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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

二つの茶道具名品展 春翠、即翁の好んだもの

住友の近代の祖たる春翠は西園寺公望の実弟で、お公家さんの家から住友家へ迎えられた。
文化を大切になさる方で、この方のおかげで近代大阪の中之島は発展した、と言って差し支えはないと思う。
当初は煎茶道にその人ありと知られていたが、財界人との付き合いが増すにつれて、茶の湯への愛情も深まっていったそうだ。

一方、畠山即翁は身を起こしてから、三十代の若さで茶道に魅かれ始めたそうで、益田鈍翁という先達の導きよろしく、また逸翁小林一三という友も得て、茶道具の名品を蒐めることに邁進したそうだ。

そんな二人の愛した名品がそれぞれの美術館で展示されている。

泉屋分館の「数奇者・住友春翠と茶 住友コレクションの茶道具と香道具」から先に少しばかり書く。
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唐物文琳茶入「若草」 銘の「若草」の由来は知らないが、文琳らしい感じはわかる。この茶入には四種のお仕覆があり、中の嵯峨裂は大きな葉っぱ柄だった。

青磁袴腰香炉 南宋のもの。いかにもな色合いの青磁。火屋は菊尽くし。

祥瑞絵替沓形向付 明らしい明るさがある。波にファンキーな顔つきの鷺がいるのが特に好み。暦の上に立つ鷺もいるが、松竹梅、柳に鶴はまだしも、竹に鶉がなんとなくナゾ。

黒漆塗青貝楼閣人物模様茶箱 明代の技巧がよく出ている。遊楽的な気分が横溢する。大変繊細なつくりで、どの面を見ても楽しい。セットした赤樂の筒茶碗も可愛い。

仁清の型物香合がいくつか。このあたりは解説によると「春翠の公家趣味」から来ている嗜好らしい。私は特に白鶴香合が好き。

総織部梅文向付 可愛い可愛い!緑に縦の白線が入り、見込みに梅が彫られているが、そこに薄く朱が見えるような。桃山時代の可愛い食器。

備前船徳利花入「雪ケシ」 素朴な景色の味わいが深い。これに春翠は白椿・野梅・山茱茰をいけたそうな。いいセンスだと思う。

わたしは小さい香合が好きなので、今回ここで色々見れたのが嬉しい。
青磁桔梗香合、古染付荘子香合(蝶柄)などなど。

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最後に大正八年秋の「先考追善茶会」に出ていたものを見る。
十二代目の吉左衛門の法要。
買ったのに使えなかった茶道具が後継のものが追善法要で使う…
茶道具にはこうしたエピソードがあるのがいい。

12/11まで。

次は畠山記念館。
早速茶道具の逸話が展開する。
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伊賀花入「からたち」 これはチラシ表にもあるごつごつしつつ青みを見せるスグレモノの花入れだが、まがこれに逸話がある。
加賀から出てしまうことになったこのやきものを、加賀の人々は惜しんだ。
即翁が加賀の出だから許そうということになったが、加賀から出ることがとにかく惜しまれて、加賀の人々は送る際大勢で見送ったそうだ。
それを聞いた即翁は人を集めて正装し、恭しくその「からたち」を出迎え、受け取ったそうだ。

柿の蔕茶碗「毘沙門堂」 チラシ表上の茶碗。ごわごわ感が強くて私などは苦手だが、これは通人から見れば宝物なのだった。
一目見て好ましいと思いつつ買い控えた益田鈍翁は、その後この茶碗への執着に苦しむ。
購入した即翁は鈍翁の弟子筋だが、くれとは言えない。その後悔の念を徒然綴った書簡がともに展示されていた。
後に鈍翁が他界した後、即翁はそれを追善茶会に使ったそうだ。

ここでも茶道具の逸話が現れる。
やはり茶道具とその逸話とは、切れぬ縁の面白みがある。

蓬莱山蒔絵沈箱 鶴や亀が小さくデザインされている。貝の白い部位でこしらえられた鶴亀たち。こうした眺めもいいものだと思う。

茶道具の伝来の由来、道筋などを知るのも非常に面白い。
鴻池家伝来、藤田家伝来、三井家伝来、雲州蔵帳掲載、東山御物…
こうした来歴を見るたび、茶道具の歩んだ生涯の豊かさ・数奇さを想うのだ。
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古九谷青手波に菊文大平鉢 チラシではこの色の深さを追求できない…非常に鮮烈な美貌の鉢だった。見込みだけでなく縁周りの美麗さはちょっと他にない。

乾山のシリーズ物がある。
色絵絵替土器皿 これは出るたびに嬉しくなるもの。いや本当に乾山ブランドがいかに好まれたかが今でもよくわかる。ほしいもんです。

能装束が色々並ぶ。
薄紅地二重格子双鳳丸文厚板唐織 向かい合う鳥たちが丸文に封じられている。目つきの鋭い鳥もいれば、ほんわか系もいる。

加賀の出だけに「加賀宝生」を習うている。近代の名人の一人・松本長に師事して、後には宝生会名誉会長も勤めたそうだ。
お茶はやはり加賀の人らしく裏千家。

煙寺晩鐘図 伝・牧谿 チラシ表上。東山御物、現・国宝。もあもあした感じがよく出ている。日本人が彼を好んだ理由もよくわかる気がする。

白鳥図 狩野探幽 けっこう大きな白鳥だった。白い鳥といえば鶴ばかり思うが、既に古事記のころから「白い鳥」は現れていたのだ。

最後に茶会の懐石メニューを見ていてよだれが湧いた。
甘鯛大根、焙烙蒸し(松茸、銀杏、えび)ううう。

12/18まで。
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