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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

第64回 正倉院展

今年も正倉院展へ向かった。
昼前に着いたら30分待ち。朝イチは75分待ちだったそうだ。
しかし行列していると時間の感覚がなくなるので、実際にそれが本当の時間かどうかはわからない。

今年の目玉は瑠璃杯。zen863-1.jpg
18年ぶりの出陳らしい。学生の頃から通ってるからわたしも18年ぶりに再会と言うことになるか。
綺麗な青だが、間近で見るのは大蛇列。うねりながらゆっくり進むしかない。
わたしは別にいいや、で最前列のヒトの肩越しに眺める。
こういうときばかりは背が高い徳を感じるなあ。

離れて眺めると、丸っきりの青だけでなく、その透き通り方もよくわかる。
ガラスだという実感が迫ってくる。
なんという美しさだろうか。
ときめきが背筋を走り抜けてゆく。

今回はガラスの美麗なのが多くあった。
双六の駒やさいころなどなど、天平時代の王宮での優雅な遊戯を思わせる、透き通る珠などである。
水晶(水精)、黄瑠璃、藍色瑠璃、浅緑瑠璃、緑瑠璃、琥珀などで拵えられた双六子。
展示ガラスと照明とでいよいよ煌いて見える。
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他にも瑠璃玉の原材料や四角く切った飾り物などがある。

面白いのは、サイコロを振る筒もあることで、それを見ていた学生が「清盛もしてたあれやん」と納得していたこと。
そう、それです。
なんとなくそのことが面白い。

白黒の碁石もある。石英から拵えられた白。
また、これらを楽しむ為の台たる木画紫檀双六局もあった。
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手の込んだ美しい装飾がなされていた。


遊戯だけでなく、音曲の楽しみも味わわせてくれるもの二つ。
螺鈿紫檀琵琶とその紅牙撥鏤撥。
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紫檀の表面に鏤められた螺鈿。なめらかに白く輝く。
そういえば正倉院にはいくつの楽器が収められているのだったか。

花鳥背円鏡 可愛い。銀色なのは修復のおかげなのか。ちょっと忘れてしまった。
近年唐代の可愛らしい鏡をよく見る機会に恵まれているが、その仲間のひとつがこれなのだ。
そう思うと、時間と距離とが不意に親しいものに感じられる。

銀平脱八稜形鏡箱 これも本当に親しいキモチをもてる宝物である。
なかなか人気なので現れることも多く、それが嬉しい。
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鉄製の薄板がある。打楽器。春秋戦国の時代からこうしたキーンキーンと美しい音色を響かせる打楽器が人気だったようだが、無論これはその音色を聴くことは出来ない。

密陀彩絵箱 綺麗な絵柄と塗りで千年以上前のものとは思えぬ保存のよさを感じる。やっぱり漆は強い。
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小さな刀子がいくつか。拵えの優美すぎるものを見ていると、これは後世に修復したのかと思ったり色々。
沈香の鞘、水角の鞘、紫檀螺鈿の柄に犀の鞘・・・様々な素材に沿う美しい拵え。

巨大な靴下があった。可愛い。緑と赤のシマシマが見える。舞楽のときに使われるような形をしている。
見ていると隣のカップルの彼氏が「これて絶対履きにくいで~」彼女が無視すると、いきなりわたしに「ねっ!そう思いますよね!」わたしは黙って笑いながら頷いた。

雑帯というのがある。何に使用されたか知らないが、バーバリーぽいようなチェック柄で、なかなかシックでいながら華やかである。
こういうものもいい。今でも使えるだろう。

丹とその袋があった。紙袋の外にまで色が染みている。
丹や水銀は永久に変らないものなので、もっと前の時代にもよく使われている。
その丹を大事にして、各地にそれに由来する神社などもある。

犀角杯は経年による色の変化が美しく、薄い飴色にも見えた。不透明な美がそこにある。
形を見ているとジュンサイの葉のようにも見える。

銅製の薫炉がある。吊り下げ型でこぼれない工夫のされているもの。
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これは既にこの時代には形も性能も決定されているのだ。

紫檀小架 何を架けたのかはわからないそうだが、小さい。まるでお人形のための刀架けにも見える。
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五月一日経 シメに日時があるのでこの名もついていた。
なかなか素敵な書である。

称徳天皇勅願経が力強い書体で、見ていてこちらの気合も入ってくる。
これは父母追善のために写経させたもの。

毎年のことながら古代の宝物を堪能させていただいて、本当に嬉しい。
関西に生まれてよかったとつくづく感じるのは、秋であるが、その要因のひとつにこの正倉院展があるのだった。


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