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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

二つの「竹内栖鳳」展をみて・松伯美術館

過日、松伯美術館と山種美術館とで竹内栖鳳展を見た。
どちらも非常によい展覧会だった。
一つの記事まとめるつもりが長くなりすぎたので分けた。

まず松伯美術館の感想をあげる。
ここでは15点ばかりの作品が出ている。数だけでいえば少ないが、山種美術館には出ないものもあり、小品も多く、小さな喜びに満ちている。

熊 明治22年 まだ若い頃の作品。墨絵で屏風仕立て。
ほぼ20年後の「熊」はフルカラーで可愛い熊さんだが、こちらはモノクロの熊。
リアルな毛並。のっそりと雪の中をそっと掘って何か見つけたか、クンクン。可愛らしい。

雪中雀 三羽の雀が可愛い。こけたりする仕草がリアル。

大獅子図 藤田美術館ほまれの一点。四曲一隻屏風だが、非常に大きい。藤田では、二階の最奥の特別室のようなガラスの中に鎮座する。
この絵は1900年(明治33年)8月に欧州に遊学した栖鳳が、各地の動物園で模写したことが活きて、生まれた作品。
とても立派な風貌で、それまでの「唐獅子」とは異なるリアルな生物としての獅子。

ベニスの月 明治37年 これも四年前の欧州での見聞が活きている。
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サンタマリア・デッラ・サルーテ寺院。うっすらと綺麗な作品。コロー好きな栖鳳の勉強がここにも出ている。
作品は高島屋史料館にあり、史料館の解説によると、「雪月花」の一つ「月」を栖鳳が担当した。ちなみに「雪」は同世代の山元春挙「ロッキー山脈の雪」、花は都路華香「吉野の桜」というラインナップで、かなり雄大な「雪月花」である。
これら「雪月花」は日英博の「ビロード友禅 世界三里 雪月花」の下絵になった。
そしてこの「ベニスの月」の二、三年後の第五回内国勧業博覧会に栖鳳は「羅馬古城跡真景」を出している。

街道午蔭 大正八年 中央に木がある。かやぶきの家の中では女が昼寝している。庭には傘などがある。ある日ののどかな昼下がり。そして街道には荷馬車とひとがいる。
この説明だけでは横長の絵を想像するかもしれないが、これは縦長の軸装された絵。

群鴉 三羽のカラスが柿の木にいる。爪で柿の実を掴むのもいる。柿と鴉との色の対比が面白い。栖鳳は「ハシブトカラス」が好きだったそうだ。ベタぬりのようなカラスの質感がリアルである。
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春寒 引っ越した翌年の作。かぶらにかじりつく鼠。軽妙洒脱な良さがあるが、鼠にかじられたかぶらはどうなんねん、とついつい考えてしまう。

朝寒 昭和12年 白や茶色のアヒルの子らが身を寄せ合う朝。ふあふあの触感がある。
栖鳳は動物好きで、多くの動物たちを飼っていたそうだ。

松魚 青黒い魚がど―んっとそこにある。大、中、小のカツオ。尻尾はぴんと△。
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少しばかりピンク混じりなのが新鮮な雰囲気を作る。

南支風光 水の町。青衣の人々のつどうにぎやかな情景。栖鳳の愛した中国のどこかの町をイメージしたもの。
zen830-2.jpg 木下美術館蔵。

椿樹小禽図 これは去年五月に京都の虎屋ギャラリーで見たもの。
そのときこんな感想をあげている。
「たらしこみで表現された、幹の表皮の薄い緑、墨の濃淡で構成された椿の葉の厚さ。赤い椿は半分顔を隠すようにしながらこちらを見ている。そして木の根もと上の分かれたところに、文鳥のような小鳥がちょこんと首をかしげているのが可愛らしい」
鳥はヤマガラだった。附けたてという技法で、色画のみで拵えられている。線はなし。
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次に貼交屏風があった。これは実は栖鳳の色紙の印刷物を集めたものを丁寧に貼った屏風で、よほど大事にされていたのか、数十年後の今日でも綺麗にみえる。
本当の絵ではなくコロタイプのものであってもこんなに大事にされ、愛されてくると、その所蔵家の中では真物になるのだ。
絵はいずれもつつましいヒトの暮らしのものが集められている。
・富士のような山影がある。白に青の山に緑の丘が広がる。
・白鷺が岩に立つ。冬枯れで寒そう。和のよさを思う。
・あっち向きこっち向きの鯖が置かれている。さすがに料理屋さんの息子はこういう絵をおいしそうに見せてくれる。
・行き交う乗合船のある景色。水を汲むヒトもある。
・アヒル一羽が後ろ向きに佇む。
・平桶の柄と縁にそれぞれ雀が止まる。可愛らしい表情がよく見える。
・秋の林を行く農家のおかみさん。川がさやさやと流れる。
・一輪の椿による雀。紅椿、葉、雀、それぞれ技法を変えて描く。木と雀は没骨、葉と花は線描がくっきりと。
・千代田城の藻刈り舟。昭和のある年の春三月。栖鳳はこのモティーフが好きらしく、野間記念館にもこれと同じ構図の本画と色紙とがある。

色紙のシリーズがある。昭和13年、芸艸堂から出たもので「西鳳逸品集」と自署がある。
木扁を抜かしての自署というのも面白い。
印刷+一部加筆の色紙。いずれも洒脱であったりホンワカしてたり。
・岩にカラフルな小鳥が止まるもの
・墨絵でしっとり潤いを含んだ大気を感じさせる川岸を描いたもの、ここには柴舟をこぐヒトや川辺に洗濯を干すヒトもある。
・市女笠に取りすがるようにしつつ笑うキツネを描いたものがある。なにやら得意げな様子がいい。今昔物語風なムードがある。
・ 二匹のアマダイ(京都ではグジという)。頭の固そうな桜色のタイ。おいしそう。谷崎潤一郎はタイが大好きだったそうだが、たしかに関西だと色んなタイをおいしく食べられる。
・蛇籠にカラス。花びらがチラチラと舞う。
・中国の町。しっとり大気。赤い窓枠に青衣の人々。
・葱坊主と雀。雀は背を向けている。可愛い。
・曾我五郎が大根を積んだ馬を引く。歌舞伎十八番の1シーン。可愛い五郎。これは以前にも見ているが、この頃だと誰の演じた五郎だろう・・・
・水気たっぷり含んだ森。木橋をわたるのは大原女か。湿気が広がる。
・梅に目白が可愛い。
・中国の石橋と家のある風景。墨に含んだ水が広がっている。
・わんこ・わんこ・わんこww
・二羽の兎が寄り添ってウットリしたような目をしている。
・2本の桜の咲く野
・シャモ・・・わたしはニガテなので本画からも逃げた。
・たんぽぽとうさぎ。
・串刺しの魚がよく焦げておいしそう~~

この展覧会は既に終わっている。

なお現在、京都美術館の「京の画塾細見」展に栖鳳の「絵になる最初」が出ている。
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この背景の障子の秋草、雲母だと先日初めて知った。いつも女の方しか見ていなかったので、とても新鮮な気持ちになった。

また、「アレ夕立に」ともどもわたしにとってはとても懐かしい作品なのである。
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