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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

森村泰昌新作展「絵写真+The KIMONO」

高島屋の画廊では去年から、森村泰昌新作展「絵写真+The KIMONO」を各地で巡回している。
それがようやく難波の高島屋に来た。

高島屋は現在も「大呉味の市」と称して呉服の大販売を行っているし、かつては大々的に高島屋の呉服を押し出していた。
昭和初期のポスターを見ると、「浪花の悪魔派」と謳われた北野恒富の蠱惑的な画が多くあり、当時の婦人たちはおろか、現在のわたしたちをも深く魅了する。
今回、森村泰昌はその一枚「婦人画」を基にして、彼らしい変容―ヴァリエーション―をみせてくれた。

本歌「婦人」昭和四年zen129.jpg

あいにくなことにこの展覧会のチラシはないので、森村の美麗な姿はこちらの小さな新聞記事からしかわからぬが、実際に六枚の写真を前にしたとき、その深い官能性にときめいてしまった。
昭和初期特有の官能性、というべきものと森村独自の艶麗さに、観るこちらの意識が崩れそうになったのだ。
zen131.jpg

連作は六点から成っていた。
桃山調アールデコと言うのは恒富の本歌から。
その着物を再現し、絵と斉しく片肌を脱ぐ。絵の女と同様に。
白塗りの森村の鎖骨の辺りの艶かしさには、粟立った。
若くないことが、いよいよ艶麗さを増している。

「絵画になったわたし」「女優になったわたし」シリーズでの森村の美貌に幻惑されている人ならば、実際に目の当たりにせずとも、このときめきが伝わると思う。

他の着物を見る。
竹内栖鳳の名画「アレ夕立に」の白い花を意匠化した着物をまとうものがあった。
こちらはその本歌。zen130.jpg
顔を背ける舞妓は清楚だが、こちらをみつめながら膚を見せる森村は、忌まわしいほどに美しい。

高島屋史料館に所蔵されている、古装束をアレンジした着物をまとうものもあった。
あれが実際にひとの膚を覆うとこうなるのか、というある種の感銘も湧いてくる。

着物はそれぞれ色も柄も異なる。自ずと森村の豊かな耳隠しの髪に挿される櫛も形を変える。見事な合致を見せる着物と櫛と。そして「絵写真」の額縁も様相を異にする。

2003年に韓国国立中央博物館に所蔵されている近代日本画と工芸品の里帰り展が、藝大美術館と京近美とで開催された。
その折に現れた小磯良平の作品から材を得た作品もあった。
その着物はやはり高島屋の「百選会」の案内状にあったもので、小磯はそれを気に入り、購入してモデルに着せて絵に仕立てた。
その絵は今も韓国にある。
森村はその着物をもまとう。高島屋が復刻した、昭和初期のモダンな黒地の着物を。

他には彼自身が拵えた版画作品から想を得た訪問着があった。
それを膚につけている。
構成主義風京友禅、という名をつけられた着物である。

2012年の最初に見たものが、こんなにも艶かしいものだとは、歓ばしいとしか言いようがない。
今年もまたある種の希望が満ち満ちてくるのを、感じた。

展覧会は1//10まで。
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コメント
お正月
遊行七恵さん

明けましておめでとうございます。

小磯が購入してモデルに着せて描いた作品とは「日本髪の女」でしょうね。
いつも色んなことを教わり有り難いことです^^

今年も宜しくお願いいたします!
2012/01/04(水) 23:36 | URL | sekishindho #BXOyKBnk[ 編集]
よろしくおねがいします
☆sekishindhoさん こんにちは

> 小磯が購入してモデルに着せて描いた作品とは「日本髪の女」でしょうね。

そうです、それです。あの展覧会が良かったことを今も思い出します。
それにしても森村さんは素敵でした。
わたしは現代アートはニガテですが、森村さんだけは全く別です。
とにかく追いかけていたい方です♪
2012/01/05(木) 12:55 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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