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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

浮世絵猫百景 国芳一門ネコづくし 後期

太田記念美術館で「浮世絵猫百景 国芳一門ネコづくし」の後期展をみた。とても楽しい展覧会だった。
前期の感想はこちら
後期もやっぱり大繁盛で、その日は土足で上がれと指示が出ていた。
よく考えれば猫も土足で好き勝手に表も外も歩き回るしなあ。
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畳の上を歩くとキモチいい。ネコはフローリングも好きだが畳も好きだ。
そんなことを思いながら大きな床の間でネコの軸をみる。
歩くと絵より先に解説が見えた。「猫娘」とある。
頭の中にゲゲゲの鬼太郎の人気者の顔が思い浮かぶ。
明治後期の猫娘は頭に手ぬぐいをかぶっていた。

他の肉筆画を見ると、猫を抱っこしてるお姐さんがいた。
この気持ちはよくわかる。猫を抱っこして高い高いもしてみたくなる。
江戸の人も平成のわたしも変わりがない。
歌川貞秀 猫を抱き上げる美人 猫にリボンついて可愛い。

猫の当て字を見ていると、白人の奥さんが英語でメモを取っていた。
「かつを」「たこ」を懸命に表現しようとしている。
単に字面の問題だけでなく、江戸の人々が「かつを」をいかに愛していたかを説明したかったが、わたしの語彙にはその範囲は外れている。
しかしアメリカ人ではヘミングウェイやル・グィンはともかく、どれほど猫が愛されているか知らない。知人の話では黒猫を嫌がる人々が多いのは確かなのだが。

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それにしいも第二章の「猫の一日 遊んで眠ってしかられて」は本当にリアルなタイトルだと思う。わくわくする。よーくわかる。
やっぱり猫はいたずらしてなんぼ、という気持ちがある。悪いことをする猫をしかりたい。
ねこもわざとしかられることをやる。
そしてそんな猫を溺愛するのだ。

磯田湖龍斎 猫に金魚 これなどもホント「わるものねこ」。ほかにもいる。
北尾重政 美人戯猫 暴れん坊の猫。太夫も猫に振り回され。

一方甘やかされている猫はリボンつき。ついていても噛むときは噛む。
国芳 山海愛度図会ヲヲいたい この猫も前々からわるくて可愛い猫で好きな奴。
猫は確かに抱き上げていると、こうやって噛む。でもひどい噛み方はしない。だからこの美人も「ヲヲいたい」が、「もぉカワイイ~」でもあるのだ。
猫がかむのをやめたら、今度はこの美人さんが猫をカイグリカイグリして、挙句はギューッとして、また噛まれたり噛んだり・・・

だから芳年の「風俗三十二相 うるささう」もとてもリアル。こっちは猫にスリスリする娘さん。猫はちょっと迷惑そうなのだが、しかし猫もそうそう噛むに噛めない。困ったお嬢さんに猫も黙ってされるまま。

国貞 当世俳優贔屓競(三世市川門之助) 猫を抱っこしている。それだけでポイント上がるなあ~と思う人もいたかもしれない。

国芳 妙でんす十六利勘 降那損者 フルナの尊者の見立てなのか、猫を懐へ入れる。
フルナは弁の立つ人だったっけ、忘れてしまった。

国芳 絵兄弟やさすかた 鵺退治 この絵を初めて見たのは近年の国芳展で。可愛くてリアルでどうしようもないほど、いい。
お魚くわえたわるい猫をしかる娘さん。ペチペチ叩いても聞くわけないのは、この猫の目つきでしれる。ウニャッとしていて、なんてわるくて可愛いのだろう。
心置きなくしかれる。

広重の江戸百の「浅草田甫酉の町詣で」の白ネコはしっぽが短いのがいかにも江戸風でかわいい。
神坂智子の短編に、江戸表から国元へ移った武家の妻女が地元のネコのしっぽの長いのをいやがる、というのがあった。
また、浅草田圃といえば明治の役者・沢村源之助を思いだす。彼は「田圃の太夫」と呼ばれた名優だった。
このネコも耳を立てながら外を見るともなしに見ているらしい。

国貞 美人合 春曙 美人さんが廊下でネコの手を取って歩かせている。
これを見ていると、友人のネコを思い出す。友人はネコに六甲おろしをマスターさせていた・・・

小林清親 カンバスに猫 面白い構図。これは西洋の童画ぽくもある。やっぱり猫は何をするかわからないところがいい。

猫のオバケ 
前期も楽しかったが、後期も楽しい。
猫が出てくる怪奇話といえば鍋島の化け猫騒動、猫岳の猫が大量に猫の出てくる話で、いずれも九州。小説では朔太郎「猫町」が最高にいい。

国芳の「岡崎」のネコたちは前期にその可愛い姿を見せていたが、後期も「日本駄右エ門猫之古事」の化け猫たちが機嫌よく出ていた。
前述の猫は向こう鉢巻とほっかむり、こちらは夜鷹かぶりである。手下の猫たちもちゃんと尾が裂けている。
そういえば国芳の「猫飼好」の岡崎は「尾が裂け」だった。ピッタリ。

国貞 五十三次のうち岡部丸子の間宇都谷猫石 秋草生い茂る夜の庭に猫型の石が。いや、石の猫がいる、というべきか。こういうのも面白い。

国芳の弟子・芳員の「怪談妖物双六」がまた面白かった。
上がりが古御所の妖猫なので、逃げ場がないのが楽しい。

猫は千両役者

舞台のあちこちに猫がいるのも楽しいが、やっぱり猫顔役者のパロディものが面白い。

国芳 流行猫の戯 梅かげ枝無間の真似 梅が枝の「無間の鐘」のパロディが楽しい。手水に見立てたタコに手を起き柄杓を手にする梅が枝。そこへカネの代わりにアジの開きがパラパラと降ってくるのだ。
落語にもこのパロディはあるが、猫でやるとやっぱり面白い。

ほかにも「おしゅん伝兵衛」もある。この詞書がまた楽しい。このカップルは屋根の上でデートしていたが、もう会えないのだという。

こういうのを見ていると、芝居が見たくなってくる。(ただしヒトの演ずるのが)

猫の仕事・猫の遊び
どれをみてもなにを見ても働いてるようには見えないネコたち。
ヒトがワイワイしている中に身をおいて居眠りをする、そんな様子が見て取れる。
尤も「鼠避けの猫」は確かに実感がある。
わたしは本当に鼠と言うものを見たことが殆どないのだ。猫のおかげだと思う。

猫の事件簿
仁木悦子の小説のようだww

国芳 見立挑灯蔵・三段目 提灯の中に三段目の高家への賄賂とその目録図が描かれ、メインのほうは立派な魚介類と文と猫とが。猫が高師直という見立てらしい。

釈迦御寝はん 周囲に明治時代の男女が集い、声を挙げて泣いている。いろんな職業のヒトがいるようで、様々な思惑もありそう。その間に猫もいて、これは泣いているのだが赤いベロを出しているようにも見える。なんなんでしょう。
ところで涅槃図には猫はあんまり描かれないので、わたしは涅槃図を見るたびに猫がいないか探すのを楽しみにしている。

猫のまち
前期も楽しかったが、後期も大いに楽しむ。
明治になって赤絵の具が入ってきたから、いよいよ画面がにぎやかになっている。

芳藤 新版猫の戯画 猫が地獄の役人で、罪科ある鼠を処罰する図。赤がとても効いている。賽の河原にはお地蔵さんの替りに大黒様。獄卒の猫たちはみんなコワモテ。

国利 新ぱんねこ尽 ピンクの楓と白地に斑の猫たち。眠る猫が可愛い。大猫が小猫をぐいっと抑えていたり、お櫃のご飯を食べようとする猫がいたり。
千年二先年くらいでは猫の生活もあんまり変わらないらしい。

猫の温泉(銭湯)図も色々ある。
これは明治初期の東京の銭湯の様子をみる資料にもなる。
ところで別役実と佐野洋子で組んだ「ねこのおんせん」というブラックユーモアの効いた絵本がある。佐野洋子といえば「100万回生きたねこ」がすぐに挙げられるが、彼女の描くほかの猫もまたかなり凄まじい。

大新板猫のいしょうづけ これはいわゆる着せ替え人形で、オス猫の着替えには巡査らしきのもある。非常に面白そう。

ああ、今回も本当に楽しかった。図録も手に入れられて嬉しい。
また、ありがたくもポスターもわたしの手元に来た。
何から何まで嬉しい尽くしの「浮世絵猫百景」だった。7/26まで
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コメント
No title
「猫の一日 遊んで眠ってしかられて」
うわぁ、楽しそうですねー

それにつけても、東京がうらやましい...
2012/07/24(火) 15:07 | URL | とんぼ #uaIRrcRw[ 編集]
☆とんぼさん こんにちは
やっぱり猫は遊んで眠ってしかられて、ですよね。
今日もうちの猫、そんな感じです。
2012/07/25(水) 10:09 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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