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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

コレクター藤田傳三郎の審美眼

藤田美術館の所蔵する名品を見た。
藤田傳三郎の美意識、というタイトルが冠せられている。
今回の展示はこうした名品と藤田家との関わりに触れながら進められている。
作品の解説も楽しいが、こうした逸話を知るのもまた大きな喜びになる。
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いつものように二階から見学。
砧青磁袴腰香炉 銘 香雪   いかにも南宋時代の青磁の色。これは単品で見るよりしつらえの中で見るほうが私には好ましい。香雪というのは傳三郎の号。
火屋は傳三郎により新調された花唐草。

継色紙 伝 小野道風  綺麗な文字の流れがある。読もうとするからその綺麗さを味わえないのだと、最近思うようになった。それでも「つくはねの」だけは読む。

茶入のよいのをいくつか。
唐物肩衝茶入 銘 廬庵 、田村文琳茶入 、古瀬戸肩衝茶入 銘 在中庵、唐物茶入 銘 野中。
ここにもそれぞれ逸話があり、それを知る前に見たときと知った後に見るとでは、やはり違いがあることを感じる。

藤田では珍しい古代中国青銅器も一つ出ている。
犠首饕餮分方尊   「殷時代」という表記がまたまた私の好み。黒光りしている。
ここには他にも「怪獣で~す」な感じの可愛い青銅器もある。

利休黒町棗 銘 再来  消息不明になっていたものが孫の宗旦の頃に戻ったことから銘がついた。こちらは明治33年に平瀬家の売り立てからの入手。

二重切竹花入 銘 よなが 千利休  銘の「よなが」には色々説があるが、竹の節間を「よ」と数えることにも由来があるらしい。そう書かれているのを読んでから、改めて眺めると多少節間が長めにも見えるが、標準がわからないので保留。
それで思い出すのが虚無僧。彼らは尺八を吹くが、その尺八も竹製なので「一よ切」とも言われていたはず。

紹鴎信楽壷形共蓋水指  上田宗箇伝来品とある。数年前に宗箇の茶という展覧会を見たが、武将の茶というのは厳しいものだと思ったことがある。今回もそう。

大伴家持像 上畳本三十六歌仙絵  烏帽子に手をやっている姿。なにか台詞をつけたくなる。

朝鮮唐津壷形水指 銘 廬瀑  廬山の瀑布という見立て。ドーッと垂れがある。実物を前にして「これは△△のようだ」ということから<見立て>が生まれる。
その始まりの逸話が大きな味わいになるのだった。

駿牛図断簡  鎌倉時代の絵巻は色んな理由で断簡にされている。なかなか美少年な牛飼いと優れた牛の絵。解説によると「群書類従」にこの牛飼いは弥生丸、牛の名前は長黒とあるそうな。きついめの顔立ちの弥生丸にときめいた。

本手利休斗々屋茶碗  李朝に生まれた、ととや茶碗全ての祖、全ての本歌。仕覆も美麗なものが選ばれている。浅葱小牡丹唐草緞子。目に残るブルーだった。
そしてこの名碗には豊かな逸話が残る。
朝鮮へ向かう織部はそれを手放すしかなかった。彼の知らぬ先に売買されぬようにと遠州が購入し、やがて帰国した織部を遠州はこの茶碗でもてなした。喜んだ織部は遠州にこの美麗な仕覆を贈ったそうだ。

交趾大亀香合  この大亀さんは藤田美術館の名品中の名品で、何かあれば必ず姿を現す。
既に江戸時代から番付でも横綱クラスだったから、これを手に入れたときの喜びと言うものは、想像を超えるほどかもしれない。とはいえ、傳三郎は気の毒にこれに実際に触れることなく、九日後に没している。

黒楽茶碗  銘 千鳥 ノンコウ  誰がなんと言おうとやっぱり樂焼はノンコウに尽きる、と思う。二つの△△を千鳥に見立てての命銘。
天気のよくない日、展示は蔵の中と言う環境で、この茶碗の前に立った。
いつもと違う趣があった。それは何かと言えば、普段には銀色に見える千鳥たちが、天候のせいでか金色に煌いて見えたのだった。
異様に美しい、と思った。

階下へ。
華厳五十五所絵  平安時代の善財童子の心の旅の絵である。第一詣の文殊との出会い、第五十三詣の弥勒との邂逅。剥落しているが、豊かな彩色が残っている。
みずら坊やと仏たちを彩る花々とが綺麗。

十住経巻第三(中聖武)  字体のサイズで大中小と分けられているらしい。それを知っただけでも・・・立派ないい文字。ところで一目見て「ああ、荼毘紙か」とはわかったのだが、この荼毘紙が実は骨粉ではなく、香木の粒を加えて精製されたものだとは、これも初めて知ることだった。
いいことを教わると、頭の中の薄皮が一枚剥がれる気がする。

玄奘三蔵絵 第7巻 第9段  先般奈良博で見たところ。再会が嬉しい。
玄奘が帰国の意志を示し、慰留する人々もやがて納得する場。床模様は亀のパターン。
庭には鹿もいる。

法華経巻第六残闕(扇面写経)  四天王寺所蔵分は時折見ているが、藤田のはあまり記憶にない。綺麗な造りだった。文字は見えない。
柏の木にウソが四羽と解説にあり、この木が柏だと気づき、鳥がウソ鳥だと知る。
柏の葉っぱは青から紅葉へとグラデーションを見せている。
金銀砂子にきらめいて、ふくよかなウソたちがくつろぐ。
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彫像・塑像などが集まる。時代ごとの像を楽しむ。
・法隆寺五重塔伝来塑像 羅漢・長者・童子 奈良時代  止利仏師の作だという話だった。妙にリアルな顔立ちである。
・千体聖観音菩薩立像 平安時代  鈍翁が六十体購入し、そこから五十体を傳三郎が購入したそうだ。非常にボディラインの綺麗な仏像が三体並んでいる。
・木造地蔵菩薩立像 快慶 鎌倉時代  色が綺麗に残っている。装飾もいい。

堆朱豊干寒山拾得文香合  ちゃんと虎もいる。猫のようにスリスリしているのが可愛い。  

茶杓のいいのを見る。
・茶杓 銘 吾友(松花堂添状)小堀遠州  松花堂と遠州と江月宗玩三人の友愛の逸話。
・共筒茶杓 羽渕宗印  節のない茶杓。これは格が高いという茶杓。 
・茶杓(茶瓢) 村田珠光 キュッ とした造形。 

可愛い香合がガラスケースに集まる。どれを見ても賞玩したくなる。
・黒屈輪唐花文香合  中央に花を置き、周囲に渦が並ぶ。
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・黒地青貝唐子蓮持香合  蓮を持つ唐子たち。月ではなく日が出ているのだが、黒地なので夜の太陽にも見える。
・染付拍子木香合  小さくて可愛い。打つことなどは出来ぬが、もし打てたとすればトントンと小さな音がするだろう。
・黄瀬戸根太香合 銘 面向  カタツムリの殻のように見えた。
・和蘭白雁香合  デルフト窯で生まれた白雁。ちょこんと可愛い。仁清の鶴などを想う。
・碁盤形蒔絵香合  松花堂伝来。これは面白い。ちょっとしたドールハウスの碁盤風。

最後に父としての藤田傳三郎の逸話がある。
黒楽茶碗 銘 太郎 覚々斎宗左 
黒楽茶碗 銘 次郎 覚々斎宗左 
表千家六代覚々斎宗左の手ひねりの茶碗を樂宗入が焼成したもので、覚々斎宗左は三人の息子らに分け与えた。
やがて時が流れ、傳三郎は三人の息子にこれらを授けたいと願い、次郎と三郎は生前に手に入れたが、ついに太郎は手に入れられなかった。
父の没後も長男は強く希い、とうとうこの太郎を手に入れることができ、今こうして次郎と共に飾られている。
が、赤樂の三郎は一人離れて、今は耕三寺に暮らしているそうだ・・・・・

12/11まで。
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コメント
美術館
NHKで藤田傳三郎の事知りました。ぜひとも行きたいと思います 行き方 アクセス 教えて下さい
2012/04/22(日) 20:52 | URL | あーちゃん #-[ 編集]
Re: 美術館
☆あーちゃん こんばんは

何処を出発点にするかはしりませんが、梅田からなら北新地で大阪城北詰。
環状線なら京橋から10分。タクシーなら「太閤園まで」。地下鉄なら長堀心斎橋線で京橋。
詳しくはサイトがよろしいかと。
2012/04/22(日) 23:52 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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