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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

山寺後藤美術館所蔵 ヨーロッパ絵画にみる永遠の女性美

ニューオータニ美術館に山寺後藤美術館の絵が来ている。
「ヨーロッパ絵画にみる 永遠の女性美」ということで、17~19世紀の洋画による美人画が見られる。
山寺後藤美術館のコレクションはこれまでにも何度かみているが、いつも楽しい心持にさせてもらっている。関西からは遠いので、東京でこうした企画があると、喜んで出かけている。
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最初に聖母子などがある。

聖母子 アレッサンドロ・トゥルキ 聖母の赤い衣と、すぐそこの赤ん坊の丸い腹が和やか。やや丸顔の見るからに若い聖母と、ぷくぷくした赤ん坊の取り合わせは、目にも心に優しい。
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祈りの聖母 サッソフェラート 彫像のような面立ち。薄い群青色のマント。祈る手にも関節が入っているが、やはり彫像のような趣がある。

悲しみの聖母 ムリーリョ 面長に見える聖母は悲しい目を上向けている。鼻先や頬上の赤みは泣いた痕かもしれない。ふくよかな手は自らの衣をつかみ、胸からあふれようとする悲哀を押さえつけるようにも見える。
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エジプトからの帰還途中の休息 ジュゼッペ・バルトロメオ・キアーリ 青衣の聖母の膝から落ちそうな幼子イエス。二人は日の光を浴びている。影の中に立つヨゼフ。輝く聖母子を見守るために影の中に立つような風情がある。
四階級の天使たちがきている。年長の天使二人はひざまづき花を捧げる。顔だけの天使が中空に舞っているが、それよりもその下のいたずら好きそうな天使が可愛い。
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次からはローマ神話に材をとる。

羊飼い姿のヴィーナス ジャン・パティスト・ユエ 横長なのは施主の要求かも、と解説プレートにあるが、確かにこれは西洋欄間にぴったり。
羊飼い姿というコスプレだが、ちゃんと鳩のカップルもいる。下にはピンクのバラもある。犬と視線を交わすヴィーナス。

ニンフと天使たち コニラ・オクターヴ・タッセール 魅力的な美少女に群がる天使たち。宗派の違いを越えた美の周波に、秋波を送る小僧たちの図。
色っぽくて楽しい。
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ディアナ パウル・エミール・ヤーコプス ディアナの水浴をついうっかり見てしまった猟人アクタイオン。彼の災難はここから始まる。見た・見られたの瞬間を描いている。ディアナの頭上には銀月がティアラのように輝く。おつきの侍女たちも美人揃い。
背景の暗い空、残照、それらがアクタイオンの運命を暗示するかのようだった。
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誰にとっても愛が主人になる アンリ・ピエール・ピクー 綺麗だと思う。描かれている女たちはみんなとても綺麗。衣装の襞などもいい。色も綺麗。ただ、「愛」のツラツキがなんとなく面憎いのも確かだが。
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様々な婦人像が現れる。
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落ち着いた青色の服 伝ジャン・マルク・ナティエ チラシに選ばれている。白いドレスの上に青い服が広がっている。楽器を抱える女と、バラ色の衣を身につけた幼子と、二人共に額の広さ・頬の色の美しさが目立つ。

少女と鳩(グルーズの模写) ジョン・コンスタブル コンスタブルの親族の女性が離婚したとき、娘を夫に取られ会えなくなった。この絵の少女はその愛娘によく似ていた。
コンスタブルはグルーズの絵を模写する許可を得ると、丁寧に仕事をした。
たれ目の愛らしい少女。可愛くカールした髪。ふっくらした手が抱える鳩たち。
絵が愛らしいだけに、その女性の悲しみが思われる。
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水浴する女たち タッセール 先のニンフの方が艶めかしくてよかったが、この絵はなにを目的にして描いたのだろう。女たちの体つきは妙にリアルだと思った。すべてが綺麗というわけでもない、体がある風景。

森の中のジプシーの少女たち ナルシス・ディアズ・ド・ラ・ペーニャ この画家を知ったのは以前に見た山寺後藤美術館の展覧会で、だった。
なかなかド・ラ・ペーニャの絵は見ることがないので、今回の展覧会にもきっと出てくるだろうと期待していた。その期待は逸れることがない。たいへん嬉かった。
エキゾチックなジプシーの娘たちの美貌、色鮮やかな衣装、そして「森」。
大きなときめきを感じる。
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少女の肖像 ドミニク・ジャン・バティスト・マゴー 美少女。少し頭頂を膨らませてあげたい髪型だが、それは些細な話だ。傍らに詰まれた柴や少女の手にある刃物を見ると、彼女の暮らしぶりも想像がつく。生活者である少女。視線の先に何があるかは知らないが、真正面からみつめられたい、と思わせるような美少女だった。

アラブの美女 カバネル 怖いような眼をしたアラブの美女。眉の濃い、酷く彫りの深い顔。組まれた指。固く結ばれた唇。彼女の背景にあるものが何かはわからないが、決して穏やかな心持でいることない、と言うのを感じる。
カバネルの絵には文芸性があるものをよく見るが、この絵にもきっと何か物語があるに違いない。・・・・・そんな期待を寄せてしまう絵。

栗色の髪の少女 ジャン・ジャック・エンネル 深緑のドレスを着る娘。遠いところに思いを馳せているような眼。彼女もまた先の「アラブの美女」同様、ここではないどこかに本当の気持ちが向いているように思われる。

愛しの小鳥 ブーグロー この絵こそ、山寺後藤美術館の所蔵作品で最初に見た絵だった。
輝くような笑顔の少女と、その手の甲に止まる小鳥と。純粋な喜びが伝わってくる。
少女のブラウス。スカート、もたれるテーブルに掛かる布。三つともその質感が異なるのを感じる。ブーグローの作品のうちでも、特に幸せを感じる一枚。

バラを持つ女性 エティエンヌ・アドルフ・ピオ 優美な女性。黄色いバラを手にしている。やや黄み掛かった顔色には優雅な微笑が浮かび、傾けた首に生まれる影と背後のベルベットのような闇の深さの違い。優美さにときめいた。

孤児 ジョージ・エルガー・ヒックス 二人の金髪巻き毛美少女が身を寄せあっている。
身なりも貧しく、いる場所も、置かれた食器も見るからにみすぼらしいが、彼女たちの魂までは朽ちてはいない。「孤児」であることを貴種流離譚のように語っているのかもしれない。しかし未来は薄暗いままなのだった。

神よりの授かりもの アウグスト・フォン・ヘッケル 立派な家の前に捨て子がされたらしく、その家の女主人と子どもらが、捨て子を受け入れようとしている図。
気高い女主人と家の内側の影に佇む主人。ふとモーゼの故事を思い出した。

美人画は他にもミレイやポインターらの作品があった。
あとは花を描いた作品が並んでいた。
花の絵もよかったが、室内の静物画の花よりも、美女たちのほうが好ましく思えた。
この展覧会ではまことに嬉しいことに、リストにそれぞれの作品が小さく掲載されている。
ありがたいリーフレットを大事にしたい。
展覧会は5/27まで。
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