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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

描かれた 故事・説話の世界

頴川美術館の秋季展に出かけた。
18点の絵画と3点のやきもので構成されている。
「描かれた 故事・説話の世界」
そのタイトルで鎌倉から明治までの作品が集っていた。

光忍上人絵伝断簡  鎌倉時代 役行者が岸和田に神於寺(コウノジ)を開くために、地の神様に挨拶に出向いている。いつの時代も建物を拵えたり引っ越したりするときは、ご近所づきあいを大切にしないといけない。
地の神様は「地主明神」と説明にある。どのような交渉があったのかは、絵の中央の二人を見る限りではわからない。なにしろ穏やかな雰囲気にも見えるから。
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左には役行者の従者である前鬼・後鬼がいる。不動明王のセイタカ・コンガラみたいな二人組で、色白の方が可愛い。そしてそのすぐ下で異時同時に色白さんが手の上にフクロウらしきものを乗せているのがまた面白い。
もっと綺麗に見えたらいいが、剥落がやや強いのが惜しい。
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寒山図 可翁 南北朝 一人だけの図だが、右向きなので、左幅なのかもしれない。
右手の人差し指を天に向けて立ち尽くしている。靴の下にはなにやら牙のようなものもついている。

鍾馗抜鬼眼睛図 祥啓 室町時代 いやにイキイキしている。一見したところ鍾馗が鬼とワルツかソシアルダンスでも踊っているように見える。
ところがよく見れば、鍾馗は鬼の顎を片手で掴みつつ、もう片方の指で鬼の眼を抉り出そうとしているのだった。鬼は軍扇を腰に挟んでいるが、その引けた腰などが却ってステップを踏んでいるようにも見える。妙に明るく見える一枚。

布袋・獅子・猫図 狩野探幽 1665年製作だとある。真ん中の布袋はさして気にならないが、まず右の獅子が可愛い。青獅子で、白牡丹を前額にかざし、カメラ目線で逆立ちしている。
左の猫は白地に斑の奴で、緋牡丹のそばで耳を両方とも水平に伸ばしながら寝ている。寝ながら会話を聞くような耳である。麝香猫だというが、もっと俗っぽい面白味がある。

豊干図 長谷川等雪 大きな虎が香箱を作ったその上に、豊干が座している。虎は蹲りつつも目を開けていて、タイヤのようなその胴が可愛い。

松竹梅図 池大雅 左の竹は弾琴図であり、中の松は室内で書を見るものをのぞくように広がり、右の梅は宴会の最中で、小僧が料理の味見をしたり。
松竹梅プラスアルファの和気藹々な図である。

秋山樵父図 呉春 鹿が少し小高くなった丘で啼いている。その声を耳にしつつ、杣道を行く二人。うまい構図だと思った。深くなった秋をひしひしと感じる。

南北極星愛鹿図 森寛斎 山中で、寿老人(南極星)と玄天上帝(北極星)の出会い。お出迎えに来たらしい。白鹿たちがその間に大量発生している。懐きやすいらしく、老人たちにそれぞれスリスリしている。鹿たちの可愛さがこちらにも伝わってくる。
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隻履達磨図 岸竹堂 片足クツのみ持って佇む色黒達磨。眼も大変鋭い。

他に道八のやきものが二つ。道八だろうと思いながら近づくとアタリ。嬉しい。

大掛かりな企画展ではないが、こうした楽しみをしみじみ味わわせてくれる、いい美術館なのだった。
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