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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

大和文華館の中国美術コレクション展

2011年関西中国書画コレクション展に参加する展覧会のうち、なんとか半分は出かけている。行けなかったのは滋賀や三重の展覧会で、大阪・京都・奈良は機嫌よく見て回れた。

12/25まで開催中の大和文華館の中国美術コレクション展もその仲間の一つで、大和文華館の所蔵品の豊かさ・審美眼の高さとを満喫させてくれる。
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このコレクションは初代館長・矢代幸雄の収集品が中核を成している、ということだった。
『歎美抄』-矢代幸雄が選んだ美の精粋-という特別展が開かれたこともあるが、素晴らしい眼を持つ人の収集品を見ることは、その美意識の一端を共有させてもらえる、ということである。
思う存分、堪能させていただきたいと思った。
なお、こちらのコレクションは基本的に「金石や茶道具といった文人の趣味や茶人の好みが反映された分野の作品は少なく、宋画や陶磁器において、鑑賞性の高い逸品を所蔵」ということだった。

<矢代幸雄と工芸・考古の収集>
陶磁

黒陶朱彩饕餮文鐃 殷代の饕餮君はやはり可愛い。眼に朱が残っている。

灰陶加彩鴟鴞尊 前漢の遺物。対でこちらを見ているミミズク型尊。白ミミズク。可愛い。むしろ今風にも見える造形。

灰陶加彩誕馬 誕馬とは挽き馬のこととある。冥府への先導をする。赤い馬だった。南北朝生まれ。
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三彩立女 大和文華館の華の一人。ふっくら豊かな唐美人。長くこの美術館の案内リーフレットの表を飾っていた。
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白磁蟠竜博山炉 うねうねしすぎですね。ワダカマル(蟠る)という字がこの字なのを思い出した。

白磁円硯 一見したところ台座に見える。蹄型の足が周囲にフリルのように這うている。

白磁印花牡丹文鉢 綺麗。雷文の連続パターンに花。定窯らしい白さ。

青磁多嘴壷 これはデヴィッド・コレクションに兄弟がいるそうな。

青磁雕花蓮華文瓶 いかにも耀州窯なオリーヴグリーン。
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白掻落牡丹文水注 可愛い。小さくてもぎっしり、という風情。

白掻落牡丹文枕 こちらは枕のサイド部分に掻落。北宋らしい可愛らしさが横溢。

青磁鯱耳瓶 いわゆる砧青磁。

ここまで見ていると、本当にその時代その時代の、その出自らしさのある、名品ばかりが並んでいる。
中国陶磁のお手本のような名品ばかりなのだ。

五彩花鳥文小壷 チラシに選ばれた可愛らしい色絵の壷。高さも9cmほど。掌に載せて可愛がってみたい壷。

赤絵楼閣山水文碗 鴻池家伝来品。いわゆる雲堂手。のほほんとした風情がある。

五彩龍文透彫硯 「大明万暦製」の銘が入っているが、「清朝が近い」と感じてしまう造りだった。時代の好みというものを、文化の流れというものを、考えさせられた。

五彩花鳥文大鉢 これはナポレオン三世のユージェニー后が所蔵していたものらしい。内外に花鳥が描かれ、特に内側の黄鳥が可愛い。派手で楽しい。

金工・その他

細金細粒細工飾金具 セミ形、渦巻き型などの小さくて精密な造りの金具が9点ばかりある。帽子につけていたらしい。西方文化、北方騎馬民族の影響も、とプレートにあるが、確かにそんな雰囲気を感じる。

ほかにベルトのバックルなどや鍍金の簪セット、ライオンの親戚の狻猊や鳳などがまといつく鏡、獅子形鎮子などがある。どれもいい感じの丁寧な造り。
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銀製鍍金宝相華文大碗 これは綺麗。光の当たり具合で表情を変える。豊かな毛彫りにときめいた。

鳥型佩玉、12点の青玉帯飾、乾隆帝の時代に生まれた赤色硝子の皿などがまた、特によかった。長い歴史を持つだけに本当に素晴らしい作品が多い。

清水裂もある。大和文華館の所蔵品のうちでも特に私の好きなものの一つ。
このあたりは今年の三月の展覧会でも大いに愉しんでいる。
「中国・朝鮮の美術」展で。

<書画観賞と伝来の歴史>
近代以前

秋塘図 伝趙令穣
文姫帰漢図
萱草遊狗図/蜀葵遊猫図 伝毛益
竹燕図 馬遠
雪中帰牧図 李迪

これらは前述の「中国・朝鮮の美術」で見たばかり。
ただし全く同じ展示の方法ではない。
「雪中帰牧図」は狩野派の二人の絵師による模写も並べられていた。
今ではわかりにくくなっている左の絵の牛の顔つきなどもここではくっきりしている。

文姫の絵巻も今回は帰還途上の休憩の場と、都にたどり着き、なつかしい実家に戻ったシーンとが展示されていた。春には夫や子どもらとの別れのシーンが開かれていたが。

麝香猫ファミリーについては春に詳しく書いたから措くとして、今回はわんこファミリーがポスターに出演していたので、それをちょっとばかり挙げる。
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好奇心旺盛なわんこたち。可愛いなぁ。

近代以降

仕女図巻 伝仇英 1540年。人物はやや大きめ。青色の奇岩が置かれた庭で楽しく過ごす人々。仇英の描く宮女たちの世界の全貌をいつか眺め通したい、と思っている。

越中真景図冊 張宏 1639年。八枚のうち四枚が出ている。浙江地方の風景。ジャンクの急流くだり図、のようなものもある。イキイキした風景図。
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聴松図巻 王翬・楊晋合作 1700年。これは張学良旧蔵品だったそうだ。静かな林の中で。

乾隆帝の時代、功臣たちの肖像画を、皇帝は西洋画風なリアルな技法で描かせていた。そして漢文と満文とでその功績をも列記している。
そんな一枚がここにもあった。

参考に出ていた図版や本のうち、興味深いものがいくつもあった。
山中箺篁堂(山中商会の出版部門)の出した『古美術研究資料東洋之部』、国華社の『国華』など。
後者はコロタイプ印刷と共に、手間のかかる技法を使って、古美術品の再現に取り組んでいた。原画撮影してからネガのゼラチン膜を版木に転写し、さらにそれを彫るという技法を採ったのだ。
明治の人々の真摯な努力に驚いた。

12/25まで開催中。
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