言うに言えない状況にある。
「東寺でも高野山でも醍醐寺でも行ったらよろしいがな」
真顔でそう言われると「ハイ、そのとおりです」としか言いようがない。
関西の、しかも旧い娘(!)がわざわざ東京まで「地元の仏さん」を見に行くのは阿呆な行為だと思われている。

別に誰かに見られるわけでもなかろうが、わたしはそちらとは無縁な顔をして東博の本館へ入り、左へそぉっと曲がって、平成館をめざした。
金曜の夜間開館日、8/19の午後五時過ぎ、大雨の後の小雨の中、予感的中、いい具合の混み具合だった。

チラシを三種ばかり持っている。いちばん古いのはこちら。
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「来年夏、開催。」とある。裏は白。次に古いのは同じデザインに文字だけ変わって「今夏、開催。」となっていて、最下の開催日程欄の色合いが少し違うくらいだった。
それから見開き版チラシはこちら。
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「この夏、マンダラのパワーを浴びる。」とコピーがある。
そう、立体マンダラを体感できる構造になっていた。
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展覧会の音声案内は北大路欣也だった。
今ではすっかり犬のお父さんだが、彼は30年近い前に「空海」を演じていた。
わたしが覚えているのは航海中、嵐に襲われる船上で「風よ吹けーっ」と怒鳴っているシーン。CMか何かでここだけ観た。
友人は真言宗の学校に行ってたので、体育館で映画を見たと言っていた。

弘法大師行状絵詞の巻3を見る。渡海入唐図。船出するところ。これはたびたび東寺の展覧会のチラシに選ばれている。
実物を目の当たりにするのは初めてだが、その意味では馴染んだ一点。

今年は東寺や高野山に出かけたので、例年になく真言宗と接触してる。
また白鶴美術館でも「弘法大師行状記」を見ている。
いい予習になったと思う。

空海の書を見る。「聾瞽指帰」大き目の文字で綴られている。
立派な字なのは当然か、三筆だった。
好みかそうでないかは別問題として、立派な文字。
空海の文字のエピソードについては色々面白いものがあるが、そのことを挙げると他が書けなくなるのでパス。
わたしは逸話というものがとても好きなのだ。

大毘盧遮那経もあった。
大毘盧遮那・・・マハー・ヴァイローチャナの和訳。
この名称を見ると高橋睦郎「善の遍歴」を思い出す。

御請来目録 空海撰・最澄筆 空海が請来したものはあまりに多すぎる。立派なものから、尾鰭のついた伝説まで。

高野山のお宝。
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海賦蒔絵袈裟箱 平安時代の作。磨羯魚?とかそんなナゾな魚類ウオウオな波間。立派な意味があるんだろうが、それより「楽しい」柄に見える。
兜跋毘沙門天立像 東寺から。地天女の掌の上に立つ。両横には尼藍婆、毘藍婆が並ぶ。
毘藍婆を見るとすぐに「西遊妖猿伝」を思う。
とにかくそれ自体を見るだけではすまない。大抵何かしらほかの事を連想する。
独鈷杵を始めとする密教法具を見ると、荻野真「孔雀王」を思い出すし。
(あれは裏高野だからこの法具でOK)

さて清盛のアタマの血を使ったとか言う血曼荼羅・・・見に行く前日にちょっとしたトラブルがあったそうだが、見る私は知りません。
大きい曼荼羅だけど、やっぱり蒼古さが目に付きすぎて、絵が判別できなかった。
それにしても瀉血という行為は欧州でよく行われていたが、頭の血なぁ。
ちょっとばかりホホエンでしまったのが「四種護摩本尊並眷属図像」 鎌倉時代に宗実写す、というシロモノだが、どう見ても皆で足を伸ばすストレッチ体操してるようにしか見えなかった。

西大寺、醍醐寺などの図像を見る。
9世紀の帝釈天像、象の目がカマボコ形になっている。可愛い。
十天形像 これも宗実の写しもので足が長い。足フェチなのか?
そういえば河内の観心寺にも一度行こうと思いながら、遠さに負けて出かけたこともナイ。

虚空蔵さんも一部お出まし。このうちのどなたかかおいでですのさ。
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さぁいよいよ本日のメインステージ、仏像曼荼羅、立体曼荼羅の始まりですね~~~
東寺からお越し願うた佛佛方・・・
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普段はこんな感じ。

まず上の特設スタンド席から眺める。しかし見下ろすのは不遜なり、と思ってステージへ向かう。
ぐるぐるぐるぐる~グルコサミンではない、ぐるぐる回って仏たちを眺め回す。
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皆さん承和6年(839)誕生。

女子の皆さんを誘惑した帝釈天さんは確かにイケメンだが、東寺の薄暗い中で見たときのイメージが強いから、今回はそう何も感じない。
東寺で端奥にいた四羽のガチョウに乗った梵天さんをじっくり眺めるのがけっこう楽しい。
降三世明王とは目があった気がする。
一番ウケたのが、大威徳明王騎牛像。三対ずつの手足に顔だからなぁ。
さぞ重かろうに。
持国天、増長天が来ていたが、彼らより踏まれる邪鬼たちが印象的。

ところで今回のチケットは仏様方のバストアップばかりで、下で踏まれたり乗せたりしているどうぶつや邪鬼たちはカットされておるのですね。
今度はゼヒこやつら「働くどうぶつ・働く鬼たち」をクローズアップしてほしい。
きっと楽しい展覧会になると思う。
薬師寺展、阿修羅展、と仏像の新たな魅せ方を東博は教えてくれた。
わたしは満足している。
だから関西に帰って誰かに訊かれたらこう言おう。
「360度ぐるぐる見れたので、なかなかない角度からコンニチハしましたわ。うん、やっぱり見れてよかったですよ」
決してここでは信仰の対象ではないのだから、眺め倒しても罪にはなるまい。
展覧会は9/25まで。

関連記事は以下にございます。

東寺ハイカイ
白鶴美術館春季展「国宝経巻と弘法大師絵巻」
高野山
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