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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ハノイをハイカイ その1

長らく待ち望んでいたベトナムハノイへの旅が始まった。
ところがわたしは飛行機が怖いので、行く数日前から重い憂鬱が広がり続けてきて、とうとうノイローゼ寸前になった。
つくづくアカン子のマリモ。
古いギャグが言えるだけマシかと思うが、実際には色々大変だった。
近年には東京にも新幹線で往来するようになったが、以前は飛行機だったから毎回神経が飛行高度より高く飛んでいた。
参った。
しかしベトナム行きはわたしが言い出したのだ。
今更やめましょう!とは言えない。
荷物の支度も特に何もせず夏物衣料を引っ張りだして、東京ハイカイの中身共々ガワが強いゴロゴロに入れ替える。中はスカスカ。
同行はシンガポール以来三年ぶりの20歳ほど年長の奥さん。彼女はとても旅慣れしている。

ベトナム航空の機体はエアバスで3x3の席。私は必ず通路よりに座る。同行の奥さんは真ん中席だが「態度が大きいのでラクよ」と笑う。うむ、確かにその通り。
6時間ほど乗ったと思う。機内食は変わったクリームスパと生ハム風なベーコンのサラダがよくわからない味で、パンとリンツァートルテはおいしい。
3年ぶりの海外なので英語も思い出せない。
日本語にもイマイチ自信がないのに英語もベトナム語もフランス語もサッパリで、よく出かけるぜ。

写真家・増田彰久さんの「建築のハノイ」本に触発されてのハノイツアーだが、丁度来月某社から増田さんを先生にしたツアーがあるので、それもモデルにしての「気ままにハノイ」5日間なのである。
フリープランなので現地ガイドに多少お願いする以外は、ほぼ全て自分らでなんとかしないといけないのだ。

機内では基本的にクラシックを聴く。アルビノーニのアダージョやドビュッシーの夢などが聞こえる。
完全に聴くのではなく聞こえるという程度の高さでいい。
建築のハノイ―ベトナムに誕生したパリ建築のハノイ―ベトナムに誕生したパリ
(2006/04)
増田 彰久、大田 省一 他




ハノイが見えてきた。
川と緑が多い。亜熱帯で稲作地帯。日本よりマイナス2時間。ロストラゲージにもならず安堵。
石原裕次郎の若い頃に似た係官に「サイトシーイング」とか「フィフスデイズ」とか答えながらベトナムの地に立つ。出迎えの若いお兄さんはショウバイ抜きのニコニコ顔で、いい感じ。

1時間ほど高速に乗るが、窓の外には植民地時代の建物が多く残り、それらが全てアジア化しているのが興味深い。
「アジアにおける西洋文化の受容とその変容」を関心事の一つにしているので、非常に面白いのだが、一方でその佇まいにはある種の無惨さをも感じる。
つまり西洋文化の名残が残っているがために、かえって剥落や汚れが目立ちすぎるということだ。
そしてそれを受容している、というよりも無関心であることに多少の衝撃を受ける。

農耕風景がみえる。牛がよく働く。東南アジアでは牛は非常に大事な働き手である。
ヤシと廃屋と新築ビルディングとが遠くになる。
やがて市街地に入る。植民地時代のではない古民家は赤い屋根瓦を乗せている。これは中国文化の影響。

△の竹笠をかぶる人々が見えてきた。
ベトナム戦争の頃に出た絵本「ベトナムのダーちゃん」の表紙絵を思い出す。
△の竹笠の人々は天秤棒を担いで物売りをしたり、座って店を開いている。
活気がある。しかしこの車とバイクの洪水はなんなんだ。
町は商売ごとの通りに分かれている。
靴は靴、額縁は額縁、服は服。
しかし歩道という物があるのか。歩く人はいるし座り込んで商売する人も多いが、なんなんだろう。
額縁屋の多さに感心する。しかも自作の絵を描いてそこに嵌める人もいる。
ベトナム人は絵を描くのが好きなのか。

湖が多い。大きな船が見える。レストランらしい。公園は人が多い。楽しそうだが、そこへ行く道が見えない。
あまりに車とバイクがあふれすぎている。
エコということをそろそろこの国も考えなければならないのではないか。

ホテルニッコーハノイ。河内大酒店。わたしらは日系ホテルでないと無理。
今回は今から人形劇+フレンチ夕食のオプションと、明日の半日観光を頼んでいる。
とりあえず五千円を換金すると1255000ドン。
デノミしてくれ~。全てホーチミンの肖像画入り札。
ホテルのロビーにはガラス越しにカラーが群生していて、蛾が飛んでいた。
蛾をガラス越しに見ると、蝶の舌同様クルクルとコイル状なのがよくわかる。


ガイドさんの出迎えでまず夕食へ行く。
ベトナムフレンチ。非常においしい。
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サラダがエビに薄切り人参に型押し切りポテトなどで大量。
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パンプキンスープの表面には可愛い花柄が。バリスタの仕事ですな~
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メインは魚か肉かなので、奥さんが魚わたしが肉にして半分こした。
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本当はマナー違反だけどまぁエエやん。
魚の方がおいしかったな。最後にベルギーチョコムース。
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今までいろんなフレンチレストランに行ったが、ここは近ければ愛用したいと思った。


水上人形劇にゆく。IMGP0649.jpg

丁度先日堺でアジアの人形劇を集めた企画展を見たところなので、ちょっと勉強したことになるかな。
非常に楽しみにしていた。
ずいぶん前にINAXギャラリーで音声のない映像を見たが、そのときは特に何とも思わなかったのだが、実物は全く違う。撮影は1$なのでやめたが、払えばよかったかも。
いや撮影すればライブ感が失われて楽しめなくなるか。
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芝居好きな奥さんがいう。「本水使用で御簾実演に生演奏ね」うむ、その通り。三人のお姉さんが二胡や琴やササラなどを演奏し、舞台説明をする。ベトナム語なのでさっぱりわからない。しかし上部に英語の説明スーパーがでる。
四角いプールの上で松に彩色を施した人形たちがすばらしい動きを見せ、物語や状況はわからずとも、非常に楽しめる。
満員御礼なのも大人気なのもチケット売り切れが多発するのも納得。
娯楽としても芸術としても非常に楽しめる。
何本かの演目がある。
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水しぶきと雷鳴が轟き、水上に龍と鳳凰とが現れ、戦うのか和合するのかわからない動きを見せた後、百の卵が生まれる。(ベトナムの創世神話にちなむ)そしていきなり百人の子供が現れるっ!!
この子供らの戯れが可愛いのなんの!!人形それぞれが個性も違って動きも変わって、実に楽しげに跳ね回る。
ものすごいテクニック。そこへ御簾音楽で尺八らしき音色がビィンビィンと響く。
また違う演目が始まり、今度はバンブーパインとか言う尺八らしき笛を吹く男が現れ、傘を差した美人たちに聴かせると、中の一人が男と仲良くなる。
そういえば尺八演奏で女をひっかける、というのは中上健次「千年の愉楽」にもあるエピソードだった。
次には蓮の花を持つ美人人形たちが続々と現れる。
優美な動きを見せる。
それにしてもうまい。千年の技芸は戦乱の中にあっても廃れなかったのだ。よかった。
ほかに片足を上げる伝統踊りのようなのがあったが、それや猟はよくわからない。
また木琴らしきものを演奏する人形たちが現れ、先に出ていた人形たちも再度現れると、客席から手拍子が起こる。
わたしもシャンシャン手拍子を送る。
いよいよフィナーレが近づいてきたが、どんな技能でこんなことが出来るのか、ただただ感心するばかり。
御簾の内から演者たちも現れ、人形も動きが楽しさを増し、お姉さんたちは光る蓮を手に手に踊る。
きれいで明るくて、とても楽しい。
レビューショウとして最高に面白かった。
本当によかった。

興奮を残したまま車に乗ると、窓の外から見えた素敵な窓がある。
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アールヌーヴォーとアールデコとが混在してもいる。

ホテルではジムとサウナでくつろぐ。
サウナはそんなに暑くはない。ホテルの前には動物サーカスがあるが、それに行くのは無理だろう。

ホテルの窓から見える風景。
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科挙について奥さんと話す。中国で生まれた科挙制度はベトナムにも渡り、ここでも大変な労苦があったのだが、何故日本にその科挙制度が根付かなかったか、と問う奥さんに対し、わたしは自説を延々と述べる。
つまり中国文化の影響下にあった古代日本ではあるが、政府は血縁社会であることを選んだため、実力登用の機会である科挙を敬遠した・・・
ある程度は正しいような気がすることをしゃべる。
初日はここまで。

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