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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

美しき日本の風景

ukiyoeTOKYOで新版画による日本の風景を楽しんだ。
前月は創作版画による風景、前々月はまた・・・
とにかく今月は新版画の日本の風景。
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新版画は浮世絵の系譜に連なるので、線描の美しさ・職人の技芸を楽しめる。
創作版画も好きだが、新版画のほうがわたしは好み。
心持的には洋画と近代日本画の違いのような。
むろんどちらも木版画。
浮世絵~近代日本画+新版画、そんな系譜があるように思う。

近年はとみに川瀬巴水の人気が高いが、ここでも彼の名品がたくさん出ている。
また吉田博の魅力的な作品も多い。
時代層は微妙にずれるが、どちらも共に美しい描写を多く生み出している。

「美しき日本の風景」ということで、まず山々から。
富士山を描いたものが多い。

巴水 田子の浦の夕 富士山を背景に、松原を荷馬と共に行くヒトの姿がある。昭和15年という時代を考えると、「働くまじめな日本人」をテーマにした作品が世に求められていたのだろうか。しかしのどかな風景ということに変わりはない。

元箱根見南山荘風景 芦ノ湖の夕富士 夕日に染まる芦ノ湖。広々と美しい。アルムの山のよう。

土屋光逸 朝の富士 河口湖 水面に映る湖畔の家々。こういう情景もやはり懐かしい。

吉田博 「富士拾景」シリーズから。 
興津 紫色の富士、そして水面にも富士が浮かぶ。
山頂 劔ケ峰 富士山講の人々が休憩中の様子。
むさしの 田畑からみる富士。

日本南アルプス集 駒ケ岳山頂より 手前の石山から向こうの青山を見る。雲が広がる。
日本アルプス12題のうち
立山別山 白い霧が出ている。雪の残る山腹、そこに小屋がある。
穂高山 これは帝政ロシア末期のビリービンの世界を髣髴とさせる。湖、山、森。ロシアの魔女バーバ・ヤガーが現れそうである。


諸国名所 実際決して行くことのできない場所である。だからこそいよいよ絵の中の風景にときめくのだ。

吉田博 
杉並木 日光。縦長の画面に林立する杉。その下道をゆく荷馬。幼児もそこにいる。夕暮れの手前の時間帯。
竹林 埼玉のどこか。こちらも縦長。竹林の中、小暗い中。かぐや姫はいそうにない。
陽明門 神官が石段を降りてくる姿を捉えている。手に何かを持っているが、遠目なのでそれはケータイに見える。昭和12年。
瀬田の唐橋 松を枠にして、そこに風景がある。狭い風景。行き交う人々。
猿沢池 柳が揺れる。桜を遠くに。興福寺の塔のシルエットが見える。

次に連作もの。「櫻八題」から。いずれも桜はすべて茫洋と広がり、どのように彫ったのかと思うのも楽しい。
鐘楼 子連れの女たちがいる。桜は茫洋と咲き零れている。果てのない桜。水溜りにも桜。吉祥寺の風景。
三渓園 ロングで捉えられた花見の人々。座して宴を楽しむのではなく、歩きながら桜を愛でている。抑制の利いた花見。こちらも水に映る。
花盛 本牧のどこかで。露天なども出ている。正しい(?)花見の様子。おでんもユニオンビールもある。しかしナマナマしい人々の頭上でやはり桜は茫洋と咲き開いている。
嵐山 川辺で。小舟がたくさん出ている。実際この光景はわたしも見ているし、舟にも乗っていた。なにか懐かしい心持がある。

巴水
木曾の寝覚 真昼。日差しで岩が白く見える。お堂あたりの松が色ずれしているように見えた。これは違うところでも見たが、そのとき松にそんなのは感じなかったような気がする。
日本風景選集 長門峡かやケ淵 しぃんとした沼。秋。上は白波が揺れ、下は静かな青い水流。
阿蘇の夕(外輪) 雄大な阿蘇山で牛と行くヒトあり。なんとなく心も広がる。
大島岡田港 椿の咲く町内。あんこさんがいる。可愛い母子など。
目黒不動堂 丸髷さんがお堂の中へ入ろうとしている。木漏れ日がいい。
高野山鐘楼 雪に埋もれつつある。グレーの世界。一人行くヒトあり。この静けさを味わいたい・・・

三木翠山 初夏の保津川 この保津川下りは楽しい。屋根つきの舟らしい。男客たち。船頭も勢いがある。挿絵風な面白みがある。

笠松紫浪 信州 上林 ここの温泉には浸かっていないが遊びにはいった。
民家がある。雨の日。田圃に家や倉が映っている。雨の日でも野良で働く人々。

浅草観音堂大提灯 紫浪を知ったのはこの作品からだった。たぶん江戸博の展覧会でだと思う。真っ赤っ赤な大提灯、多くの人々がやってくる浅草。活気があっていい。
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橋口五葉 神戸の宵月 これはついこないだまで東博で出ていた。柳がいい感じになびいている。神戸のどのあたりかはわからないが、なんとなくいろっぽい。

京都三條大橋 こちらも共に出ていた。三条は本当に多くの人が歩いている。

やはりこれら名所を見ていると、郷愁に噛まれてしまう。
70年以上前の日本の風景に涙ぐみそうになる。

夜景がいくつか。
巴水 大宮見沼川 蛍がいっぱい。白で丸く表現されている。家の灯り一つがぽつんと見える。

但馬城崎 雨。宿の灯りも水に流れる。傘を差して行く客一人。風情がある。城崎に行きたくなってくる。

光逸 東京風景 上野公園 柳はもう枯れている。静かに不忍池がひろがる。

柳橋 にぎやかな夜の街。店の提灯が可愛い。芸者の姿は遠い。シルエットが動く。三味線の音色が絵の中から聞こえてくる・・・

吉田博 東京拾二題 神楽坂通り雨後の夜 これも好きな作品で、神楽坂に行くと、今もこんな風景に出会えるような、そんな期待が湧いてくるのだ。八百屋の前の道。
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紫浪 春の夜 銀座 柳がある。寿司屋台も出ている。おそば屋の看板もある。モガが行く。地下鉄のためのか、空気孔が。そして「東おどり」の宣伝がある。雰囲気が生きている。

最後に古城を見た。
吉田博 東京拾二題 旧本丸 雨の日、女が二人歩く。木々が多い。

姫路城 手前の堀の柳などが鬱蒼としている。薄紫の空を背景に白鷺城が映える。姫路城は今、大修理中。

巴水 桜田門 巴水ブルー。青い夜。水に映る美しさ。

楽しく「美しき日本の風景」を楽しませてもらった。6/24まで。
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