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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

竹内栖鳳と京都画壇

野間記念館で「竹内栖鳳と京都画壇」展を見た。
所蔵品を展示する美術館だから同じ絵を見ることも多い。
しかし、同じ作品を見たとしても、その展示の状況や方向性が変化すれば、また違った楽しみが齎される。
わたしは飽きることなく、野間記念館を訪ね続ける。
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チラシ表の上は「古城松翠」、江戸城のお堀のお掃除をする舟が見える。(藻刈舟)
同工異曲の作も見ているが、この絵は黒松の良さもさることながら、働く人の小ささにも惹かれる。
大正末の作で、リアルタイムに見たものかもしれない。時間の流れ方がゆっくりしているような感覚がある。

下は「鮮魚」。笹の上にグジが置かれている。グジはアマダイのことで、京都人が喜んで食べるお魚である。栖鳳は料亭の息子さんで、「家継ぐんいやや」と泣いたお子だったが、台所に出向いてはしばしば食材の写生をしていたようだ。
だからか、栖鳳の描くお魚も野菜も、みんなどれもこれもたいへんおいしそうに見える。

栖鳳は生徒たちを引率して京都市動物園へ写生によくいったそうだ。
ここにある「猛虎」は江戸時代の虎の絵とはまた違うリアルさがある。仕草はやっぱり猫ぽいのだが。

京都画壇の動物絵画が揃っている。
榊原紫峰 猫之図 横広がりの猫がずんっと座る図。貫禄がある。
西村五雲 夏木立 ミミズクが眠そうに木に止まる。可愛い。
堂本印象 清亮 白サギとセキレイのいる風景。夏日。
栖鳳の「犬」は可愛いわんこだが「兎」はアールヌーヴォー風な面白味がある。

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今回は色紙がたくさん出ている。
木島桜谷の十二ヶ月は全て動物を描いたものだった。それも写生風なものから様式的なもの、物語を感じさせるもの色々。一つ一つがたいへん楽しい。
他はこんな感じ。
まつ本一洋の優美さ、伊藤小坡の月次行事、松園さんの品のよい娘たち、中村大三郎の目の大きな娘たちと月次。

春になると出てくる土田麦僊「春」は中の母子もいいが、左右の紅椿、白木蓮の対比がまた綺麗。麦僊本人はいやだが、絵は人物より花を描いたものに強く惹かれる。
「都をどりの宵」でも舞妓よりその背後の藤がいい。

講談社の雑誌「キング」を飾った数々の名画を眺める。この時代の口絵はこんなにも存在感があったのだ。

再び十二ヶ月色紙。
五雲の花鳥図、紫峰もまた花鳥を描き、福田平八郎も続く。
それぞれの個性の違いが、並びあっているのを見ることで、いよいよ強く感じられ、それも楽しみになる。
まだ徳岡神泉の「神泉」らしさがでていない時代の色紙もいいし、松篁さんの若い頃の十二ヶ月もいい。

小さい企画展であっても、やっぱり楽しい野間記念館だった。
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