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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

メトロポリタン美術館展

東京都美術館の「メトロポリタン美術館展」の初日に出かけた。
主催者側の発表では開館前に300名並んだそうだが、わたしもその1/300か。
そんなに早く出かけたのにこんなに遅いのは、諸般の事情により・・・要するに怠慢と家PC不調が原因なのでした。
今回はそういうわけでとりあえず感想だけ先にあげる。
いつか気合が満ちれば画像もあげるときが来るかもしれません。
(10/14修復したので画像追加します)

展覧会のコンセプトは以下の通り。
「大地、海、空―4000年の美への旅」
本場のMETには行けそうにないわたしには、とても嬉しい展覧会だった。
なお画像は公式サイトにたくさん出ている。

第一章 理想化された自然

ニコラ・プッサン パクトロス川の源で身を清めるミダス王
ギリシャ神話のミダス王の説話から。しかしこの王様は、数ある王様の愚か話の主人公として名高い逸話を二つも持っているのは、すごい。たいがい懲りないといけない。
さて、絵だけを見れば裸族のオヤジが二人と赤ん坊が二人なにやら怪しいムードで、という感じなのだが、むろんそういう内容ではない。
草冠の人がミダス王、その膝元にいる男は「川の擬人化」と説明がある。
太い木のその枝に服を引っ掛けて、ミソギをしているらしい。人間あんまり欲張ってはいかん、という教訓も含まれた絵なのかどうかは判断できない。
そばの子ども二人はヒトではなくやはり何かの擬人化もしくは暗喩か。
土の色と暗い草の色がメインの中で、ちびの一人がまとう白布がアクセントになっている。

レンブラント フローラ 帽子の上に「フローラ」らしく春の植物。優しくもしっかりした横顔。大粒の真珠の首飾り。布の質感のわかる服と黄色いエプロン。エプロンには又花が。そして彼女の手にも花が。あの花は誰に与えられるものなのだろう。ヒトではなく、季節そのものの変移を示しているのだろうか。
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第二章 自然のなかの人々

音楽を奏でる男女の羊飼いのタピストリー (南ネーデルラント)
背景には様々な植物が実りの色を見せている。羊だけでなく鳥もいて、草の実をついばんでもいる。
男が吹くのは皮袋を工夫した楽器か。バグパイプのような音色が響くのだろうか。
そして女は少し伏し目がちに何かを読んでいる。
時間の流れの止まった世界の美が、ここにある。

ティントレット モーセの発見 王女が侍女にモーセの世話をさせる。じつはこの侍女はモーセの実母だという。背後にいる男たちは彼の未来または過去を騒がせるものたちか。
王女の衣裳の美しさ、侍女の胸の白さ。それらが目に残る。
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ブーシェ 使者の派遣 若い男のそばにいる白い鳩、アフロディーテの使い。羊飼いの男の指す指の先には何があるのか。夢みるよう少年のような横顔。傍らの犬は主人の指先をみつめる。木の繁茂と向こうの空の雲のモコモコ、羊の毛並み。ふわふわモコモコの質感が伝わってくる。

ドラクロワ 嵐の最中に眠るキリスト ホントだ、よく眠っている。みんな慌てふためいているというのに。櫂まで流してしまった奴もいるのに。
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「聖☆おにいさん」でのイエスは船酔いの激しいヒトなのだということを思い出す。
もしかするとこのイエスは酔い止めのために眠りこけているのかもしれない・・・

ミレー 麦穂の山:秋 三つの麦山の上空に黒雲が集まっている。そしてその麦山めがけて羊が走るように見える。(よく見ればそれぞれ草を食むだけなのだが)
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なにか不穏なときめきがある。シュールな恐れすら感じて。

ルノワール 浜辺の人物 沖にはヨットも出ている。少年がこちらに背を向けている。深呼吸するのか小石を投げるのか、何をしているかは定かではない。
手前の女二人も会話が途切れたようである。寝そべる白い犬が座す女を省みるように、首を曲げている。しかしこの犬もまた何を見ているかは。
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海のエメラルド色、立つ女のスカートの色、帆やスカーフや犬の白。
少しずつ薄い青が潜められている。

ゴッホ 歩き始め、ミレーに拠る 模写したにしてもやっぱりゴッホが描くとゴッホの絵になる。木の茂り具合、男女の服の具合、手押し車・・・ミレーの構図で描いたゴッホ作品。
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ゴーギャン 水浴するタヒチの女たち 真ん中に裸婦が立つ。見事な茶色い肌。左手奥の女はそれを横目で見ている。体の線は妙にぎこちない。一つ一つの配置は工芸品のための絵に近い。立つ女の左手の長さを考えるとちょっと変だが、この絵はこの枠の外にもまだ続きがあるように感じられる。
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第三章 動物たち
太古の時代からヒトは動物の姿を自分の手で再現している。
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メソポタミアの牛、ギリシャの馬、エジプトの隼、猫。いずれも畏れと恐れと親しみとがある。
中世フランスのキリスト教の儀式用の容器は鳩の形をしている。
ニュールンベルクのライオンの水差し、イタリアのライオンの顔を模した兜。
中世ではヒトこそが万物の長だという意識で動物の形が拵えられてゆく。
ザクセン選定侯アウグスト二世の時代に生まれたワシミミズクの磁器を見ていると、その治世下で様々な逸話が思い出される・・・

ティファニースタジオ ハイビスカスとオウムの窓 このステンドグラスが素晴らしかった!これはもう綺麗で綺麗で。ハイビスカスは白く表現されている。オウムは青。色の取り合わせのとても綺麗なガラスだった。
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最後にはポンポンの白熊が出てきた。今流行の白くまカフェでも開けそうな白くまである。大好きなシリーズ。
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第四章 草花と庭

花のモティーフのタイル(トルコ) これはINAXギャラリー大阪の旧店舗の階段に飾られていたのを思い出す。他に三鷹の中近東センター。明るくて可愛らしいタイルで、とても好きだ。イスラームにとってこの空間はすなわち宇宙なのだった。

一角獣のテーブルカーペット(北ネーデルラント) 中央に花々に囲まれた一角獣がいる。その四角い空間の周囲にも花の塊と、少し小ぶりな囲み内の一角獣とが列ぶ。細かい仕事だといつも思う。

ガレ せり科の植物の飾り棚 上部にせり科の植物の影が見える。
扉にはモザイクがある。蝶々のモザイク。薄い板をはめ込んで拵えたのだろうか。可愛らしい。

ルドン 中国の花瓶に生けられたブーケ 臙脂色の背景に白い花瓶いっぱいの花々。特にどの花が目立つということもなく、等しく美しい。
先般、三菱でルドンの巨大な花の絵を見てから、とても親しみを感じるようになっている。
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第五章 カメラがとらえた自然

アルフレッド・スティーグリッツ 切妻とりんご この遠近感のよさ。水にぬれたりんごと、切妻屋根と。わたしはこれを見て赤毛のアンの家を思い出した。あの窓はアンの私室の窓かもしれない。アンは窓を開けてこのりんごを見て、鮮やかな妄想にふけるだろう。

アジェ 池、ヴィル=ダヴレイ この甘い赤みかかったセピア色の美しさ。秋から初冬の頃だろうか。1923~25年の写真。この40年後にここを舞台にした映画「シベールの日曜日」が生まれる。あの映画を思い出させてくれる写真。せつなさが胸に広がる・・・

杉本博司 ボーデン湖、ウッドヴィル モノトーン、二分割、揺らぎ。
改めて杉本の仕事を想う。

第六章 大地と空

ムハンマド・ザマン・アストゥルラービー(中世アラビア)平面アストロラーベ 砂漠の海を行くモスリムたちにとって天体観測機は大変重要なものだということは、わたしも色々と学んでいる。今、その現物を見ることが出来てとても嬉しい。

ライスダール 穀物畑 雲がモコモコ~それだけで嬉しいなあ。風車もある。17世紀のネーデルラント・・・

ゴッホ 糸杉 「糸杉」の持つ意味を少しばかり思い起こす。葬礼の道に並ぶのはこの木なのだ。
木も草も空も雲も妙な渦巻きを見せている。まるで燃え立つようにも見える。細い三日月でさえも渦巻きの一かけらのように見える。
昼なのか夕なのか夜なのかもわからない。

アンリ・エドモン・クロス 海辺の松の木 点描。手前の松と中の海と奥の島影と。構図だけで言えば日本画のようなやわらかさがある。これがまた線が入れば、やじさん・きたさんが現れそうである。

アンリ・ルソー ビエーヴル川の堤、ビセートル付近 何の木かわからない、妙にへにょ~と伸びた木の下には、ウリ坊のような道。右手奥には水道橋。秋の風情もそこはかとなく。人々が歩いている。なんとなく二頭身キャラのようでブロックのおもちゃのようだ。妙といえば妙なのだが、この先の道を歩きたいような気もする。

ホッパー トゥーライツの灯台 「ああ、ホッパーだ」と思った。遠くからでも日の光を感じる。日焼けしそうな気がする。雲は秋なのだが。少しばかり目を細める。丘の下から灯台と建物を仰ぎながら。

七章 水の世界

カエルの分銅(メソポタミア) 太古のカエルは形をそう進化させてもいなかった。可愛い。妙に可愛い。石に線を入れてカエルの形にする。飛鳥の亀石にも通じる、シンプルな造形。口の大きなところがいい。民族によっては神話にカエルの出番がある。メソポタミアの中でカエルがどんな位置にあるかは知らないが、しかしこの分銅は可愛い。

蛸のあぶみ壷(ミュケナイ) スペインは日本同様蛸を食べるが、ギリシャはどうだったのだろう。これはどう見ても「海の悪魔」のお仲間である。

アブ・ヤフヤ・カズヴィーニによる写本『被造物の驚異』からの一葉 山があり、浜辺には千年の劫を経たような亀。海の上では泳いでるヒトが気の毒に怪魚にガブッッ!またそこへ他の魚や白ヘビまで寄って来るという・・・またそれをターバン坊やが「ふーん」みたいな顔つきで見てるのも・・・ああ、坊やは亀を見ているのか?
どんな話がここにあるのだろうか。知りたい。絵に物語があるものにはそんな誘惑がある。

ティファニー社 カエルの盆 うむ、ジャポニズム。月に群雲、妙な羽虫が列を成して飛んでくるのを、腹を見せたカエルが見守る。笑っているのか・虫を食うつもりなのか。水草と流水もひどく日本的。

モネ マヌポルト(エトルタ) こんなにあの崖をアップにしたものは他にないのでは。波のザザーンッとした感じも近い。迫力がある。崖の構造もこんな間近で見ると、よくわかる。興奮してきた、こんな近くで見れるとは。

ウィリアム・ド・モーガン 魚の大皿 ギョッとする魚皿。前にモーガンの展覧会を見たが、いつも濃いと思う。

まだまだ良いものがたくさんあったが、本当に楽しかった。
もう一度行きたいと思う。ありがとう、METと都美。
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コメント
並んでみる体力が無い・・・
いいなあ、初日からかぁ。
今の血圧の高さでは徘徊は無理そう。
パソコンに向かうのも結構しんどい。
読書も同じく。音楽を聴いて横になっているのが・・・。
そう言えば、血圧が上がるこの一ヶ月、
車の中でさえBGMが無かった。
絵を見るのも音楽を聴くのも体力がいるようです・・・
2012/10/14(日) 17:44 | URL | 寧夢 #-[ 編集]
無理はいけませんからなあ
☆寧夢さん こんばんは

わたしは血圧が低いので朝はだめですね。たちくらみも年中無休w

> 読書も同じく。音楽を聴いて横になっているのが・・・。

音楽聴いて横になるのは、音楽にもよりますがたいへんよいそうですよ。
クラシックかオルゴールを聴きながら寝ると、体が非常に楽になるそうで。
血圧もそれでさげる、とかオルゴール療法のヒトは言うてましたわ。
なんにしろお大事に・・・
2012/10/14(日) 23:23 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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