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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

中国書画 阿部コレクション/雲の上を行く 仏教美術2

大阪市立美術館の特集陳列「中国書画 阿部コレクション」「雲の上を行く 仏教美術2」はかなり良質な内容だった。
大阪市立美術館の骨幹が「市民からの寄贈」ということを思うとき、かつてのコレクターたちの審美眼の高さというものに感嘆せずにはいられない。

今回の見学は特別展「生誕120年 岸田劉生」展の併設展ということで、前後期とも軽く展示室へ向かったわけだが、前期もそうだが後期も強く捕まっている。

少しばかりの感想をあげる。
先に阿部コレクションから。

第一章 両宋の山水画
伝・李成・王暁 詩碑窠石図 三国志の曹操と楊修がある地で石碑を見て、という逸話を描いている。楊修は行者風な髪型で可愛い。ロバの目つきが面白い。碑自体は巨大亀像の甲羅の上に建てられており、頭には竜らしきものがとぐろを巻いていた。
この絵は何年前かに見たが、そのとき亀の甲羅に碑とは変わってるなと思ったが、数年後別な絵や写真でそんなものを見た。

伝・郭忠恕 明皇避暑宮図 明皇とは玄宗皇帝のこと。晩年の楊貴妃とのロマンスばかりクローズアップされるが、玄宗皇帝は若い頃は乱を制し王権を取り戻しただけでなく、様々な活躍を見せた英雄だった。また情に篤い人だったという話も残る。
そんな一代の英雄だった玄宗皇帝の夏の王宮は豪壮だった。立派な宮殿は夏にしのぎいいのかどうかは知らないが、この大きな絵を前にすると、気合いが入ってくるのは何故だろう。気宇壮大とでも言うか・・・
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牧牛図 楊の下で居眠る少年と、母子の牛が和んでいる様子。これを見ると大和文華館の牧牛図を思い出す。

第二章 唐宋の人物画と書法
伝・僧△ 字が出ない。五星二十八宿神形図 6世紀の絵図だが、一目見て固まった。
二十八宿の擬人化と思っていたが、どう見てもオバケである。
変な猪顔の馬に乗る変な顔のヒト?、どくろをかぶる美人が花々の上に座す、亀に乗るヒト、膝下が鱗でしっぽを持つヒト、ロバらしきものに乗る馬顔のヒト、インド人と牛のような取り合わせ・・・謎な風体容姿だった。

伝・王維 護法天王図 これまた不思議な人物まみれ。カミさまもオバケも中国は同レベルだからなぁ。こちらも群像図。神農みたいに柏の葉っぱのケープつけたヒトはなかか美青年だった、虎柄の褌のヒト、一人半裸で座っているのもいるが、一体なんなのだろう・・・

伝・呉道玄 送子天王図 赤ん坊のお釈迦様をだっこして父の浄飯王が大自在天の社に参詣に行くと、そこに祭られている神像たちが続々と動き出し、赤子に拝礼する、という図。この絵は8世紀のものだが、その線描がスゴい。現代のコミックのキャラの線のようにきれいなのだ。
もしくは山口晃を想起させられた。

宮素然 明妃出塞図 明妃とは王昭君のこと。画家に賄をしなかったため醜く描かれ、それゆえ異国の王に嫁入りさせられる運命になった婦人。皇帝の後悔も手遅れ、王昭君は駿馬に乗せられ、連れ出されて行く。
古来より悲話として伝えられ、多くの絵にもなった物語。
余談だが陳舜臣だけが「小説十八史略」において王昭君の人生はむしろ後半性において幸福だったという説を立てていた。省みられることのない後宮生活より、王妃として大事にされる異国の方が人として満足できる、という話だった。わたしもその説を採りたい、といつも思う。
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第三章 元朝の絵画
伝・銭選 品茶図 明代には闘茶という遊技も流行るくらいだった。これは茶売りの人々が立ったままグルリと並んで茶を喫している図。みんなわりと真剣な顔つきなのが面白い。

第四章 清朝皇帝の秘宝 石渠宝笈所載作品
散牛図 牛牛してる。実に多くの牛たち。水飲んだりくつろいだり。

伝・易元吉 聚猿図 先の絵が「ウシウシしてる」のに対しこちらは「サルサルしてる」図。中国らしい丸顔の猿の国。黒だけでなく白い猿もいる。

王淵 竹雀図 元代の絵。親子の雀がいる。子雀は親から餌をもらって嬉しそう。

第五章 明朝の書画
仇英 九成宮図 宮女図が多い仇英は当時の人気者で追随者も色々いたらしい。ロングで捉えた王宮の様子。後宮もあり、鶴も遊ぶ。人々は小さく描かれている。

第六章 清朝の絵画
寿平 花卉図冊 花を描いた画帳。ムクゲは何年か前に大阪市立美術館を始めとした市内のミュージアムパスカードの絵柄に選ばれていた。
他に蓮と藤があった。

八大山人、石濤ら人気のある画家の絵もあった。
こうして見ると、20世紀初頭の関西の中国書画コレクションの層の厚さは全くすばらしい。

次は仏教美術。

三井寺の室町時代の涅槃図はやや稚拙な感じがあるが、そこがまた味わいになる。青い唐獅子も白い象さんもひっくり返って泣いてます。

浄土曼陀羅図 三尊図で、左右の菩薩の美麗さにどきっとした。

不動明王(黄不動) 三井寺にあるのは秘仏中の秘仏だが、その模写。目は赤い。やはり滋賀に伝わる図。

愛染曼陀羅 四童子、四明王、十二天がいる。

大威徳転法輪曼荼羅図 フルカラー。チベット仏教のタンカを思い出した。

二尊院絵巻 紅葉の頃、狩り衣姿の貴人たちがいる。嵯峨天皇の行幸のおつき。

山王霊験記 頴川美術館との兄弟巻。話自体はよくわからない。門が焼かれ火が迫っているが冷静な人々。井戸でも立ち話。

六道絵 滋賀の聖衆来迎寺伝来。天道はのんきすぎ退屈そう。優婆塞戒経所説念仏功徳図では蓮の上に赤子がいる。

地蔵菩薩像 赤白の童子が控えている。不動明王と同じ立ち位置。お地蔵さんは思惟像。

融通念仏縁起 疫病が流行り、人々がお寺に集まっているところへ当の疫病神らが大集合する。牛風なものや鬼ぽいもの、目が多いものいろいろ。妙に可愛い。こやつらは、この念仏合宿中の人々の名簿を見てサインをし、だれもあの世に連れて行かなかった。
・・・そう聞くと、もしかしてこれはホトケさん側の謀略かとも思えてくる。

鬼子母掲鉢図巻 明代の絵。鬼子母神VSおしゃか様。溺愛の末子をお釈迦様によってガラスケースに入れられ、それを救おうとするが出来ない状況。この後に前非を悔いる姿が出てくるのだった。

他に木造で役行者像、びんづる尊者、大将軍坐像などがあったが、いずれもみんな怖い怖い風貌だった。

展示は11/23まで。
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