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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

静嘉堂文庫 東洋絵画の精華 珠玉の日本絵画コレクション

静嘉堂文庫の「東洋絵画の精華」の前期「珠玉の日本絵画コレクション」に行った。
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目玉は「平治物語絵巻 信西巻」だが、なるほど展示室に入った途端に巻物が広げられていた。
わたしが見たのは「信西自害から首実検までの場面」だった。
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既に死んでいる信西を家来たちが埋めている。もう遺体は土気色である。泰西名画での遺体は緑色だが、日本の遺体は土気色になる。
埋められる信西。しかし敵は容赦なくそれを掘り返す。
この時代既に首を掻き切ることは普通に行われている。坊主頭の信西のその頭を三本の指が掴み上げながら、首を掻き切る。
そして薙刀の先に首を引っ掛けて、武者たちが歩き始める。
今丁度大河ドラマで阿部サダヲが信西を演じているが、彼もこの絵巻のような状況を見せるのか、と思いながらまた見返す。遺体からの切断なのでもう血は出ていない。
そんな細かいことをチェックしながら巻物の前から去った。
軍記物は無慚なシーンが多いが、総じて小さい絵なので、ナマナマしくはない。

継子いじめと幸福な結婚の類型に入る「住吉物語絵巻」はさすがに煌びやかな絵巻だった。十二単をまとう女たちが斉しく美しい。それを覗き見する貴人もまた。
描写が丁寧なので、見ていてもあきない。

琵琶をべんべんと掻き鳴らす弁才天絵を見た。修復後初の公開らしい。妙音弁才天という名称は伊達ではないのだ。
「聖☆おにいさん」では弁才天さんは音楽全般に燃えるお姉さんだが、確かにこの絵の弁才天さんも演奏に熱が入っている。弁財天ではなく弁才天な方。

春日本迹曼荼羅は「××神様実ハ△△佛ナリ」を絵画化したもので、本体と化身とが描かれている。こんな思想は世界でも日本にしかないのだが、そのジャパンオリジナルな分だけ画像も魅力的なのだった。それにしても一言主は炎上しているようにしか見えない。
立った一言で炎上する、と言うのはネットだけではないのだった・・・

熊野曼荼羅 多少ごちゃついているがいい仏画だと思う。

聖徳太子絵伝の1,2幅を見る。太子誕生から元服あたりの時代がメインである。わたしとしてはわかりやすい時代、つまり山岸涼子「日出処の天子」に描かれていた時代だからだ。
髪型も大方はお団子のミズラではあるが、一度だけミズラの端を垂らすものがあり、それがやはり懐かしく思われた。

普賢菩薩像 菩薩の頭上の天蓋がまた煌びやかで、乗る白象も優美に飾られている。

四季山水図屏風 伝・周文 以前はこうした室町時代の山水画がニガテだったが、数を見るうちに段々とその良さがわかるようになってきた。今もこうして絵に対峙しながら静かに眺めている。

四条河原遊楽図屏風 これはいつ見ても楽しい。近藤ようこ「雨はふるとも」に描かれる四条河原町のようだと思う気持ちが、いよいよこの眺めを親しいものにしてくれていた。
先日、津本陽「柳生兵庫助」を再読中に、主人公たちがこの屏風の通りの四条河原を楽しく遊ぶ姿が活写されているのに気づいた。
とても嬉しい発見だった。そしてわたしはこの遊楽図の内では、はりねずみの見世物の看板が妙に好きなのだった。

如意輪観音像 薄紅の蓮座の観音へ、騎竜の人が宝珠をささげる。嬉しそうな様子もなく、つまらなさそうに見下ろす観音。竜たちと観音の大きさの対比を思う。

朝噋曳馬図 英一蝶 朝日の下をゆく人と馬。その姿が水面に映っている。のんびりした雰囲気。口笛でも聞こえてきそうな。こういう絵を見ると気持ちも軽くなる。

鵜舟図 光琳 働く鵜たちがいい。「鵜は鵜匠の弟だ」という言葉を思い出す。

波図屏風 抱一 これは素晴らしい銀の波だった。
「妖怪波とどろ」とでも名付けたい波が見事なうねりを見せている。左隻の波も五本の指をすべて開いて曲げたような形を見せている。潮音というものが聴こえてきそうな図。
この絵には抱一本人もたいへんな自負心があったそうだが、サインを見てもその心持ちが伝わってくるようだ。
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抱一 絵手鑑 これは抱一の技能の高さを感じる構成になっていた。隣合う絵はすべて別な技法で描かれている。その対比を見るのも楽しい。
寿老人、朝顔、一輪の白椿、青緑山水、山雀とくるみ、白芙蓉、波、富士、朱陽朝空、筑波、白富士に金雲、蓮池に蛙、花びらとメダカ、座した唐子が花を折ろうとする、羽子板の飾り絵(シンプルな奈良絵本風の公家)、紅梅、小町 桜枝と文、月に雁・・・

雨中桜花紅楓図 其一 可愛い。柔らかな春雨と強い秋雨と。表具が更紗なのもいい。

芸妓図 渡辺崋山 軽く団扇をかむ女。可愛がっている芸妓をこうして描いている。天保九年のリアルな女。

江口君図 応挙 今回間近で見て、江口君の着物やかんざしを確かめた。花菱柄の羽織、着物の裾には萩、帯は唐草、かんざしは朝顔。賢そうな象がいい。象はまるで猫のような座り方をしている。鼻もつつましく落ち着いている。

赤壁図 谷文晁 月明星稀の図。船上で。ああ、三国志だなあ。

遊魚図 崋山 魚の世界~なにやらとても可愛い~~

明るい気持ちで絵を見て回ったところで、乾山の十二ヶ月花鳥角皿を眺める。
絵もいいが、こうしてやきものを見ると、また気分も変わって楽しさが増す。
卯の花にホトトギスの図柄が今の時期にぴったりだった。

最後に浮世絵を見る。
国貞(三世豊国)の錦絵が三点。
星の霜当世風俗・水くみ わんこがいる。桶を持つ女。
その左には蚊やき。蚊帳の中に女。助六を描いた団扇がある。紙縒に火をつける。
そして鼻高幸四郎の仁木弾正の横顔。実悪の良さがずんっとした顔だった。

面白かった。とても楽しい。今回は立派なリーフレットまで配布されているのも嬉しい。
次は中国絵画だが、そちらもとても期待している。

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