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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

春と吉祥 17世紀から20世紀の日本、中国の絵画を中心に

昨年から今年二月にかけて関西の中国美術を所蔵するミュージアムがリレー形式で次々と佳い展覧会を開き続けていた。
東近江の観峰館所蔵の近世~近代絵画などはその企画に出なかったが、八幡市立松花堂美術館で「春と吉祥」展として、そのあたりを楽しませてもらえた。
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庭園と展覧会を楽しむこの美術館の地番は「八幡市女郎花43」である。
すぐそばの道路標示には「月夜田」と書かれている。
女郎花にしろ月夜田にしろ、どこかしら雅な味わいがある。

今年は梅が遅れているので、庭園を楽しむのはやめた。
梅を見ぬまま椿、桜の時季に入るのかもしれない。
そう思いながら展示室へ向うと、梅が一面咲き零れていた。

梅は描かれたものだった。
しかしこのように多くの梅の絵が展示された中に立つと、自分が絵ばかりでなく梅を楽しんでいるような心持にもなってくる。
展示数は多くはないが、豊かな気持ちになる展覧会だった。
観峰館の所蔵する中国絵画と、個人所蔵の日本画など。
なお、文字化けしそうな文字はカナ表記にする。

倚窓観梅図 湯録名 清・咸豊11年(1861) チラシの清朝美人図。円い窓に倚れて外の白梅を眺めている。中の机は珍しい形の古木を切ったものか。香炉と本が並ぶ。
このチラシでは美人は遊ぶ雀たちを楽しそうに見ているように見受けられるが、実はこの雀たちは別な絵から飛んできたものである。狩野安信の屏風からちょっと抜け出て、清朝美人を楽しませているのだった。

チラシのそうした恣意的な拵えが、とても魅力的だった。
今回はこのチラシに引き寄せられた、といってもいい。
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墨梅図 程遠岑 清~民国初期 ふっくらした白梅が鈴なりの様子を描いている。墨は五彩を、と言うがそれを実感する。

折梅美人図 張福康 1911年 丸いおでこの美人が月下に白梅を愛でている。枝をそっと折ろうとしているらしい。すっきりした顔立ちのこの美人はどうした状況でここにいるかはわからないが、「絵になる」美しさを持った人だった。
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梅画賛図 松花堂昭乗 綺麗な書がある。古木に咲く梅。
このはなのとき わかすさく難波えは そらにしられぬ はるやこもれる
細い梅の枝と文字とがとても合うている。

梅図 中林竹洞 文政11年(1828) ああ嬉しい、竹洞の絵がある。竹洞の絵は頴川で見るのが多く、他ではあまり見ないので、よそで会うとなんだか嬉しくなる。
濃淡で遠近を表現している。そして濃淡だけで色彩も表現される。
この梅は紅梅だと思う。濃いものではなく薄紅梅。縦に縦によく咲いている。匂いの濃い梅だと思う。

紅梅図 高野侯 1931年 真っ白な紙に朱色の梅が咲き誇る。
清旭散錦云々と賛があるが、清旭とはこの梅の色をさすのかもしれない、と思うほどに清い紅梅だった。

布袋図 土佐光孚 袋にもたれて寝てる布袋。
他にも何点か布袋図があるが、あまりわたしは好まない。

松竹梅図屏風 狩野安信 チラシの美人と共演していた雀たちは、ここから出たもの。
私が見に行ったときには左隻が出ていた。半ばにある笹の上には目白押しの雀たち。雀の押し・・・寿司。←コラ。可愛い。白椿と南天の赤が可愛い。
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老松図 呉大チョウ 岩上に松。その松陰の下に小さい休み処。松風を聴くのも楽しいだろう。

中林竹洞 松竹梅三幅対 天保九年(1838) すべて遠景である。もやもやした白梅、深遠なる松林と滝、さやさや竹・・・ここには風の音があった。

花鳥図 干非闇 1943年 赤い花はくっきり線描の内に込められて咲き、その間の青い小鳥は概線を持たない。その対比がとても面白い。
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陳摩の二枚の花の絵があった。共に1929年の作。
椿図と杏花図。どちらも豊かに咲いている。

預兆年豊図 沈心海 1921年 タイトルの意味は本当にはわからないが、字面でなんとなく納得もしている。しかしここで描かれているのは、おじいさんと二人の子どもたちと、彼らが拵えている雪だるまならぬ雪像の霊犬らしきものである。
寒さもあるが、凍えはしない絵。
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花卉図 汪承業 オレンジの濃淡が花を描き分ける。下に水仙がよく咲くのも可愛い。

群仙祝寿図 蒲華 1900年 群仙とは水仙の群生であり、転じて群なす仙人となる。
奇岩と水仙。やや荒い筆勢。

富貴図 徐 綺麗な壷に松や花が生けられ、そばの器にはご飯が大盛り。しかもそこにはドライフルーツのトッピングが。これは「はっぽう飯」というらしい。めでたい食べ物。解説にはないが、地元中学生の感想文が添えられていて、そこに「はっぽう飯」のことが書いてあった。見知らぬ中学生に教わった「はっぽう飯」である。

富貴耄耋図(ふうきボウテツ図) 銭慧安 1880年 「耄」はオイボレではなく70才の意、「耋」もトシヨリではなく80才の意。そして前者はマオと発音し、猫(マオ)。後者はティエと発音し、蝶(ティエ)。だからここには富貴の花(=牡丹)と猫に白い蝶がいる。
尤もこの茶猫はおとなしそうな奴ではなく、機会あれば・・・
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花鳥図 朱真 1889年 今回の展示の中で最も彩色の濃い派手な作品。牡丹に派手な鴨ップルがいる風景。関係ないが、わたしはシカのカップルはシカップルと書くが、鴨もカモップルになるとは思わなかった。今度から使おう。

折梅図 厚之 くつろぐ美人。その脇には大きな梅木が大壷に生けられている。美人の手には折られた梅がある。なごやかな雰囲気の中で、どことなく退嬰的な匂いも感じる。

梅画冊 トウケイ 薄い薄い薄紅梅。むしろ白梅が酒に酔うたような。

初公開の大西浄清の釜があった。松梅地紋達摩釜。つつましく梅と松が浮かび上がる。鐶は松ぼっくりの形。非常に可愛い。彼は初代浄林の弟で、大西家歴代の名人として名高い。

他に時代不詳の硯がいくつも出ていたが、いずれも手の込んだ拵えだった。
楽しく眺めて、一足早い梅見を終えた。
展覧会は明日まで。
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