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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

和紙に魅せられた日本画家たち 後期

明治神宮宝物館の「和紙に魅せられた日本画家たち」後期展に行った。
チラシ表の金地に罌粟の群生を描いた屏風はこの後期にでる、それが楽しみで来たのだった。
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異様に美しかった。この絵は昭和五年の作だが、パーク・コレクションなどにある、麦図屏風などを思い出した。右も左も不思議な静けさに支配されているが、どこか根に近いところでざわめいているような感じがある。不思議な美しさが息づいた屏風だった。
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最初に明治大帝の事績を時事と絡めて描いた連作競作が出ていた。
前期もそうだから、今期も期待が大きい。
なにしろ大正末から昭和初期の画家たちの競演なのだから。

江戸開城談判 結城素明 上座に座す勝海舟と、談判にきた西郷隆盛とを描いている。勝は写真で見ても、勝に直に近い画家の描いた肖像画を見ても、なかなかの好男子ぶりなのだが、ここでも端正な面立ちの男性として描かれている。
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岩倉大使欧米派遣 山口蓬春 船がいっぱい浮かぶ港。見送る人々。アメリカへ向かう一行は艀に乗って挨拶を返している。
知人の祖先がこの一行の一人だったそうで、それを聞いて以来、なんとなくこの絵を見ると、自分も見送る人の中にいる気がするようになった。

大嘗祭 前田青邨 昭和4~7年に制作された。立派な屋根の下に白衣の人々がいる。手順は正しく守られなければならない。

ここまでが連作のうちから選ばれたもの。

伊勢遷宮図(神宮式年遷宮図) 前田青邨 こちらも先の大嘗祭図に似ている。昭和28年の作。4年からなら丁度二回りの年の巡りに、この絵が現れた。
一枚は、林を行く人々が描かれ、二枚目は建物に入る列が描かれている。

不二 安田靫彦 夏の青富士を見上げる二人の巡礼。
明治末の絵だが、省筆でおっとりと彩色された絵なので、そんな時代のものには見えなかった。
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鞍馬 安田靫彦 sun955-2.jpg
ほぼ同時代の作。牛若丸、いや遮那王のような稚児が桜咲く山頂からこんもり生い茂る森を見る一瞬。

鞠聖図 今村紫紅 今昔物語に元の話があったはずだ。蹴鞠にだけ全てを捧げるある貴族のもとへ、蹴鞠の神様が鞠を猿に持たせて彼の元へ遣わす。
この貴族はその後、いよいよ名人になったという話。
猿たちがなかなか可愛い。
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椿と雀 今村紫紅 墨の濃淡がうまく使われていて、朱をそそがれた椿を、地上から見上げる雀が描かれている。

鵜船 富田渓仙 まだ出待ちの鵜たち、整列中。船は暮らし船で、生活する人々が描かれている。これは作者が対話などを旅行してから生まれた作品。
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老子 小川芋銭 牛に乗って西へ去る老子の絵は多いが、ここでは寝そべる牛の前に立つ姿が描かれている。墨の肥痩をうまくつかっていて、布の質感や牛の皮の張りまで感じる。
牛の目がこちらを見ているが、不思議な目つきだと思った。

肉案 小川芋銭 ここにもナゾな老人がいる。いや老人ではないか。盤山禅師が肉売りの商人と客との会話から「一如平等」を悟る、という話。
のひのびしたおじさんを描いている。持ち上げられた猪頭ものんきな顔つきに見える。
禅というのは、わけがわからないが、それが絵になると、面白味がある。

霜林群雀 今村紫紅 二羽、三羽、四羽・・・と木に止まるふくら雀たち。楽しそうな雀たち。まだ木の芽は固い。

晩春風景 森田恒友 モノクロの世界が広がる。墨のにじみの味わい。柳、白壁・・・
和紙の良さを改めて感じる一枚。この肌触りの良さは手に触れずとも、目に入り込んでくる。

王祥 平福百穂 これも和紙の特性を生かした作品。大きなフナかコイかを捕らえる中国人たち。嬉しそうな顔つきを見せている。薄墨の良さが出ている。

後赤壁賦 小杉未醒 放菴になる前の名だが、既に後の画風。鶴が飛ぶ。舵取りは居眠る。
のどかなある日。墨のにじみの面白さがよく出ていた。
乾いたような湿ったような感性。それが麻紙に出ている。

竹取物語 小林古径 絵としてはいつ見てもいいものなのだが、和紙の上に描かれたもの、として眺めるとまた違う感想がわいてくる。
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和紙というものはつくづく面白いものだと思った。
和紙に描く画家たちの技術と素材の合致と、もしくは反発と。
そして面白いことに、反発しあったものの方が強い面白味があるように思うのだった。

洋画家で出発した画家のうち、後に日本画へ転向した画家たちの作品を見ていると、非常に深いものをかんじる。
今回もそうした画家の作品を見れて嬉しかった。

和紙については前期に色々と書いている。展覧会は11/27まで。
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