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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

畠山即翁の茶会、サムライたちの美学、古筆手鑑 三つの展覧会

今日から首都圏に潜伏します。
とりあえず今日は三つの美術館を回りました。
畠山記念館~静嘉堂記念美術館~出光美術館。
いずれも3/18、3/25までの展示。終盤を迎えただけにいずこも繁盛している。
外で拵える感想なので、画像が出ない。後日根性があれば追加します。

☆畠山記念館「畠山即翁の茶会」
茶会というタイトルにふさわしく、実際に即翁が愛玩した茶道具や茶会で飾られた品々が並んでいる。

堺色紙 伝・藤原公任 菊と小鳥が飛ぶ下絵。
春くれは やとにまつさく むめの花 君がちとせの かさしとそなる 
わかりやすくていい歌だけに、気持ちがいい。これは無論平安時代の歌なのだが、この歌の情景を思うとき、わたしは上村松篁「万葉の春」を想うのだ。
梅が「花の兄」になったのは平安以降。「花」は桜になった。
やどにまず咲く梅の花。可愛いなぁ。
かざし・・・昔の人は風流なことをしたものだ。

春景山水図 伝・岳翁蔵丘 横川景三賛 意外と大きな屋敷が山中にある。そこで主人の待つ姿が見える。門には少年が佇む。そしてその屋敷へ向かう高士と少年。
その情景を賛に書く。遠目だが少年たちがなかなか可愛い。

赤樂茶碗 銘・雪峯 今日偶然にも富士山を真横から見た。真横というのは語弊があるか、とにかく真っ白な雪の峯を見たのだ。その記憶があるからか、この光悦の赤樂を見たとき、なにかリアルな実感があった。「雪峯」と名づけた気持ちがストレートに響いたような気がするのだ。

古瀬戸肩衝茶入 銘・畠山 これは偶然「畠山」なのだが、当然即翁は喜んで手に入れたのだった。
四枚の仕覆がいい。紺地鳳凰唐草文金襴、畠山裂、徹翁金襴、畠山輪違金襴。いずれも可愛い。畠山裂は鴛鴦をモティーフにしているのだろうか。

古銅象耳花入 明代 雲州蔵帳にある一品。不昧公の手による「象」文字が可愛い。細い首の上に象がついている。小さい象さんでどちらもアジア象。

青磁桃香合 銘・三千歳 明代 漢の武帝の逸話から。挽家はティアドロップ型。鉄刀木と黒地に小さ字がある。

住吉蒔絵平棗 19世紀の作風だけに精妙さはかなりのもの。松はやや鬱蒼とするくらい。太鼓橋は松に埋もれかけている。

象牙茶杓 珠徳 ウコン色。なるほど確かに歯です。

芦屋梅花文筒釜 室町時代 寸胴のあちこちに梅花が可愛く刻まれている。耳は唐獅子。ちゃんとグリグリな巻き毛つき。どちらも阿吽とも言えず歯噛みしているらしい。

渡辺喜三郎の塗り物と黄瀬戸の向付をセットしたものがあり、写真が添えられていた。
このほかにも別な写真もあるのであわせて。
黄瀬戸には鯛昆布〆・岩茸・わさび・甘酢。懐石碗には若菜(わかめらしい)、水からしとごはん。
呉須赤絵金花鳥鉢 大原家旧蔵品。マナガツオの西京焼きが載せられている写真・・・・・
音羽裂蒔絵大提重 山本春正 内側には秋草図。強肴として、黄色い慈姑、緑と茶色をあしらった松葉かまぼこ、紅白のえび。めでたくておいしそう・・・!

祥瑞扇面文蓋向 明代 これは実によかった。外側に扇面が逆さ立ちしていて、蓋には丸文で色んな柄があるのだが、蓋に封じられた内側をのぞけば、そこは梅林なのだ。よくみれば松に竹もあるから松竹梅の林なのだが、どこか「秘密の花園」めいた林だと思った。
蓋に隠された林。その喜びを味わう。

利休好舟形銚子 鉄で舟が拵えられているが、そこにはちゃんと波文様が入っている。
蓋の取っ手はちゃんと碇。波柄の鉄の赤錆がまたなんともいい。波の動きから思えば、かなり高速船らしい。

千歳蒔絵硯箱 葦手。よく考えてある日本の風流な遊び。
紀貫之の和歌からのもの。

その貫之の切もあった。
黒髪の 色ふりかふる 白雪の まちつるともは うとくそありける
貫之が元よりある歌の返し
としことに しらかのかすを ますかがみ みつつぞ ゆきのともはしりける
・・・・・・・いややのぉ。

金地白梅図屏風 狩野常信 川はねずみ色に黒い線の川。おとなしい白梅が咲いている。足元にはスミレらしき草もあるが、まだ他の花はない。

可愛い目鼻の次郎衛門雛もあった。三月のお約束。

こういったところで楽しく見て終わる。3/18まで。


☆静嘉堂記念美術館「サムライたちの美学 新刀と刀装具にみる粋の心」
南北朝から明治43年の新刀と、ツバや小柄や印籠などなど。

河原遊楽図屏風の右隻が出ていた。
川魚を掬う人々、ヤマアラシの見世物、風流踊りの小屋などなど。
ヤマアラシの表情が存外はっきりしているのに気づいた。
檻の中にいて何かフーッと怒っているらしいが、杖の先の肉は食い散らかしている。
小屋の入り口に掲げられたヤマアラシの絵看板はリアルで、お客はそれを見て中に入ってゆく。風流踊りの花笠が綺麗。向こうでは佐渡島座の歌舞伎興行の最中。「うきよ▲▲大かぶき」とある。太夫二人が三味線をジャカジャカ弾いている。
その外ではワケありいちゃいちゃカップルが行く。
さらには犬芸の小屋、大女の見世物などなど。
駕籠かきは店の違いを見せるため、装束の柄もされざれ凝っている。タコ柄はしかし凝りすぎですな。

埋忠宗義脇差 鍔元に不動が刻まれている。
堀川国広刀 切っ先に竜。
播磨守輝広短刀 「星」の字と||の護摩箸の文様。
初代肥前国忠吉刀 倶利伽羅龍が刻まれている。印伝塗りの拵えも共に展示されていた。
水心子正秀脇差 復古刀を拵える名人だった。文化年間のそれも力強い。

小柄や印籠やツバなどは後藤家の作品が多かったが、埋忠のものもいくつかあった。
埋忠は「忠義を埋める」とも読めるから「梅忠」にせよとあるとき施主の板倉所司代に言われたそうな。
梅忠ね・・・梅川忠兵衛しか思い出さないぞ~~っちなみに読み方は「ウメタダ」なのだった。

ブドウにリス、飛瀑猛虎、植物柄などなど・・・カザール・コレクションを思いながら見て回る。楽しい。
中でも文字透かし文鍔が非常に面白かった。小野篁歌字尽から取ったもの。「慕募暮蟇墓幕」ふふふふふ。
蹲で「吾只足知」はあるけど、これはまた・・・ww

羊遊齋の雪華蒔絵印籠も華やかだった。きらきらしている。根付けもまた。

蒙古襲来蒔絵印籠は幕末のものだが、この絵を見て山口晃画伯を思い出した。そんな感じの絵柄だと思ってほしい。

庭園の白梅・薄紅梅が非常に綺麗で、とてもいい感じだった。
こちらは3/25まで。


☆出光美術館「古筆・手鑑」
国宝「見努世友」と「藻塩草」が共に展示されるのは、まさに「見ぬ世の友」の集いである。

今回の展覧会はまじまじと凝視しないと本当には楽しめない、ということで混み時間も長かったそうだが。夕方に出かけた功徳でわたしは比較的気軽に楽しめた。

田中親美の模写による作品もあるが、これも80年を経た今となっては、十分古筆として愛されるべきものだと思う。
それにしても実に膨大な数の色紙・切れがある。
時代も天平から平安・鎌倉・南北朝までのわが国の古筆・手鑑を集めている。
多岐にわたるその様子は、雅な菓子のようにも思える。
手蹟アソート。
「見努世友」と「藻塩草」の編集をした鑑定団の人々の作業風景を想像するのも楽しい。

王朝継紙というものを知ったのは、大庭みな子の著作からだった。
手遊びにそのやり方を覚え、その本を拵えた大庭。
書もさることながら、書かれた紙を眺めるのがまたとても楽しい。

わたしは天平時代の書体に好きなものがあるので、聖武天皇の賢愚経があるのも嬉しかった。また、そばには光明皇后のきりっとした書もある。

後鳥羽上皇の力強い文字もあれば、文覚上人の激しい手もある。
伏見天皇などは京都でよく見かけているが、こうした和歌ではなくご宸翰ばかりだった。
それもどうも荼毘紙に書かれたようなものを見ているような・・・・・

出た、定家。わたしは学生時分この人が書写した「更級日記」の翻刻を読み解かねばならない羽目になり、えらい目に遭うたのだ。
それでどうも好きではない文字になったのだ。
とはいえ、肥痩のはっきりしたところなどは蕪村のそれを思い出しもする。
蕪村はいい字を書くなぁと思っているのだが・・・・・・・

ところで今回どう見ても「関西人」としか読めない文字を見つけた。
なんとなくそれがまた嬉しいのだった。

いかに自分が詩歌の素養がないか、ということに気づいて苦笑する。愕然となるのは最早おこがましい。素養がないのは当然なのだ。なんにも勉強もしていないし努力もしていないのだから。・・・とはいえ、今から詩歌を学ぶのはちょっと無理すぎる。
だから、今回の図録は非常に助かる。
無教養な私でも「なるほど」と思えるつくりなのだ。
これらを読み解き。さらに文字を読める訓練をすれば、数年後にはここにある文字の大半を楽しむことが可能になるのだ。
なんとなくそのことを期待しつつ、図録を読み進めることにする。

こちらの展覧会も3/25まで。

いいものを見ただけでなく、簡易だが感想も書けて、本当に嬉しい。
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コメント
No title
出光美術館「古筆・手鑑」、みてみたいなあ。

変体仮名すら読めない私には著しくハードルが高いものですが、
あこがれます。かといって、なにか行動したわけではないのですが..
きっと世界が広がるんだろうなあ、と思いながらも、どこからはいっていけば
いいのかもわかりません。
2012/03/17(土) 21:15 | URL | とんぼ #uaIRrcRw[ 編集]
☆とんぼさん こんばんは

変体仮名でもまだ楷書ならなんとかなりそうですが、仮名なんぞになるとますます・・・
どう考えてもわたしには無理そうですわ。
しかし綺麗なのは確かでした。
2012/03/19(月) 01:01 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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