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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

巨匠でたどる日本の洋画 信越放送所蔵品から

続いて、静岡駅前にある駿府博物館での日本洋画の展覧会についても感想をあげたい。
「巨匠でたどる日本の洋画」と題された展覧会。
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信越放送の所蔵品を見せてもらえる企画なのだった。
7/1までの開催で、私が知ったのは静岡にゆく直前だったから、危ないところだった。
大阪にいては間違っても信越放送の所蔵品など拝める日は来るまい。都内にも行くとは思えない。本当に嬉しいタイミング。
こちらの展示も先のと画家がかぶるので、同日にあげることにした。
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浅井忠 グレー風景  白い洗濯物が日を浴びている。和やかなある午後の様子。水彩画のあっさりさがふさわしい。
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原田直次郎 神父 横顔の威厳ある神父。「靴屋の親父」に並ぶ名品ということだが、確かにどちらにも人間の威厳が備わっている。

中村不折 裸婦坐像 後ろ向きに木椅子に座す女。尻肉が広がる様子がリアル。
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安井曾太郎 裸婦立像 随分ぱんぱんに膨れた肉を描いている。安井の目はリアリストの眼だから妙な美化はしない。しかし楽しいものではない。絵としてよいかどうかの判断以前に。そしてこの二点をチラシに並べているのがやっぱり気に入らないのだ・・・

藤島武二 大洗 ピンクの空と水色の海と。ここが海水浴場として人気になったのは、当時人気絶頂の女形役者・中村福助(後の五世中村歌右衛門)が行ったからだという伝説があるが、絵で見てもいい雰囲気の海と陸だった。

岡田三郎助 巴里公園 小さい縦長のセピア色で満たされた絵。公園内の池のほとり、ローマ風な装飾柱の立つそばに母と小さい娘がいる。そこに寄り添うように白鳥がいる。
パラソルの母も小さい娘も白鳥も静か。
その空間だけを切り取って額縁に入れたのが、この絵だと思った。

和田英作 裸婦 寝そべる裸婦を顔を見せずに頭から足元へかけて描く。やせた女。

中澤弘光 憩い ガウン姿の女がどこかを見ている。間近に顔がある。しかしこちらをにらみつつ、遠くを見ている。

熊谷守一 亀 墨絵で機嫌よくカメを描いている。どんっとカメがいる。うむ。

中村ツネ 髑髏のある静物 カシコそうな髑髏に見える。モデル慣れしているような。

赤城泰舒 少女 大柄な更紗の壁紙の前に立つ少女。白いセーラーにブルースカーフが可愛い。学校の制服ではなく、これは好きで着ているセーラーらしい。

牧野虎雄 松 この平明さ!赤松が三本並び、その奥に緑の庭が広がる。白百合が三つばかりのぞく。細かく描くのではなく、大きくわかりやすく色を置く。明るく、とても魅力的な絵。

岸田劉生 自画像 半券にも選ばれているが、わたしは劉生の自画像は好きではない。正直なところ、こういうツラツキの奴がこんな風に立っていると、それだけで腹が立つ。

長谷川利行 二人の活弁の男 眼鏡に着物の男と、七三にスーツの男と。どちらとも長谷川は飲み屋で知り合ったらしい。二人の男の性質の違いはその口元や目つきにも描き分けられている。活弁も隆盛の頃は凄かったらしいが、トーキーが来ては・・・
きちんと色塗りが終えられているのかどうか定かではない、しかしこの二人の空気を示すには、やはりこうした描き方がベストなのだと納得した。

長谷川潔 酒杯にさした草花 マニエール・ノワールで表現されている。とても静かな。

河野通勢 立てる裸婦 不可思議な微笑を口元に見せる裸婦が、川で魚を取っているらしい。網を持って立っていて、その網で魚が飛び跳ねている。ボードに描かれているからか、茶色い色彩の女は立ち位置を変えて眺めると、もう笑ってはいなかった。

裸婦 先の絵より七年後のもの。こちらの方が古典的。構図はヴィーナスのくつろぎとでもいうようなもの。体の線も顔立ちもそんな方向。綺麗だが面白味に欠ける。

鈴木信太郎が三点並ぶ。信太郎の明るさがよく出たものばかり。
諏訪湖風景 明るい諏訪湖。これを見ていると自分もまた諏訪湖へ行きたくなる。
桃 青い桃だが、もう少し待てばおいしくなりそうだと期待する。
人形 各国の人形が並ぶ。人形が別な人形を抱っこするものもある。合唱しているようにも見える。7体の人形たち。 

林武 女 パステルで描くと、林の個性もこんな風に妙に色っぽさを見せるのか。群青色と黄色の衣装に、眼を閉じたその白さ。妙にときめいた。
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村山槐多 女 彼を決して見ない女。それでも彼は執拗に描いている。

前田寛治 婦人像 知人そっくりな人がいるので、懐かしささえ感じてしまった。配色は暗めだが、とてもシックでいい。

野間仁根 薔薇 明るい薔薇。黄色に縁取られた赤い薔薇、それらを生ける瓶を見ると、金髪の少女像がある。寝そべる少女。ミルクのみ人形のように。

佐伯祐三 絵の具屋 臙脂色が魅力的。たぶん、マホガニー。
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三岸節子 メキシコの壷と花 パステルで描かれているが、花は平穏な中にあるのではない。チリチリチリと花は電波を出している。どこへそれが届くのかは知らないが。

菊池一雄 まめだるま 金色に見えるブロンズ像。少女が胡坐を組んでいる。裸婦。可愛い。

他に信越放送の広報誌「日本の屋根」表紙の原画が並んでいた。
これらは信州所縁の画家たちの手によるもので、広い信州の各地を描いたものや、風物を絵にしたものもある。
こういうのを見ていると、地元のつながりの大切さを大事にしているのを感じる。

小さい企画展だったが、とても楽しめた。
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