美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **自宅でログイン出来ないので、現在「遊行七恵、道を尋ねて何かに出会う」で感想を挙げています。

酒井抱一と江戸琳派の全貌 後期

いよいよ千葉市美術館の「酒井抱一」展も終わり。
6日に見た後期展の感想をちょっとだけ挙げることにする。
(いつも長々しいからたまには簡素に)←え~~

酒井宗雅筆・抱一画 夢・蝶  斜めに「夢」の字があるところへ、シジミチョウが舞う。なんだか妙にかっこいい。映画のタイトルみたい。

全期間出ている両親の「佐野の渡り図」も乗完「秋叢草露図」もやっぱりいい感じ。特に黒アゲハがいい。

松平乗完 邯鄲枕図 中国独自の形の扇が枕と共にあるだけだが、これは一種の留守文様として見るべきか。江戸の人々はこれだけで何を意味するかを理解している。

酒井宗雅 石南花に山鳩 鳩の綺麗な青色がよく出ていた。エメラルドに玉虫色をかぶせたような。毛並みがリアルだった。

酒井致房 兎図 白兎が水に映る月を見る。猿ならその月を掬おうとするが、ウサギは水の月を見て望郷の念に駆られるのだろうか。

親戚さんの後は抱一作品。

文読む美人図 狆ころが足下にいる。月の下で読む文はなんと書かれているのだろう。

月次図 月の出待ち、うぐいす、卯の花、薬玉、団扇、梶の葉、白桔梗と女郎花、神木に双鳥、七五三の風呂敷・・・
十二ヶ月、いつでも何かがある。日本のカレンダーはこうした月次図からきているのかもしれない。

月に秋草図 女郎花がいい。しみじみと眺めていたい。

四季花鳥図  サギ、キター!!!・・・ついつい言ってしまうのは、親愛感からのことだと思ってください。
陽明文庫のこの名画はいつ見てもホント、いい絵です。
来春には京博で陽明文庫展があるので、また会えますね。
秋の隻にキジがいるのも、思えば他にあんまりみないかも。キジは春によく描かれているような。
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月夜楓図 デリケートな薄墨でシルエットの月と楓を描いている。

波図屏風  MIHO所蔵の波図。琳派らしい猫手のような波がドドドと来ている。波の表現一つにしても、琳派、浮世絵、狩野派と違うものだとしみじみ。

槙に秋草図屏風  槇の木の下に小さい桔梗や菊などが咲いている。松でなく槇の木というのもいい。個人的なことを言えば、うちの家の猫デコな庭の入り口に槇があるが、それを思った。細い葉っぱが揺れているようだった。

風神雷神図がいくつか。
出ました!出光在住のカミサマ。
前期にも出ていた「コンニチハー」な風神さんもいるし、太田の扇のカミサン方もいる。

河豚蘿蔔図 フグと大根がごろんと転がっている図。フグは腹を上向けて転がっている。笑ったな~冬の味覚ですな。

播州室津明神神事棹歌之遊女行列図  室津の遊女の行進。今はもうすっかり廃れたが、大昔の室津は大変なにぎわいを見せていて、遊女たちも全国的に知られていたのだった。
そんな風俗を描いている。

富峯・吉野花・武蔵野月  描表装がそれぞれの絵と関連深いのもいい。
富士に松、吉野には墨桜、武蔵野には秋草。二重に楽しめるのがいい。

雀児図 倣除崇嗣  籠に五羽の雀ちゃん。縁に二羽、下にもいる。目が離れ目なのがまた可愛い。

住吉神図 立派な風貌、気品ある佇まい。赤色紙の文字もいい。ちょっとこれは見ていてこちらの背筋も伸びた。

菅神御影 網敷天神だが、怒りの表情ではなく穏やかな笑みを浮かべたもの。にっこりしている。いい天神さま。

仁徳帝・雁樵夫・紅葉牧童図 平安風な仁徳天皇が民の竈の煙を見、十牛図な坊やが紅葉の下にいる。江戸人の意識というか認識というものを感じるなぁ。

倶利伽羅剣二童子像 下がり龍の巻きつく剣が炎を高々と上げて燃えている。その左右にはコンガラ・セイタカの二人組の坊やがいるが、いつものように赤かったり白かったり、弓矢を持つのはいいとして、どう見ても「龍の丸焼き」が出来上がるのを待ってるようにしか、見えない・・・

夏秋草図屏風 多くの人々に愛されている東博の所蔵品。チラシの表を飾っている。
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花の位置などを見ると、後から後からさまざまなことに気づいたりもする。
非常に興味深い名品。

夏秋草図屏風草稿 出光所蔵。こちらは今年始めの「琳派芸術展」でも大いに楽しませてもらっている。
草稿を見ることで、また新しい気づきがあったり、色々と楽しいことがある。
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雪中檜に小禽図 赤い実があるのは何の植物なのだろう。小鳥は地に降り立っている。
赤い実を気にしているのかもしれない。

通期で出ているが、やはりこの「月に秋草図屏風」はいい。構成が素晴らしい。こういうセンスのものを見たかったのだ・・・そう思う。
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抱一と羊遊斎の仕事は通期で出ているが、やっぱりセンスが光っているのを感じる。
琳派は贅沢系なアーツ&クラフツなのだということを感じる。

弟子たちの仕事を見る。
まず其一の作品を眺める。一言ずつ。

蝶に芍薬図 独特の綺麗さがあると思った。
萩月図襖 ピンクと白の花が愛らしい。月もいい感じ。
風神雷神図襖 元気いっぱいなカミサン方。襖の引き手も上品でいい。
龍上玉巵図 西王母の娘。琴を抱えて立つ姿。
雪中檜図 ああ、雪が落ちる・・・

芒野図屏風 靄のようなものが画面に流れ、そこにシャリシャリシャリとススキが盛んに生えている。これは非常に新しい感じがした。とてもかっこよかった。

雪中双狗図 ほっかむり風なカツギ柄のわんこが、白わんこと戯れている。可愛らしくて抱っこしたくなってくる。本当に可愛い。

朴に尾長鳥 こういう絵は色の実験も出来るのではないか、と思う。如何に綺麗な色を出せるか、それを使って表現することが可能か否か・・・色の美しさを思う。

能・狂言図を集める。
池田孤邨 小鍛冶図屏風 今しも稲荷が来るところ。「ソレ唐土に伝え聞く 龍泉太阿はいざ知らず わが日の本に」ですね。三条宗近。小学生のとき初めて聴いた謡曲はこの「小鍛冶」でした。

其一 白蔵主・紅花・白粉花 オレンジの紅花と赤い白粉花に左右を守られた白蔵主。ぽつぽつと一人で向かう姿がどこかわびしい。

其一 菊慈童 可愛い少年。この絵は以前にも見ているが、木目込み人形のような可愛さがある。

其一 道成寺 鐘入りの前、まだ静かではある・・・


ここからは他のお弟子や血脈を継いでいったものたち。
鈴木守一 かぐや姫図  平安風俗の女人が一人竹の上に佇む。雲上へ帰る瞬間を待っているのだ。
鈴木守一 桜坊図  ちりちりと赤い可愛らしい実がある。薄墨の濃淡で表現される桜の葉。いとしい、とてもいとしい。

市川其融 百鶴百亀図 うん。・・・きもちわるかったなぁ。

酒井鶯蒲 雀踊り図 妙に可愛いのは何だろう。名古屋のお菓子を思い出した。

池田孤邨 弁財天図・波図 えらく緑色が目立つ。左右の波は共に勢いよくしぶきを上げているが、弁財天をぬらすことはない。なにかしらめでたい絵だと思う。

松本交山 楓図扇 前期にはヒマワリ図の扇が出て、とても現代的で素敵だと思ったが、今期のこれは青地に緑という配色の大胆なもので、どうも学校で「原色の青と緑を絶対に合わせてはいけません」という教育を受けているのがアタマに蘇るなぁ・・・う~~ん。

野崎真一 四季草花鳥獣図巻 とがったみみづくがいた。それだけで嬉しい。

酒井道一 菊花盛花図 菊の表現が近代的すぎる。綺麗は綺麗。

道一 蓮華図 春のレンゲ。可愛らしい。

山本光一 檜に白鷺図 ここまできたらイツではなくイチと呼ぶべきかもね。
このサギ、なにやら忍者風な。樹上で様子を伺っているかのような。

光一 狐狸図 むーとしたタヌキに、ケッなキツネ。

結局長々と書いてしまったが、本当に見ごたえのある展覧会だった。
次は来春に京都の細見美術館に巡回する。
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