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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

浮世絵 国芳から芳年へ

町田市立国際版画美術館の「国芳から芳年へ」を駆け足で見た。
この師弟はどちらも非常に魅力的な作品を多く生み出している。 
以前から太田記念でも、do!familyでも「国芳とその一門」展や「国芳と芳年」展などが開かれているが、いずれも面白い内容だった。
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まず国芳「唐土二十四孝」がある。
これは題材は中国の二十四孝を選んでいるが、画風は西洋画風で面白い陰影がついていたり、子どもの描写がエンゼル風だったりで、妙な違和感のある面白い作品に仕上がっている。
大舜 働く坊やのお手伝いをするゾウさんたち。その象の眉宇の表現がキモいような面白さがある。坊やも無論そう。
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黄香 ええオトナがなに子どもを酷使してんねん、というのは現代日本の片隅に住むわたしの感想だが、これは親孝行の図なのだ。まるっきりエンゼルな坊やが可愛い。

国芳・広重・国貞の三人による「小倉擬百人一首」も出ていた。
つまりこれは見立てもので、タイトルはそれで、描くものはそれから連想される、江戸のリアルタイムの人々に通じやすい絵をあてているのだ。
このあたりは現代人にはなかなか通じにくいので、丁寧な解説がついているのがいい。
見ながら「なんでやねん」とツッコめるようにならねば、本当には楽しめないので、日々「なんでやねん」と思いながら、ちょっとは勉強する。そうすればいよいよ浮世絵も歌舞伎も楽しくなるのだが、そこまではなかなか手が回らないだろう・・・・・
「陽成院」で鬼若丸と鯉、というのは知らないとわからない置き換えだが、国芳は鬼若丸と鯉の図を多く描いていることを思うと、ちょっとほほえましくもなる。
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国芳にはとにかく弟子が大勢いた。
弟子たちも師匠同様に物語絵や武者絵ゃおばけ絵に戯画におもちゃ絵もたくさん描いた。
芳幾「今様擬源氏」がいい。源氏物語の置き換えは国貞の絵で有名な種彦の「田舎源氏」があるが、こちらはフツーに源氏物語の置き換え物。
「夕霧」で梅若丸の幻影を見る母花子、というのはちょっと苦しいところだが、「浮舟」に清正毒酒というのは納得が行く。

幕末のというより「瓦解前の」芳年の仕事を見る。
坂彦の春永・訥升の蘭丸・我童の光秀。文久二年の役者絵だが、この頃はまだ師匠の真似から出ていない。

「和漢百物語」シリーズが出ていた。嬉しい。
「田原藤太秀郷」ムカデの化身が平べったい顔で凄むのが面白い。
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「清姫」これは大丸で初めて見た「芳年」展のときチラシにもなっていて、印象が深い。

「美勇水滸伝」があった。久しぶりに見る。
「白縫」これにはハマッていた。馬琴「椿説弓張月」の白縫姫のサディズムが心地よいほどだった。やはり浮世絵や歌舞伎には、どこか被虐の美が活きていないといけない。
嫣然と笑いながら敵をいたぶる姫の美貌が、すがすがしいほどだった。

「魁題百撰相」も多く出ていた。
戦うシーンが多い、または勇猛な者を描いたシリーズで、妖艶さはうすい。
田中官八、鈴木孫市、土屋惣蔵らを描いたものはやはり明治初年の意識が描かせたものだという感じがある。
森蘭丸では血染めの蘭丸を描いているが、その血がなんとなくぬれているように見えるのが凄い。実はここには出ていないが、前述のdo!familyで見た絵には、血の部分だけ本当に乾いていないような絵を見ている。
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さて芳年は江戸から明治に変わりスピード時代についてゆけないこともあり、神経を病んで幽霊を昼間に見るようになってしまった。
復帰して「大蘇」芳年と名乗るようになってからの作品が始まった。

「新柳二十四時」新橋芸者の一日を描いたものということで、わたしは初見。
「午後八時」では畳の目を読む芸者が描かれている。これは確かに昔の芸者の風俗。
来る・来ない・来る・来ないを畳の目で読んでゆくのだった。

「義経記五条橋」これは美少年・遮那王を堪能する図。弁慶との立ち位置がまたいい。まつげの長さ・鼻の高さにときめく絵。

「大日本名将鑑」もあった。
扇で夕日を返す清盛、ひきこもりの天照呼び出し騒動などなど。

戯画と「風俗三十二相」もある。「・・・たい」シリーズの女たち。このシリーズは千葉市美術館で一挙に見たが楽しかった。

さて最後の大作が出てくる。
「新形三十六怪撰」と「月百姿」である。
ここでも清姫が出ている。なんとも凄艶な清姫である。これを見るたび何故か「昭和元禄」の時代の絵を思いもする。
わたしは天狗と相対する「伊賀局」が好きだ。「夕顔」のぼんやりした寂しそうな横顔もいい。「自休」も出ていた。珍しい。「孫悟空」もあるが、これは花札に加えたくなるような構図なのだった。
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駆け足で見たので感想もぞんざいになったが、楽しい展覧会だった。
駅からたどり着くのに苦労はするが、見る価値のある内容である。4/1まで。
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コメント
No title
国芳も広重も芳年も大好きです(^ ^)
いいものみられましたね~

国芳と広重の描く女性の顔も、私は好きです。健康的で品もあり、どこか
おおらかなんですよねーー広重描く女性はあまり評価されてないようですが。
逆に英泉は、私はキモいです(笑)
2012/03/23(金) 00:50 | URL | とんぼ #uaIRrcRw[ 編集]
☆とんぼさん こんにちは

わたしはけっこう国貞も好きなんです。広重はわりと笑顔よし♪

> 逆に英泉は、私はキモいです(笑)

けっこう好きですよ、妙なナマナマしい匂いがあって。
彼の師匠の英川も好きです。
2012/03/23(金) 12:37 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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