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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

三都画家くらべ 京、大坂をみて江戸を知る 2

続き。

3.山水くらべ
同時代であっても風土の違いは大きい。それが絵に影響を与えることを、改めて知る。

<京>
芦雪 遠見富士図 白い富士山が左奥に描かれているが、実はそれよりも手前の斜めに生える松の方が絵の中心になっている。
斜めの松は芦雪の好みなのか、頴川でも一枚よいのがある。画面構成そのものが好きな絵。

円山応挙 湖山烟霞図 明和丁寅の作。屏風から掛け軸へ表装を変えたそうで、とても大きい。中国の山水。高士が身を乗り出して水面を眺めている。
松や岩や漣の描写が細かい。

応挙 鵜飼図 一人舟で働く鵜飼いと鵜たち。「うかひ舟」と和歌が書かれている。

<大坂>
福原五岳 山水図 雨が降るのか、傘をさす人が小舟を降りて、坂を上ってお寺へ向っている。細い塔が建っている。道の熊笹も湿気を含んでいる。肺に湿気が入ってきそうな天候だが、なにかしら気持ち良さそうにも思えた。
五岳は近年に大阪歴史博物館の常設展示の企画コーナーで紹介されたのを見ている。

蔀関月 雪中訪戴図 雪の描写が非常にいい。これは塗らずに残した白なのだった。
とても面白い描写だった。松の枝に乗る雪がまたとてもいい。

林上ャ苑 春景山水図 山を描くのに点描を使う。それがとてもいい。柳を過ぎたところで高士たちが歩く姿が見える。柵の中には鹿もいる。中国絵画への愛が生きる絵。

林上ャ苑 王義之・山水図 左右の山水は点描。中の王義之は裾近くに数珠飾りの十字架のようなものを下げている。侍童はガチョウらしき鳥を抱っこしている。二人の衣装の水色が眼に新しい。

岡田玉山 阿房宮図 ああ、なるほどパラダイス。こんな巨大な・・・三ヶ月間炎上し続けた、というのも納得する。ところどころの赤い塗り橋などがまたキュッとしてていい。

墨江武禅 月下山水図 凍り付いているような風景。気配がない風景。
これを見ていると釈迢空の詩を思い出す。狂った老人の幻想を描く連作詩を。
氷の表面に判が押されたような絵。
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<江戸>
司馬江漢 相州江ノ島稚児ケ淵図 右に岩や道を、左に海と富士山を配している。
名所なので遊山の人もいる。茶をその場で喫する人もいる。
沖の暗いのに白帆が見える、は「かっぽれ」だが、今は昼らしい。のんびりした海。小さく烏帽子岩もあった。

長谷川雪堤 如意亭図 柳川藩の上屋敷にあった庭園を描いている。想像図ではなく写生。
大名庭園と言うものと無縁できた。昨秋初めて六義園でそれを知った。
なるほどこの庭園は江戸の上屋敷の大名庭園だと思った。木々の配置や灯篭、石の雰囲気が納得させてくれる。たいへん興味深く眺めた。

谷文晁 清渓訪友図 それは下界のことなのだが、ずっと上に聳える山が問題だった。どう見てもクグロフに見える。緑色だから、抹茶味のクグロフ。間違いない。

4.和みと笑い
三都の笑いの違いについて前書きがあった。
わたしは、この時代の京の笑いについてはわからないが、現代京都の笑いと言うものは感じ取ることが出来るように思う。また違う面白味がある、としか言いようがない。
京阪神、狭い地域なのにこれほど差異のある土地柄と言うのは他にはないのではないか。
京都は今でも色々笑えることが多いが、神戸の笑いと言うものはわたしには一向にわからないままだ。今の大阪にしてもどこまでが地の質から来るものか、それともY興行の作られたシステムから来るものなのか、新しい人や他の地の人には、区別できないだろう。
また江戸の笑いは浮世絵で堪能しているが、それ以外の江戸の笑とはどんなものなのかが、やはりわからないままでいる。
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<京>
芦雪 なめくじ なめくじのぬめる道は一筆書きである。なめくじといえば江戸の落語では「なめくじ長屋」があり、宮沢賢治の童話には「蜘蛛となめくぢと狸」がある。
芦雪は何故なめくじを描いたのだろう・・・

与謝蕪村 火桶図 蕪村独特の書体が可愛い賛がある。百物語をする人々の様子を描いている、というようなことが書かれているが、オバケでぇへんなとか言うてる人々をニンマリ笑う火桶がいる図なのだった。可愛いし面白い。
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応挙 時雨狗子図 可愛い可愛い応挙のわんこ。いつ見てもどれを見ても可愛くて撫でてやりたくて仕方なくなる。

<大坂>
佐藤魚大 閻魔図 怪人というた方がええのではないか。こんなのに裁かれたないなぁ、という罪人も出てくるに違いない。
とにかく仕事しすぎて過労がピーク超えてユンケル飲みすぎてテンションだだ上がりのところへ、もぉやめちゃいました・・・を超えると、こぉいう顔になるのかもしれない。
楳図かずおの初期のマンガに出てくる不気味な怪人にとても似ている。
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松本奉時 蝦蟇図 この絵師はカエルオヤジで、延々とカエル絵を描きグッズをコレクションしていたそうな。これも大阪歴博でチラッと出たかもしれない。
どーんと蝦蟇がいる、それだけでなんとなくおかしい。
白い腹が大きいので、ここに絵でも描きたくなる・・・人もいたかもしれない。

耳鳥斎 地獄図巻 やったーー!耳鳥斎の地獄絵がキターーー!数年前に伊丹市立美術館で展覧会を見て夢中になった絵師。図録が売り切れてしまい、泣いたなぁ。
つい近年では関大博物館でもチラッと出たが、とにかく可愛い鬼たちによるトンデモ地獄図がすごい。拷問されてるヒトたちは苦しむどころかミョーに楽しそうなのだった。
耳鳥斎の残した言葉が確か「世界ハコレ一大戯場ナリ」だったか。
ああ、耳鳥斎の展覧会をこの府中か板橋かでやってくれないだろうか・・・!!
わたしは他にも彼の地獄図を見ているが、中にはどう見てもあぶな絵もどきなのもあるようで、そちらは内緒なのだった。

芳中 人物花鳥図巻 これでもかっのたらしこみ。白い子犬が可愛い・・・・・
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<江戸>
英一蝶 投扇図 ああ、一蝶がいた。鳥居でそんな投扇してどうするんだ~人々の顔つきが楽しい。

岳亭春信 虎図 ・・・・・今もしこんなのがいたら・・・いや、当時の人々もこのトラには困らされたと思う。絵師がまじめであるだけ、笑えるトラ。

歌川国芳の戯画が出てきた。たいへん嬉しい。近年ここで行われた国芳「奇と笑いの」展覧会は本当に楽しかった。
ここでは金魚尽くし、道外化粧のたわむれなどが出ていた。
感想は一つ「楽しい~~面白い~~可愛い~~」
これに尽きる。

5.三都の特産
大阪人というよりもっとはっきりと、贅六たるイヤシのわたしは、このタイトルを見て「江戸は寿司にうなぎか、京都は鱧に八橋か、大坂はやっぱりバッテラにテッチリかなぁ」と真剣に思ったのだった。

<京の奇抜>
狩野山雪 寒山拾得図 こわい・・・

芦雪 竜虎図 可愛い~竜の放つ閃光の中にトラ、という構図らしいがよくわからない。なんとなく明治の洋画のスサノオを描いたところへ突然キャンバスを破って現れる犬の顔の絵を思い出す。

伊藤若冲 猿図 賢そうなツラツキのエテが耳を閉ざしている。

他にも昭和初期に展示されて以来の絵や、珍しいところで宮崎友禅斎の絵などもあったが、奇抜といえば奇抜なのだが、わたしがスレッスラシなのかそうそう奇抜にも思えなかった。

<大坂の文人画>
木村蒹葭堂 蘭石小禽図 ひょっこり顔を出した小鳥が可愛い。
知の巨人・蒹葭堂は絵よりも他の仕事で多く業績を残しているが、こうしてこんなに可愛い絵も描くのだった。

岡田米山人 界住吉図 よくわからない図。鬼が春駒らしきおもちゃを持ち、「ころころ」と書かれた袋を持って、しょんぼり立っている図。
まさか「月刊コロコロ」でもないし・・・と思っていたら解説にいろいろあり、納得できるような出来ないような。謎の絵なのだった。

芳中 雀図 延々と賛が書かれていて、空中のその文字を雀が見上げる構図となっている。

大坂では確かに文人画が流行していた。かつての大坂には文化が活きていたのだ。
一体いつから大阪に文化が失われたのだろう。昭和初期までは確かにあったのに。
そして今また大阪は文化の危機を自覚しないといけないのだった。

<江戸の洋風画>
亜欧堂田善の銅版画が目を惹いた。
わたしは特に「駿河台から水道橋の眺望」が気に入った。
針描きだからこその繊細さと面白味がよかった。

展示はここまでだか、相変わらず府中はやってくれて、クイズラリーやスタンプなど楽しい企画も怠りないのだった。
次の後期もとても楽しみである。

最後に常設展の小特集の感想を挙げる。
宋紫山 虎図 メッチャ可愛い!!
司馬江漢 犬にも木蓮図 洋犬と紫の花の取り合わせがおしゃれだった。 
江漢 猫と蝶図  斑三毛のにゃんこが可愛くて可愛くて。アゲハを見返るポーズがいい。
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