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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ストラスブール美術館展

静岡市立美術館へ「ストラスブール美術館展」を見に行った。
横須賀美術館の巡回で、関西にくるかどうかは知らない。
うまいこと静岡県美の見たい展覧会と期間が重なったのもあって、出かけた。

モダンアートへの招待、という副題がついている。
静岡市美はおしゃれな美術館なので、そういうのもいいなと思いながら会場に入る。

1.象徴派
ロセッティ 解放の剣にキスをするジャンヌ・ダルク zen911.jpg
絵だけを先にチラシなどで見ていて、てっきり男性だと思っていた。のどの形や顔の輪郭など。
しかし間近で見ると確かに女性的な美しさも見出せる。とはいえ、性別を越えた凛々しい美しさと中世の装飾の美がそこにある。
ロセッティはやはり魅力的な絵を描く。

ゴーギャン ドラクロワのエスキースのある静物 それは楽園追放のイブ。
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瓶やりんごなどがみえる。二層的な面白味を感じる。

カリエール ガヴリエル・セアイユと娘の肖像 父親の膝にもたれる幼い娘。おしゃまな娘。けぶるような画面、フィルターがかかっているような。しかしもどかしさはなく、遠い日の追憶のような。

カリエール アンリ・ロシャフォール リトグラフ。黒い中に靄のように浮かび上がる白い顔。いつも思うことだが、カリエールの絵には寒い日に飲む暖かなミルクのようなものを感じる。ぬくもりはすぐに薄れ、寒さは続くのだが、暖かな記憶は残る。

エミール・オルリック フェルディナント・ホードラー 髭のオジサンを斜め後から捉える。オルリックの木版は日本を舞台にしたものなら見ているが、こうしたものは初めて。

ドニ 室内の光 カラフルな室内。家族のいる景色。妻や娘ら。明るく入り込む光。りんごがあり、またマーガレットを持つ娘もいる。背後の壁にかかる絵には、シマシャツの子どもと洋ナシとトカゲらしきもの。
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ドニ 海辺の母子像 こちらも室内から。背後に海が広がり、ヨットが見える。母が赤ん坊にキス。茶色と草色だけで構成されている。
ドニはカラフルな作品が多いが、色数が少なくともどこか暖色系の豊かさを感じる。
カリエールもドニも家族の肖像を多く描いたが、好対照な世界。

エルノスト・ランカー 母親の死 青ざめた身体がそこにある。薔薇が置かれていてもそれは死者への悼みのためのもの。その女に寄り添って寝そべる子ども。彼女の枕元には黒い翼を持つ甲冑をつけた騎士と、くすんだ緋色のマントをつけた骸骨が立つ。
足下には自ら茨の冠をつけようとする男児がいて、その背後には薄い布を身体に巻きつけただけの少年が蝶を追っている。
この百年前の絵からは何を読み取ればよいのだろう。答えは見つからないままだ。

2印象派からフォービズムへ
シスレー 家のある風景 のんびり和やかな風景。野に立つ母子らしき影。平穏な時間。

ルノワール ピン留めの帽子 リトグラフ。この作品は随分人気があるようで、ほかの所蔵品でもよく見かける。モノクロ版画でも優しい色彩を感じるような、二人の女子のいる風景。

ルノワール 母子像 百年前の母子像。リトグラフだが、初見。そしてこの母子は丸木俊の母子のような趣がある。丸木俊にルノワールを感じたことはないのだが。

ロタール・フォン・ゼーバッハ ウジェニー・ランドルトの肖像 小さな少女が階段に腰掛けてこちらを見る。グレーのワンピースという、ちょっと大人っぽい姿で。
地元アルザスの画家。カールスルーエで学び、ストラスブールに住まい、名声を得て、やがてアルザスがフランスに返還されると申請して、フランス人になった。

アンリ・マルタン 古い家並み 明るいオレンジ色が目を惹く。好天の日。点描で構成された世界。

マルタン 雪化粧のパリ 雪景色は白だけでは表現されない。薄紫が広がることで、白い屋根が見えてくる。
テンポのいい作品。zen912.jpg


ジャック・エミール・ブランシュ ランヴェイユ夫人の肖像 肖像画作成で著名な画家で、プルーストの肖像も描いているそうだ。 この婦人はパリで日本美術を扱っていた。手に持つ扇子もそれ風。どことなくマネを思い出した。

シニャック アンティーブ、夕暮れ チラシに選ばれたもの。船、山、海。人々もいる。チラチラしない点描。
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ロートレック マルセル・ランデール嬢の胸像 いつもの横顔がある。ストラスブール美術館も「これを持っているぞ」というところなのか。

ボナール テーブルの上の果物鉢 りんごらしきもの・ブドウ、バナナぽいものがあるが・・・ちょっとわかりにくい。
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ヴラマンク 都市の風景 ドラマチックな風景。白くて汚れていて、という壁が見える。
どうしてもヴラマンクを見ると、佐伯を思い出し、ひどいな~と思うのだった。
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3.キュビズムとエコール・ド・パリ
ボーシャン 風景の中のカップル 1927年。洞窟がある。そこに女と道化師風な男とがいる。わかるようでわからない。

レジェ アコーディオンを弾く子どもと家族 シルクスクリーン。赤の背景に二人の女が立つ。そして父か母かもわからぬ腹の上で子どもがバイオリンを弾く。わからない・・・

ピカソ 編み物をする女とそれを見る人 1970年。元気なピカソ。グレー地にピンクの肌。これもわかるようでわからない。

要するにわたしはキュビズムがあんまりわからないのだ。

ローランサン マリー・ドルモアの肖像 このモデルは作家や建築家らの愛人だったそうだ。誰の、ということは説明になかった。紺色の服を着た女のバストアップ。柔らかな顔立ち。
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ローランサン ブーブー、帽子の若い女性 黒目がくっきりしている。唇もぼってり厚い。
時折ローランサンの描く女の中に、岸田今日子を思わせる姿があるが。これはまさにそれ。
妙な魅力があるのも共通している。

4.両大戦間期の写実主義
解説があった。写実主義はもともとドイツにその傾向がある、と。
アルザス=ロレーヌ地方は普仏戦争の関係でドイツ領になりフランスに戻りという歴史がある。その影響なのか。

ヴァロットン 水辺で眠る裸婦 洲で眠る裸婦。ずっと向こうではボートを漕ぐ男たちがいる。植物は鎌首をもたげている。ここに性的なメタファを見ないといけないらしい。
ヴァロットンのフルカラーの絵など、今回これが初めてだった。
びっくりした。

ギュスターブ・ストスコプフ オーベルゼーバッハの衣裳を着たマルタン・ズィリオックス 1943年。確かに写実、なるほどリアル。

アンリ・ベッケ A嬢の肖像 1931年。リアルな女が振り返る。パーティに出ていたのか、白いファーに赤い薔薇が一輪、緑の手袋。金髪で断髪なのはモダン。白と黒のドレスを着て、小気味いい。・・・O嬢とは違うタイプ。

5.抽象からシュノレアリスムへ
ビカビア 女性の肖像/不思議な手 女性は官能的過ぎ、手はわけがわからない。

ヴィリー・パウマイスター 黒と青の竜 ああもぉわからない・・・

マグリット 旅の思い出 裸婦のトルソに近いものがある。そして山がある。断ち切られた何か・・・

ヴィクトール・ブラウナー 沈黙への入門 1959年。「あっ壁男!」思わず声を挙げた。
縦に線が走り、両目があり、口がある。
壁男と言うても諸星大二郎の「壁男」ではなく、富樫義博「幽遊白書」に出てくる「壁男」。異次元につながる壁男のその顔にそっくり。

6.1960年代以降、コンテンポラリー・アート
ジェラール・シュロッセール それは彼 1978年。リアルすぎる。ベッドの上にうつぶせる女。三尾公三のような。

A.R・ペンク システムビルド 1967年。記号的人間ぽい。なんとなくSMのような。

モダンアートはわたしにはやっぱりわからない。いやコンテンポラリーは、というべきか。
アタマの構造の問題なのか、正直見ていても何のことかわからないのだ。
しかしエコール・ド・パリまでは楽しかった。

12/16まで。
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コメント
No title
ごぶさたです。
県美、市美と同じものを観たようですね。
特に県美は良かったです。
静岡は初でしたが、交差点のメロディには笑いました。
ふと気づくと歌っている自分に。
富士山、おし過ぎです。

私は、名古屋城で障壁画を観て、ついでに県美とボストンによって1泊した後にこちらに。
多分、関西には来春の山楽・山雪のときに行きます。

では、また。
2012/12/02(日) 17:06 | URL | ベンゼン #-[ 編集]
お元気そうでなによりです
☆ベンゼンさん こんばんは

静岡、最近スゴーく力入った展覧会が多いと思いますね。
特に県美はもぉほんと、すごい。
名古屋のボストンは東京のときとはまたちょっとばかりラインナップ違うと聞きました。
駅と直結で行きやすいですね。

京博、新館が出来るまで特別展だけですが、こちらもいい企画が多いですよね~~
2012/12/04(火) 01:07 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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