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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

版画に見る印象派

八王子夢美術館で「版画に見る印象派」展をみた。
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これは巡回展で、田辺市立美術館では昨秋開催していた。
そのチラシはこちら。
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コローからボナールまでの時間の流れがある。
技法もエッチング、リトグラフ、ドライポイント、複合ものなどなど・・・
いずれを見ても深い魅力に満ちている。
特に気に入ったものについて書く。
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ミレーやコローの牧歌的な作品は画面そのものに物語性を感じることは殆どない。
しかし同じような牧歌的な作品であっても、シャルル・ジャック「羊飼いの少女」にはどこか物語があるように思えた。

シャルル・メリヨンの暗い作品が何点もある。
「死体公示所」などは他でもよく見かけるが、崩れた塔を持つ「医学校街22番地の小塔」にはあまり覚えがない。心を病んで没した画家。どの作品にも逃げ場がない。

ロドルフ・ブレダンはルドンの師匠だということで、「ルドンとその周辺」展(わたしが見たのは京都のえき美術館。三菱一号館に巡回)にも出ていた。
「よきサマリア人」にしても「シーザーとその捕虜たち」にしても、ひどく細密描写。

ルドン 「老騎士」周辺に飛び交うものは妖精なのか。
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ピサロ 川岸の木陰の浴女たち 白い膚の女たち。ひどく綺麗だと思った。白の美。

マネには<いい女>のモデルが多いと思う。「ローラ・ド・ヴァランス」が「異国の花(マンティーリャをかぶる女)」としても描かれているが、黒と白の美しさを堪能させてくれる。
黒も強い主張をせず、どこかに弱さがあるのがいい。
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「ジャンヌ(春)」は洋傘を差している。「オランピア」の版画もある。
そして「オランピア」の右端にいる黒猫の友達になれそうなのが「猫と花」。
猫ののどから腹にかけての白がいい。
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フェリクス・ブラックモン 「ヴィラ・ブランカスのテラス」にいるのは洋傘を持つ白い女と、彼女を描く黒い女。影が画家の女を黒く染めている。二人ともとても綺麗だった。

扉の上部 何故こんなドアにしたのだろう・・・
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今回、いちばんときめいたのは、ふたつの連作だった。
・アンリ・ファンタン・ラトゥールのはアドルフ・ジュリアン著「リヒャルト・ワーグナー、その生涯とその作品」のための挿絵シリーズ。
・アレクサンドル・スタンランのPデルメ著「女たちの歌」のための15枚のリトグラフ。
どちらも非常に気に入った。

ラトゥールの「ワーグナー」はそれぞれ「ローエングリン」「ラインの黄金」「マイスタージンガー」などの情景を描いている。
これらを見ていると、頭の中にワーグナーの音曲が流れ出してくる。
自分が以前はワグネリアンの端くれだったことも思い出される。
特に絵として好ましかったのは「タンホイザー」の「夕星」。星を見る女の後姿をみつめる男。深い心の流れが見えてくるようだった。

こちらは「リトグラファー」 それにしても本当に力的な連作だった。
とても欲しくなった。zen152-3.jpg

一方スタンラン「女たちの歌」はラトゥールのより11年後の1897年の連作。
こちらはパリの女たちの逸楽と風俗を描いている。
世紀末を実感する作品群だった。

ドガ 浴後(大) 理由は言いたくないが、好きだ。
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ルノワールはタブローもいいが版画もやっぱりいい。チラシの二人の少女たちは本当に幸せそうで、とても健全に見える。こちらも小さな喜びを感じる光景。

カサット マニキュア 母子。ママがマニキュアをするのを見ている女の子。もう少し大きくなればあたしも、と思うだろう。

アンリ・ゲラールは知らない作家だが、「日本の曲芸師」「日本提灯で飾られたマリオネット劇」はどちらもジャポニズムというより直接「ジャポネ面白い~」な感覚がある。
そのお仲間のリヴィエールの「時の仙女」などはジャポニズムの方。

アマン・ジャンの作品は大原美術館くらいでしか見ていない。西洋美術館にもあるだろうが、思い出せない。「髪」もまた艶かしい女の絵だった。彼がフランスからロンドンに移住していれば、と思うことがある。

一方、こちらの女はアマン・ジャンの甘さとは全く真逆である。
ポール・エルー 「花飾りのある三角帽」をかぶるのに、とても眼が怖い女がいた。

ロートレック、セザンヌ、ゴーギャン、ボナールらの作品もあった。
見慣れた作品であっても、こうして会えるのは嬉しい。
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ケル・グザヴィエ・ルーセル 「我に触れるな」・・・・・・なにやら怖い。ふと倉田百三「出家とその弟子」冒頭を思い出した。顔隠せるものとの対話を。

最後は幸せそうな作品を。
ドニ 母親に花の冠をかぶせる子ども
エドガー・シャイーヌ 若い女性の肖像
どちらも微笑ましい、優しい気持ちになる作品だった。

1/29まで。他の巡回先は知らない。
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