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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

モーリス・ドニ いのちの輝き、子どものいる風景

損保ジャパンで「モーリス・ドニ いのちの輝き、子どものいる風景」を見た。
ドニと言えば優しい愛情に満たされた絵が思い浮かぶが、そんなに多くの作品を見てもいないので、実のところはよく知らない画家でもあった。

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「家族の肖像」と題された絵がチラシに選ばれている。
妻マルトと子どもたちの幸せそうな様子が描かれている。
父親がいないのは、描いたのが父親だからだと言うことを改めて想う。
父親であり夫であるからこそ、この描かれた人々を本当に幸せそうに表現できたのだ。

最初に職業画家として立てる前のドニの絵などがある。
父母を理想的に描いている。
父も母も横広な丸顔である。温厚で知的そうな紳士と婦人として描かれているのは、実は両親をヨイショするためだった、というのがちょっと面白い。

「車窓にて」は20歳の頃の作品で、クレーやカンディンスキーを思わせる作品だった。まだ画家「モーリス・ドニ」以前の作品である。

やがてドニはマルトというミューズを得る。
彼女と彼女の生む子どもたちがドニの世界の住人になる。
四ヶ月で死んでしまう最初の子どもを描いた絵が数点あるが、その子の死の前までは、何もかもが柔らかな光に包まれた、優しい空気が絵に活きていた。

ほどなくマルトは次の子を生む。
数年ずつ間をおいて子どもらが現れる。
いずれも横広な丸顔に楽しそうな微笑を浮かべていたり、元気そうな様子を見せている。
sun838.jpg

配色だけで感情を全て表現したり、分析したりは出来ないと思う。
しかし絵を見る限り、子どもらが幸せそうなのは感じる。
「バルコニーの子どもたち、ヴェネツィアにて」などは女の子たちのエプロンと窓の向こうの建物がピンク色で表現されていることで、和やかなムードをかもし出している。

「子どもたちの入浴」をみる。いわゆる「タンタン」に入る幼児。この女児を見ていると、「ハンニバル・ライジング」のミーシャを思い出す。
ぷくぷくした幼児ミーシャは疎開中にタンタンに入れてもらい、幸せそうに笑っていた。

ドニは宗教画も描いている。家族を絵の中の人々にして敬虔な信仰心をあらわにする。
そしてマルトはいずれの場合も聖女であり、聖母として表現される。
マルトは時に一枚の画面に多重出現する。様相を変えての出現で、ドニがいかにこのマルトをミューズとして尊び、愛していたかが伝わってくる。
マルトが死んでしまった後、ドニはリスベツと再婚し、二人の子の父となるが、リスベツは彼のミューズにはなり得なかったのか、作品から彼女の姿は見出せなかった。

子どもらを描いた作品の中で一番よかったのは「ボクシング」だった。
緑と茶色が印象深い一枚。幼い姉妹の楽しそうなボクシング。小さい拳が愛らしい。
「本気でやっちゃダメだぞ」と声をかけながら子どもらをせっせっと描くドニ。
そんなイメージを勝手に持っている。

和やかな、いい世界に触れた。そんな気がする展覧会だった。
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コメント
ハンニバル ライジング
 ハンニバルが こよなく愛したミーシャ
 映画になったんですか 知らなかった
 世界中のフェルメールをみてまわるなんて 大それた夢があることを知ったのも 
 「ハンニバル」です。 ブエノスアイレスのバーニーは 博士とスターリングを見て 
 最後のフェルメールを見ずに リオに飛びますね。
 フィレンツェの石づくりの街は どこからか 博士がでてきそうでした。
2011/09/25(日) 20:00 | URL | 小紋 #-[ 編集]
No title
遊行七恵さん、こんにちは。
損保ジャパンにいらしてたのですね。
次回お越しの時は是非お声かけてください^^

昔、ドニを知る前には、その名前の響きからも、描かれている作品の印象からも女性かと思ってたことがありあましたよ(^_^;)
確かに子供は可愛いものですけど、私に絵が描けたとしてもこんなに愛らしく表現はできないだろうなと思ったものです。
2011/09/25(日) 21:36 | URL | sekishindho #BXOyKBnk[ 編集]
ハンニバル ライジング よかったです。
☆小紋さん こんにちは

お好きですか!嬉しいです。
映画の感想はこちらです。

http://yugyofromhere.blog8.fc2.com/blog-entry-812.html

>  世界中のフェルメールをみてまわるなんて 大それた夢があることを知ったのも「ハンニバル」です。

「弐代目・青い日記帳」のTakさんは、とうとう二年ほど前に全制覇されました。
わたしはそのときもやっぱり、バーニーを思いましたよ。

>  フィレンツェの石づくりの街は どこからか 博士がでてきそうでした。

フィレンツェへは映画の前年に行ったので、薬局にもあの噴水にも行かず、残念なことをしたと思います。
博士の優雅さには、本当にときめくばかりです。
2011/09/26(月) 12:42 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
ぜひまた
☆sekishindhoさん こんにちは

ありがとうございます、セガンティーニのときにでもぜひ。

> 昔、ドニを知る前には、その名前の響きからも、描かれている作品の印象からも女性かと思ってたことがありあましたよ(^_^;)

メアリー・カサットを髣髴させもしますよね、子どもへの愛情などなど。
わたしはアタマではドニと認識してるのに、メモではいつも「モニ」。
・・・略しすぎですね(笑)。

2011/09/26(月) 12:46 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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