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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

1月の東京ハイカイ

既にいくつか展覧会の感想を挙げているが、先週末東京にいて、それらを見て歩いた。
常々「ハイカイしている」と自称しているが、今回はハイカイどころかあやうく漂流、いや遭難しそうになった。
14日に東京を離れ帰阪したのだが、その14日の雪に負けたのだ。
17日の今日までもまだ足下があまりよくない状況が続いているそうで、皆さん大変だと思いつつ。

11日は朝の間は仕事をしていた。昼からのぞみに乗って東京へ出たが、随分と快晴で富士山がやたらと綺麗だった。しかし眠いので寝ていると、もう夕暮れになった頃に到着。
重たいキャリーを持ったまま上野へ直行。
上野では金曜日だということで西洋美術館も夜間開館中。喜んで中へ入る。
なお展覧会の感想はまた別に仕立て上げる。

「手の痕跡」 ロダンやブールデルの作品が集っていた。
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'89年の秋にここで「ロダン 地獄の門」展を見たことを思い出す。そして近年には「ロダンとカリエール」展もあった。
誰のエッセイか忘れたが、外国の美術館で監視員の眼を盗みながら秘かに彫刻のあちこちを触る、そんな秘密の歓びを持つ男の話があった。
確かにロダンやブールデルの彫像を見ると、そうせずにはいられなくなる欲望に、わたしも駆られる。

版画室ではクリンガーの連作3作が出ていた。「手袋」やギリシャ神話の「変身物語」クリンガー版などである。これが非常に面白かった。
もともとクリンガーが好きなので喜んで見ていたが、殆どクリンガーのジョークというかパロディ精神にウケて、なまじ綺麗な絵だけに笑いが止まらなかった。

さてその後に蛇行する森の道(!)を抜けて東博へ向かう。
「円空」展の内覧会である。
この内容については昨日感想文を挙げたので、どうぞそちらへ。

機嫌よく見終えてホテルへ向かう。駅を降りるといつも「閉店セール」している店が今日も元気にセールをしていた。

二日め。
再び東博へ向かう。並んで入場して、そしてイベントにも参加する。
円空展のためにやってきた飛騨のヒトビトとさるぼぼちゃんと白サルのキャラである。
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「飛騨の酒」はおいしかったが、寒い国だけにちょっと辛口。甘酒がおいしい。すごくおいしい。うむ、おいしい。
これは枡ね。IMGP1046.jpg

菰樽トンカチでカコーンッとかちわっていた。いいねえ。
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東洋館リニューアルオープンが凄い凄いというのは聞いていたが、実際自分がその空間に佇むと、その凄さというものがそくそくと感じられる。
長く楽しんだ。

本館もじっくり眺めたが、途中で時間が気にかかり、ある程度はしょりだしたとき、一階のやきものを見ていないことに気づいて道を戻ると、ピカッと光るものがある。
ノンコウでは?と急いでそこへゆくと、やっぱりノンコウではないか。
黒樂のキラキラした茶碗。IMGP1111.jpg
隣には長次郎のシブい黒樂があるが、申し訳ないがノンコウの黒樂ほどには惹かれない。
ああ、やっぱりノンコウはいいなあ。

出てから言問通りを越えて弥生美術館へ。
今年も会員として楽しませてもらうのだが、びっくりしたのは三階の上への階段室から歴代ポスターが撤去されていたこと。
あああ・・・22年ほどここへ通っているが、こんな日が来るとは思いもしなかった。
濱野彰親の挿し絵。非常によかったし、今も現役なのがいい。
華宵のモガ、夢二の旅の絵も楽しみ、再び根津へ。

山種美術館の高山辰雄・奥田元宋を深く眺める。
高山の連作「聖家族」を見るのは20年ぶり。所蔵する小川美術館で展覧会を見て、感動したのだ。そして「坐す人」がある。
これらを見るまでは高山辰雄がとてもニガテだった。
こうした出会いがあるからこそ、わたしはいつまでも展覧会に出かけるのだ。

静かな感動に浸りながら再び駅へ戻り、今度は写真美術館にゆく。
若手写真家の人々の作品群と北井一夫の回顧展とをみる。
菊池智子という写真家の、現代中国でのゲイの人々を捉えた連作ものに深い興味がわく。
写真の色彩設計はクリストファー・ドイルのそれにも似ている。
捉えられた人々は誰もが深い孤独を抱え、それを隠せずにいる。
言葉にならない切なさがあった。
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北井の写真のうち、学生運動を写したものはわたしには遠すぎて、早く通り過ぎてしまいたくなった。
しかし1980年の新世界を捉えた連作を見て、わたしは声を上げそうになった。
昭和55年の新世界の街角である。
わたしはこの年のことをかなりよく覚えている。丁度中二の年で、あまりに毎日が面白すぎて、それをそのまま捨て置くのが勿体無くて日記に書き始めた年なのだ。
その当時のわたしは時代の「最先端」の楽しみを享受していたのだ。
しかしここにあるのは、わたしの知る時代とは全く無縁な、どう見ても戦後しばらく頃の風景だった。簡易宿泊施設のある町、野球で遊びつつもその道具も持たない子どもたち。
非常に衝撃を受けた。

サントリー美術館ではフィンランドのデザインを見た。シンプルで綺麗なガラス製品などである。緑色のボウルが特にわたしの眼に残った。
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撮影してもいい空間があり、時折パチパチ撮ったが、機械という他者を通したものより、自分の眼で見たものの方が綺麗だった。
プロの撮った写真ならまた別かもしれないが、自分の腕だと眼の方が上なままである。

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江戸博に入る。夜間開館日なので出来たことである。
尾張徳川家の至宝をみる。
幸いなことに空いていたのでのんびり見て回る。名古屋の徳川美術館に収蔵されているものたちとの再会になる。
「源氏物語」の「柏木」、調度品の「初音」など見るべきものは多いが、いずれもゆっくり眺めることが出来、嬉しい。

銀座松屋に行き、観世宗家展をみる。昨年片山家の能装束や面などを見ているが、今回は宗家のもので、世阿弥の風姿花伝なども展示されている。
能面も現代に出来たものはやはり現代風な顔立ちだった。それは特に少年の面に著しく現れている。弱法師、慈童など。女面では笑いを含んだ「棹差し」が特によかった。
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東銀座のさるコンビニではいい感じの女子店員がいて、この子が勤務するならまた来ようと思ったりもした。

三日目。
朝から横浜へ行く。
ユーラシア文化館で「華麗なるインド神話」展を見た。ほんと、面白すぎる。
この感想も既に挙げている

そこから開港資料館へ向うと、10時半の鐘の音が鳴っていた。近くの教会である。
十年ほど前にその教会へお邪魔したとき鐘うちのヒトと話したことを思い出した。
ここでは横浜の起業家の事跡を集めていた。高島町の由来となり、後には高島易断まで立ち上げたヒトのエピソードが特に面白かった。

神奈川歴博では勝坂縄文の展覧会があり、これがまた面白すぎた。
キャプションがいい。こぶりな女体像を「ちびーなす」と名づけたり。現代の陶芸作品のようなミミズク面もあったりで、本当にジョーモン万歳!な心持になる。

そうそう、久しぶりにこのにゃんこさんにも遭うたが、兄弟猫もいるのは知らなかった。
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こちらは二度目のやきで、初めて焼いた兄さん猫はもっとワイルドだったw

ハマ美では「はじまりは国芳」後期展を見る。感想も挙げている。
それにしても好きな作品が集まる展覧会は、やはりとても楽しい。

そごうで「エリザヴェート皇后」の展示を見てから北浦和へ向う。
キレイすぎてついてゆけない。王族のひとのエキセントリックさはやはりスゴイ・・・

ベン・シャーン展に感銘を受け、それを形に現すのにはちょっと苦労した。
またうらわ美術館の「日本オブジェ」にはクラクラした。
どちらも感想を挙げている。

浦和から帰ってきて、駅の前にある、いつも閉店セールをする店の前に来ると、本当に閉店しようとしていた。
そうか、本当だったんだ・・・なんとなくせつなくなる。

この日は一日中なんとなくあったかかった。

四日目。ニュースでは「雨か雪」と言うてたので高をくくっていた。
大雨の中、まず五島美術館へでかけた。
地下鉄でずっと寝ていて、田園都市線に乗り入れてからも寝ていて、二子玉川のホームに向う瞬間に目覚めると、一面銀世界である。
「トンネルを抜けると雪国だった」が目の前にあった。
ビックリした!!

五島のある上野毛は人通りも少なかったのでサクサクと雪を歩けたが、駅前では滑りそうになった。
予定変更する。
まず日本橋へ帰った。やっぱり雪である。
三越記念へはぬれなくてすんだが、風の冷たさは尋常ではない。
つづいて出光へ。
ここだけはどうしても地上へ一瞬顔を出さねばならない。
たった十秒ほどの間にわたしが見たものは、丸の内で雪かきをする人々だった。
ほんとうにここは丸の内か?
たいへんビックリした。そのとき友人からメールが入り、その意見に従うことになる。

出光でオリエント美術を楽しんでから、また地下へもぐりこむ。
地上へ出た途端、深い絶望感に噛まれる。どうするのだ、このグジョグジョ雪。
それでもなんとか歩くしかない。
ホテルへ戻ってから、新幹線の予約を早いものに変更させる。友人からの忠告に従うことにしたのだ。
それで道路に出ると、タクシーなんか来ないし道はアウトだからキャスターを抱え挙げてわたしが歩くしかないではないか。時に午後3時半。
ホテルから東京駅までは徒歩も含めて20分でゆけるのに、たどりつけない。
総武線とまっているとかで地下鉄二つ乗り継ぐ。間違えて逆方向へ乗る・ついてからも凄まじい人ごみで歩けない・荷物を持ち続けたせいで手が震えて何も出来なくなる・・・!という状況でホームにやっと這い上がれたのはもう出発35秒前だった!

あああああ。
本当に苦しかった。
そしてその夜、無事に家へたどりついたわたしがネット社会に復帰すると、親切な人々の暖かなお言葉がたくさんきていた。皆さん、本当にご心配おかけしました。ありがとうございます。
今回は本当に雪に負けてしまったなあ・・・
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