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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

古代礼讃・中世礼讃

古代礼讃・中世礼讃 
正木美術館で古代の埴輪、土器、また中世の絵画を楽しんだ。
前期に行けなかったが、後期の展示だけで大いに満足した。
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最初に縄文土器が現れる。
深鉢がある。四半世紀前のボディ・コンシャスを思い出させるスタイルの鉢がある。
しかもその胴を飾る文様はどことなくモダンな様子を見せている。

埴輪がある。
最初に巫女らしき埴輪がある。ベンガラで襷をかけたその下には櫛目のスカートらしきものが見える。
隣の男子埴輪はツバのある帽子をかぶっていて、解説によると「頭をかいている」らしい。柔和なその顔には見覚えがある。アニキ・金本知憲に似ているのだ。

そしてチラシの埴輪が現れる。
鈴付き冠に緑の葉っぱがついている。
須田悦弘の「雑草」である。とても似合っている。
古事記のヤマトタケルの歌を想う。望郷の念を歌ったその歌。
「命の全けむ人は 畳こも平群の山の 熊白梼が葉を 髻華に挿せ その子」
この埴輪に正木美術館の学芸員さんは「はにかみ王子」の名を奉っている。

他にも庇髪の巫女の前に須田のスミレの取り合わせもあった。
武人の埴輪もニつある。どちらも精悍な顔つきをしている。

土師器の瓶に見覚えがあるとも思う。ハンス・コパーの造形に似ている。

銅鐸を見る。これはまた鮮やかに綺麗な緑青に包まれている。飾り耳が三つ、お菓子のパルフェに似た形を見せ、さらに並び丘のように左右に三つずつ耳がつく。

碧玉製の飾りもの(車輪石)がある。車輪石とは腕輪のことだという。玉というより石に近い。
安閑天皇陵の陪塚から出土したものや、奈良の富雄丸山古墳からのものもある。

中世の絵画を見る。

春日鹿曼陀羅図 室町時代のものが出ていた。小さな満月が上部に描かれ、真ん中に神鹿の背に乗る鏡がある。
鏡には種字が浮かんでいる。その鏡と月下の春日山の間にほとけ達が佇む。

鎌倉時代の春日社寺曼陀羅図には春日大社と興福寺とが描かれている。

三十六歌仙絵が何点かある。
斎宮女御は立って舞う後ろ姿、中空を見る僧正遍昭に、難しい顔でうつむく凡河内躬恒もいる。
また色白く、唇に朱が差された西行もあった。

一休宗純と森女図 上に一休の肖像と、本人の森女を可愛いと思う心を記した歌が描かれ、下に瞽女然とした森女が鼓を前に座している。色の白い、朱の着物に白い打ち掛けをまとう女。目は深く閉ざされている。
そこには細い文字でやるせない歌が書かれている。

南北朝の騎獅文殊図が二点。
虎関師錬の賛が解説に写されていた。
看よ看よ 乳臭の寧馨児 豈是れ曽て七仏の師と為さんや 手を太阿に按じ用いて著さず 今に至って甘蔗蔓枝の滋 
甘蔗はサトウキビのことらしい。勇猛な獅子に座す文殊。
もう一方は五髻の稚児文殊が毛虫のような獅子の上にいるが、その獅子がいい。寝そべりながら出歯を三本ばかり見せている。ちょっと面白い顔つきである。

木筆不動明王図 木を工夫して筆にしたもので描いている。その技術は室町くらいで廃れたそうだが、いわさきちひろが割り箸の先を削って筆にしたので描いた作品を思い出した。
ここに描かれた不動とこんがら・せいたかの三人は妙にとぼけた味わいを見せている。表情がとても楽しい。
真ん中の不動は手に持つ縄をじーっと見て、向かって左のせいたかは遠見をし、右手のこんがらはそんなせいたかを見る。線の肥痩がいい。

蓮図 能阿弥 全体に薄墨で描かれているが、その中でも濃淡があり、その微妙な色の違いがたいへんよかった。
没骨法で描かれた蓮は、版画のようにもみえる。
この花の絵の前に、須田の白椿を伊賀の花入にいけたのを置いている。

十牛図 扇面に円囲みが五つずつ、そこに十牛図のシーンが描かれる。表装は鈴木其一の稲穂が乱れる図。
童子と牛がたいへん可愛い。特にニコニコする牛がいい。ひづめも可愛い。
1.「おーい、どこ~」2.「あっ」3.「いたいた」(そぉーっと後ろから近づく)4.ツノに紐をひっかけたけれど5.牛が笑いながら逃げる
ここまでが右。次からが左。
6.牛を引いて帰る。牛はニコニコ。7.ニコニコ牛は童子を背に乗せてやり、童子は機嫌よく笛を吹く。8.何故か現れる布袋さん。9.家でくつろぐ童子とニコニコ牛。10.大満月。

韋駄天図 細く縦長の画面の上部に韋駄天がいる。その下に賛が長々と続く。面白い構図。

和やかな心持になる。古代礼賛・中世礼賛、本当にその想いが伝わってくる。
面白い展覧会だった。6/10まで。
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