FC2ブログ

美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ハノイをハイカイ その6

やっと最終日。10/28
桃李がお休みなのでまたブラッスリーで朝食。レモネードがたいへんクセがあるがおいしい。
ものを考えながら食べるので、食べ過ぎて汗をかく。
非常に苦しくなる。まだ恐怖が残っているのでこんなことになるのだ。
(結局その苦痛は31日の午前1時過ぎまでナマナマしく続いた。なんとか治まったのは「建築のハノイ」を読んだから)

雨が降っている。
ホテルの前のサーカス場の隣にある公園へ向かう。
フランス式庭園。
統一公園という名前らしい。IMGP0870.jpg

園内の地図IMGP0865.jpg

木々と道路。少しばかりの遊具もある。IMGP0871.jpg

噴水もある。IMGP0866.jpg

なぜか線路の跡も。IMGP0867.jpg

アスレチックスを思わせるようなものもある。
雨の向こうにはメリーゴーランドも見える。
誰もいないわびしさ、どこか松尾敏男の日本画に似ている。
4000zdnという安価だが有料なのと、今日は雨だからか、喧噪から遠く離れている。

池がかすむ。IMGP0868.jpg

                IMGP0869.jpg


大学生らしき一団がダンスの練習をする。
こういうのもいい。
わたしはダンスがとても苦手だ。
自分のできるダンスの話をしながらとぼとぼ歩く。
雨でもスモッグはひどい。

タクシーで女性博物館へ向かう。
二日ほど前に、歩いている最中に見かけたが中に入らなかったのだ。
ここは近代的な建物で、構造がなかなか面白い。
階段は吹き抜け空間に螺旋を描く。
その空間には何かのオブジェが吊り下げられていて、それがきれいだった。
IMGP0880.jpg IMGP0872.jpg


ベトナムと一言でいうても、地方により衣服や風俗は少しずつ違いを見せる。それが興味深い。
IMGP0875.jpg IMGP0876.jpg

IMGP0879.jpg IMGP0873.jpg

女性ファッション、女性の歴史、今後あるべき姿・・・
色々と考えさせられる展示ではある。
ジェンダーについて、フェミニズムについて、その他のことなど。
IMGP0874.jpg


結婚式の華やぎだけでなく、葬儀の様子も再現展示されている。
IMGP0882.jpg IMGP0881.jpg
その葬儀の派手さも民族の違いを実感させられる。

工芸品の美。
IMGP0883.jpg IMGP0878.jpg

四階では特別展示としてシンガポールの切手博物館の作品などがあり、三年前に見たときのことを思い出させてくれた。

オペラ座へ。IMGP0884_20121102160243.jpg

IMGP0885.jpg

IMGP0887.jpg IMGP0886.jpg

IMGP0888.jpg


IMGP0889.jpg

なにか中国風なというより京劇風な装束の人々のパネルをみた後、今度は西洋のオペラの宣伝もみた。
IMGP0892.jpg IMGP0896.jpg

IMGP0890.jpg
IMGP0895.jpg

おお、怪獣がいる。パリのと同じだ。IMGP0894.jpg

IMGP0891.jpg IMGP0893.jpg

わたしは歌舞伎と文楽は好きだが、オペラは関心がないので、見ていてもわからない。
きれいな花柄の装飾も続く。煉瓦もある。
たいへん見応えのある建物。パリの再現がここにある。

それにしても雨が降る。
アカシアらしき並木の下を通る。
アカシアの雨に打たれて・・・まだ死ねない。
とりあえず歩く、歩く、歩く。

なんでもこの雨は台風の影響らしい。
(後にこの台風でけっこうドキドキすることになる)

渡るに渡れない道路。思考が停止する。ふと手を掴まれたのに気づく。
おばあさんがお孫さんと手をつないでいるのだが、空いた手でわたしの同行の奥さんの手を掴み、奥さんがわたしの手を掴んできたのだ。
みんなでそぉーーーっと道路を渡る。
アジア人の優しさはこういうときに現れるのだ。
そういえばわたしでも危ない道路を渡るとき、小さい子供によく声かけしている。
ありがとうございました。

少し元気になるが、もうアタマが働かない。
足だけは動き続けるが、なぜ歩いているのかもわからなくなってくる。
地図を見ながら歩く奥さんの後に続くのだが、時折わたしはブルース・チャトウィンの作品のタイトルをつぶやく。
「どうして僕はこんな所に」
それから中上健次の作品タイトルもつぶやく。
「地の果て至上の時」
・・・・・

右と左を間違えながらも探していたカフェを見つけるが、予想よりよくなかったのでやめる。
ホアンキムエ湖のそばなので、結局再びリトルハノイに入る。昨日はクロックムッシュを食べたが、今日はバゲット。ベーコンとアボカド。バゲットはちと噛みにくすぎたが、ベーコン、アボカド、トマト、キュウリはおいしい。
IMGP0899.jpg

しかし店員によりあしらいが違いすぎて、ここは案外ダメだとも思う。色々と「それって・・・」なものを見てしまうとダメですなあ。

店で初めてほかの日本人と言葉を交わす。
とはいえわたしは日記を書き続けているので、しゃべるのは奥さん。そのひとはまだ30歳くらいでお嬢さん風だが一人旅だという。すごいな、わたしは海外一人旅なんて絶対無理。シンガポールなら何とかなりそうだとは思うが。

わたしは旅にでると極端に口をきかなくなるか、しゃべり続けるかのどちらかになる。
疲れすぎているからか、今のわたしは口を利けなくなっている。

また歩く。湖の中の亀の塔に向き合う形でリーさんの像がある。
IMGP0898.jpg
リーさんは千年ほど前の立派な人なのだが、こうして書いている今でさえ、結局あれが誰なのか理解していないことに気づく。

迎賓館、メトロポールホテル、国立銀行などを通り過ぎてゆく。
IMGP0897.jpg

元は素敵な建物だったはずの所へ向かうが、今は家電量販店になっていた。
それにしても何故なにも買うものがないのだろう。

またわたしはつぶやく。
「どうして僕はこんなところに」
しかしアタマの中にはチャトウィンのほかの作品、たとえば「パタゴニア」や「ダオメーの提督」を元にしたヘルツォークとキンスキー最後の協働映画「コブラ・ヴェルデ」が思い浮かんでいるのだが。


ようやくタクシーに乗りホテルへ帰る。
今日で最終とはいえ夕方六時までは部屋が借りられるのだ。
疲れすぎているので一旦ねてみたり、起きてサウナに行ったり。ああ、サウナはいいなあ。ここのサウナはそんなに高温ではないので、わたしにはいい。

ぐったりしてからようやく機嫌よくなって、帰り支度をしていると、奥さんがわたしを呼ぶ。
「電車よ」え、と思ったらハノイ駅を行く汽車が見えた。
ロンビエン駅で行き過ぎる汽車を見て以来か。
嬉しくなった。
わたしは列車で行く旅が好きなのだ。

部屋を出て初めてホテルロビー奥のショップへ入った。
おや、ここはまだ少しばかり商品があるのか。
わたしは初めてものを買った。
ジンジャーティー。110000zdn。残金は11000zdn。たぶん44円ほど。ははは。
今から換金なんかしたくないぜ。

晩ご飯は朝食と同じブラッスリーで。
お客さん、殆どいない。
サーモン寿司、海鮮をリクエストで焼いてもらったり、ピザなどかじる。
懐かしすぎるミリンダを飲む。今じゃ日本にはない変なオレンジジュースのミリンダよ。
しかしクワーズではなくコーラが入ってるところがまた面白い。

背中合わせの席にわたしと同年輩の女の人二人組がいて、「大変や」「かなんな~」と話している。
「どないしましてん」久しぶりにわたしは大阪弁で話しかけた。実は同行の奥さんは芦屋夫人なので、ほぼ標準語なのだ。
「イヤそれが台風で飛行機とびませんねん」
それを聞いてわたしら二人とも「え゛ーーーーっっ」叫んだね。
「マジですかーっ」「うん、わたしらJTBから連絡あって飛行機あかんから自己責任で連泊をと言われて」・・・
よくよく聞けば成田発着の便があかんらしい。
「えっそやけど、おたくら大阪弁ですやん、なんで成田なんかに」「いやそれが伊丹から成田経由にしてもて」「うわー、わたしら関空ですがな、関空はなんも聞いてませんで~」
そこで色々調べたら、成田発着便だけ台風のせいで飛んでこられなかったそうな。
関空は無事とか。びっくりしたな~
台風、そんなにひどいのか。
そういえば窓の外の植物、えらいこと風に揺れている。
うーむうーむ。

八時半すぎ、迎車がくる。
ベトナム人のガイドさんによれば成田はやはりあかんが、関空は大丈夫とか。
しかしベトナムに台風きてるので、空港まで時間かかるらしい。

ものすごいガタガタ道。高速なのにまるでオフロードみたい。参ったな~今回タクシーに乗る都度必ずきっちりシートベルトしたが、今回のワゴンでは二重にシートベルトしたいと思ったぜ。

一時間かけて空港に着いたら、今度はその大混乱に絶句。
びっくりした。
ようやく税関越えたらもう一時間以上かかってたことに気づく。
スーベニアショップは開いてるがブランド店はほぼ閉店。おいおい~
そしてショップでとりあえずお菓子でも買おうとしたらカードが使えない。
金はもうない。奥さんが私に10$渡す。帰国後に返さなくてはならない。
そこで色々お菓子を検討してたら店員がうるさいので色々これこれだとやったまではよかったが、その店員がイケズな娘で、わざと商品を落とす。ドルのつりにzdnを渡す。
今回初めて感じの悪いベトナム人と遭遇したことになる。
飛行機への不安が飛んだな。
つまりこの意地悪娘の行為に負の念が集中したのだ。
その意味ではいいことかもしれない。

残金21000zdnを持ってほかの店に行く。
栞があったので買いたいが1$でなくこれだけだと言うとokになるが、実はドルより高くついたことになる。
しかしキレーに残金がなくなったので、なんだか解放された気になり非常に清々しくなる。
どういうわけか、わたしは旅の終わりにすっからかんになるのが大好きなのだ。
ああ気持ちいい。

ベンチに座ってると隣に腰掛けてた何人かわからないような奥さんが話しかけてきた。
彼女は静岡空港から10分の人で、成田経由じゃ困るからとわざわざ仁川空港~静岡空港へ乗り継ぐというのだ。
これには仰天した。
「成田あれですて、台風で飛んでこなかったそうですよ」
「うん、仁川便も30分遅れになったんだよ。静岡とのつなぎかちょっと心配だけどさ」と明るい。
息子さんと二人でバッグパッカーとして旧市街地の安ホテルに滞在していたそうな。
こういう人と話すとほっとする。
息子さんも加わって三人で色々おしゃべり。

さてようやくフライト。
真夜中、今はもう日本時間で言えば二時。眠いはずだわ。
ふらふらうとうとで、ハッと気づけば朝食。和食にしたがまずいではないか。これはいかん。
おいしいのは「アサリのフライ、ショウガぞえ」つまりアサリの時雨煮。ほかは謎なものが多かった。

サティを聴きながらうとうとしていると、青と茜色と黒色の三層の空をみた。
夜と朝焼けとの情景。うわっと思った。非常にきれい。
そして左手には陸地と灯りが。
日本の夜明けは近い!!

着きました。日本の国土へ。
ラゲージも無事に現れ、その場で解散し、わたしはバスへ向かう。行きに買ったバスの往復券とスルット関西のカードで帰れるのだ。日本円はあるが使う気にはならない。
バスは朝のラッシュに巻き込まれているらしいが、寝てしまったわたしには何もわからない。

阪急に乗り、家へ帰る。
ああ、もうあと三年は海外へは出かけないぞ。
こうして旅は成就した。
関連記事
スポンサーサイト



コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア