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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

報道写真とデザインの父 名取洋之助 日本工房と名取学校

日比谷図書館で名取洋之助の展覧会を見た。
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名取洋之助を知ったのは、森田信吾の「栄光なき天才たち」からだった。
見に行く前に再読して、彼の生涯のアウトラインをちょっとばかり予習しておく。
彼が主催した日本工房の仕事はこれまでにもほかの展覧会で色々見てきた。
そこから飛び出して世界的写真家になったのは土門拳だった。
ほかにも亀倉雄策がいる。
みんな名取の強烈な個性に腹を立てたりしつつ、その才をその翼を伸ばして、世界へ羽ばたいていった。

最初に名取の告別式の後の追悼の音声を聞きに行った。
木村伊兵衛もいれば岡本太郎も故人の思い出を語っている。
藤本四八の話が興味深かった。
それを聞いていると、こちらも追悼式に参加している気になってきた。

名取の写真を見る。彼の撮ったアメリカの風景が面白い。
日本人の見たアメリカの風景ではなく、(日本人ではないのだが)やっぱり違う国のヒトの見た光景、それが形になっている気がする。

1936年のベルリンオリンピックを取材したものがある。
決して芸術写真ではなく、やはりここにあるのは報道写真、またはスポーツ・ジャーナリズムの写真なのだった。
「決勝のトラックへ向かう大江季雄と西田修平」地下通路を行く二人。とてもかっこよかった。

このオリンピックはレニ・リーフェンシュタール「民族の祭典」の映像を思い出す。そして我が日本では「前畑がんばれ!」である。
その前畑秀子が金メダルをとった瞬間の写真もあった。

ベルリンオリンピックといえば、手塚治虫の晩年の大作「アドルフに告ぐ」があることも忘れない。
物語の狂言回しとなる、新聞記者峠草平がここに派遣されていて、そこから彼は事件に巻き込まれるのだ。
峠は新聞記者である。そのことを思いながら名取の「報道写真」を見るのも面白かった。

名取の恋人メッキーのポートレートが何枚かある。
「ライカとメッキーが名取を男にした」という言葉もある。名取のデビュー作品はメッキーの撮ってきた「宝探し」だった。
その複製写真を見てからメッキーを見ると、いよいよかっこよく思えた。

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日本工房の仕事を見る。土門拳の撮ったものをみる。
「日本の手工芸品展カタログ」である。人形作りなどの行程を執拗に捉えている。犬張り子が可愛い。
これらを見ていると土門の「文楽」写真集が思い起こされる。

ほかの写真はある個人(政治家)の日常を捉えたもので、これはまた面白かった。
土門の肖像写真を撮るときのエピソードなとを踏まえて眺めると、やはり面白く思う。

藤本四八の写真もある。
この展覧会の数日後に世田谷で藤本の仏像写真を見ている。モノクロームの面白い構図がなかなかよかった。

「名取学校」で鍛えぬかれた人々の仕事をみてゆく。どれも皆とても興味深い。
そして「日本工房」の人々の名を見ているとドキドキしてくる。山名文夫に河野鷹思、熊田千佳慕もいる。
「報道写真とデザインの父」と名取がさされるのも深く納得する。
見所はほかにもたくさんある。自分が面白いと思うものを見てゆくのもいいと思う。
6/26まで。
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