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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

子規の叔父・加藤拓川が残した絵葉書 明治を生きた外交官の足跡・後期

クリスマスの日に信太山の大阪府立弥生文化博物館へ「子規の叔父・加藤拓川が残した絵葉書 明治を生きた外交官の足跡」前期を見に行った。
そのときの感想はこちら
そして1/5~29までが後期展だったので、昨日出かけた。
展示替えのあった後期展はやはりかなり面白かった。
今回は拓川のヒトトナリや彼と仲良かった人々の文などを特に念入りに見て回った。
それらを少しばかり挙げてみる。
zen186.jpg

見えてくるものがある。
列国の風景写真などからだと、その地の文明の発達の様子と軍事力もわかってくる。
一方で、「未開の地」の<見られ方>も見えてくる。
大国に脅かされる国々が、武力ではなく外交力でしたたかに生き延びようとする様子も伺える。
過去のことではあるが、それらを自分の眼で確かめることが出来る。

明石元二郎という人がいた。「坂の上の雲」にも「大諜報」として一章が割かれている、凄いひとである。司馬さんはこういった暗躍する人を非常に魅力的に描く。「項羽と劉邦」にもその傾向がある。ファンとしてはやっぱりそのあたりの筆致にどきどきする。
実際の明石という人の書いた文字がある。
ベルギーに拓川がいた頃の芳名録にサインを残している。この人は今の百億円ぐらいを資金に、欧州で帝國ロシアの転覆を謀り、あちこちで暗躍し続けた。それは無論日露戦争の勝利のためと、その後の状況のためである。
ドイツのヴィルヘルム二世から「たった一人で満州軍20万に匹敵する恐ろしい男」と言われた。こういう人も拓川のところに来るとくつろぐ。
くつろいでノートに名を残したが、その見開きの隣ページには、片山潜のサインもある。
そうしたところが非常に興味深い。

ところで加藤拓川の系図があるのでそれを挙げる。
zen187.jpg
正岡子規の母の弟で、子規の妹・律に自分の三男を養子に出している。
律や姉・八重らの写真も色々とある。
また、若い頃からの仲良し・秋山好古一家との家族全員集合写真がある。
その好古からの手紙が面白い。
以下抜粋。なお読めぬ字は伏字にする。意味の掴めぬ字は直後に(?)を入れる。
「妻▲陸海軍の内▲シカZ(?)繁殖セシ徴候アリ コレデオレハナクナッテモ先▲ ・・・ユツクリ遊ビタイトハ生涯ノ希望ナリシカ・・・ママナラヌモノガ▲▲コレモ考ヘルト モツト充分ニ飲ミテ 妻(若年)ヲ困ラセテオイタラヨカツタコトカト・・・」
奥さんが妊娠したことを伝える手紙なのだが、繁殖には参った。謹厳な風の人がなかなか面白いことを書いている。

陸羯南からの絵葉書がある。エジプトのスエズ運河を越えたポートサイドからのもの。
チョコレート色の肌の女が被り物をずらして貌を露にする絵があったり、実景写真のものなど。

他に絵葉書ではアールヌーヴォー、豪華客船写真、風刺漫画、天使、子どもの愛らしいイラスト、薔薇絵、エーデルワイスの押し花入りのものなどがあった。
いずれもとてもすてきだった。

拓川は墓碑銘を自分で撰び自分で書いている。日付だけはなかったが。
充分生きて立派に亡くなった人だったと思う。
葬列者リストには西園寺公望や徳川氏の名前があった。
そうして長いときを経て、今多くの人々が彼の遺した足跡をみている。
とてもいい企画だった。
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