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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

世界遺産ヴェネツィア展

世界遺産ヴェネツィア展 魅惑の芸術 千年の都
このタイトルだけでも実に魅力的。
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今は両国の江戸博で開催しているが、やがて京都にも巡ってくるこの展覧会、京都もまた千年の都であるから、その<対決>をちょっとばかり楽しみにしている。
とはいえ三百年の都をないがしろにはしない。
江戸一番の盛り場であった両国の地で、中世から近世のヴェネツィアの絵画、工芸品といった文物を広く楽しめることは、それだけでも大きな喜びになる。

展覧会はカルナヴァルの様相を呈していた。

映像がある。
ヴェネツィアに欠かせないゴンドラに乗った者の目線での映像。それを見ていると、この展覧会の主催に東映やTBSの名があることに納得する。さすがに見事な映像だった。

また、各章ごとに設置されているプレートには煌めく装飾があった。小さなタイル状の飾りは玉虫色に光っている。
そして解説プレートは章によって赤いもの青い輝きを見せていた。

第一章 黄金期

1500年のヴェネツィア景観図がある。風の神・海の神の加護がヴェネツィアを取り巻いている。
人工の島であるヴェネツィアの繁栄と永続の願いをそこに込めて、優雅で強大な共和国の絵図を描いている。
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こちらはその少し前のヴェネツィアの眺望

チラシのサン・マルコのライオンもいた。
私が最初にこの有翼ライオンを見たのは、ヴェネツィア映画祭のトロフィーだった。
わたしが子供の頃はふつうの民放TVでもよく名画を放映していたのだ。淀川長治、荻昌弘、水野晴郎、河野基比古諸氏が現役で、映画の解説とちょっといい話を交えて語っていた時代。
そこからこの有翼ライオンを知ったのだから、今こうして絵や彫像を目の当たりにすると、様々な映画の情景が思い浮かぶばかりだった。
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それにしても15世紀末のこの彫刻は大きい。

ヴェネツィアの歴史を描いた作品をいくつか眺める。
総督の肖像画やオスマン=トルコとの海戦などである。
元首をDogeドージェと呼ぶのは知っていた。
中学の頃に森川久美の本で教わった。
彼女の描くヴェネツィア共和国は本当に憧れの地だった。
「レヴァンテの黒太子」を皮切りにしたヴァレンティーナ・シリーズは今も私の頭上に燦然と輝く。

イギリス製の天体観測リング、フランス製らしき天球儀、大きな地球儀、日時計、コンパス、海図・・・
海洋国家たることを改めて実感する。
地球儀で日本を探すと、蝦夷がなかったが本州などはほぼ正確なように見えた。
がんばれ伊能忠敬!とわけもなく応援した。

マルコ・ポーロの帰還 19世紀の絵画がある。皆さんに宝を見せるマルコたち。綺麗な婦人もいる情景。

東方見聞録の真の作者は獄中でマルコから話を聞いたルスティケロだが、彼の書き留めも出ていた。
近年の私はルスティケロの名を見ると、魚戸おさむの「イリヤッド」を必ず想う。
あれも大人買いしようと思いつつまだ手を出していない本だが、何度読んでも面白い。

総督帽があった。横から見ると烏帽子風にも見えた。
肖像画ではよく見ているが、実物を見るのは初めてである。映画「テンペスト」はワダ・エミが衣装デザインを担当したが、流され王たるミラノの公は映画のラスト近くになって、ゆったりとその帽をつけた。
あれくらいでしか、その質感がわからない代物だった。

十人委員会、財務官、緋色の長衣、宣誓書、委任状・・・
中世から近世のヴェネツィア共和国の実感がそこにある。

第二章 華麗なる貴族
赤が目立つ装飾があった。豪奢な香りがする。

婚礼の晩餐を描いた絵などを見ると、小さいながらも人の顔などがはっきり描かれており、どこか絵本風な面白さがあった。

一番スゴいのは17人もの「家族の肖像」である。
ヴェネツィアだけでなく欧州全土で「家族の肖像」がいかに大事にされていたかは、ヴィスコンティ監督の同題の映画にも示されているし、やはり監督の「ヴェニスに死す」の冒頭でも、ドイツ人アッシェンバッハはヴェニスのホテルに在りし日の「家族の肖像」写真を最初に設置している。
この絵に描かれた17人は女6男7子供4という内訳だった。
みんな妙にナマナマしくそこにいた。

神話の人物を描いた工芸品が並ぶ。食器や花瓶などの文様が幾何学紋様や花柄がメインになるのは、もう少し後生らしい。

ヴェネツィアグラスの名品もある。
このあたりは先だってサントリー美術館で堪能させてもらっている。
楽しい気分で見て歩くと、巨大なシャンデリアがあった。
ちょっとびっくりしたな。

婦人用雑貨の数々を見るのも楽しかった。
鬘用化粧箱や刺繍を入れたバッグなどは本当に可愛らしい。
コルティジャーナが使ったのかもしれない、大変足の高い木靴などもある。

ピエトロ・ロンギ様式またはその工房の風俗画がたくさんあった。見ているとわんこが多くの絵に出演している。
犬にも何か寓意を潜ませているのかもしれないが、調べるのはやめた。

第三章 美の殿堂
最後に美麗な絵画が集まっていた。

レダと白鳥 これはかなりHくさい絵で、ここまで描いたのをどこに飾っていたか、それがとても気になった。

凍結したラグーナ 史実に基づく困った事件を絵画に。湾が凍れば色々と困ったということが説明にもある。
ううむ、船も動かないのではね。

ヴィーナスとサテュロスとキューピッド ああ、またこれも。イタリーもフランスもこの時代は本当にヤバい~

驚き 裸婦が布をかき抱きつつ首を傾けるのがまた。

アモールとプシュケ 美少年のアモール。羽がとても綺麗。

二人の貴婦人 これまではコルティジャーナを描いたものだと思われていたが、近年の研究ではそうではなく、逆に貞淑な夫人を描いたものかもしれない、ということが言われるようになってきた。
どれがそうなのかは描かれている犬や孔雀から推察したり失われた半面からの想像らしいが、なかなかこういう謎は解けないのに、苦労されたなと感心する。
別に娼婦でも淑女でもどっちでもいい、とは人前で言えない感想だった。

優雅な気分でヴェネツィア展を見てあるいた。
実際に自分が歩いたのはもう十年前になるが、あのときより今の方が実感があるかもしれない。
12/4まで。
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