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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

美は甦る 検証・二枚の西周像 高橋由一から松本竣介まで

2/9の朝いちばんに神奈川県立近代美術館の葉山館へ行った。
逗子駅からバスで延々と向かうのが正直しんどいのだが仕方ない。
すぐに館内に入らず、庭園を巡る。椿がもう咲いていた。
なにか妙な造形作品が展示されている。今までなかったように思う、人物像が二体。
一つは館の屋上に、もう一つは海に向かって立っている。
海風に吹かれて赤錆を見せる人物像は怖い。
たしかウルトラマンでもそんなエピソードがあったような。そうそう楳図かずおにもあった。諸星大二郎にもある。
海から来るものも怖いが、海に向かって異形のものが突っ立つのはもっと怖い。

海は波も静かだが、それでもサーフィンをする姿があった。
ぐるりと回って玄関へ向かう。
入った途端、凄まじい緊迫感にギョッとした。
なんだこれは。
来てはいけないのかと思いつつロッカーに荷物を置き、殆ど相客のいない展示室に入った。
「美は甦る 検証・二枚の西周像 高橋由一から松本竣介まで」
地味だが面白そうな展覧会だと期待してやって来ている。
リストがないのでメモ書きだからタイトルもちょっと不正確かもしれない。

ワーグマン 妻カネ なかなか可愛らしい奥さんである。らしゃめんとは呼ばせないぞという感じもある。

西洋童子羽織袴図 手に菊柄の扇子を持つ白人の坊やがにこにこ。異国の風俗を着せてみて喜んでいるようだ。

五姓田芳柳 明治大帝 お若い頃のお姿。この展覧会の翌日には明治神宮宝物室で明治天皇の装束などを眺める予定なのを思う。

キヨッソーネ 大久保一通 サーベルつきの肖像画。キヨッソーネは20年ほど前に展覧会があり、行き損ねたことが今も心残りである。

・・・途端、ここでびっくりすることが!!
なんと天皇陛下・皇后陛下の行幸・行啓に遭遇したのだっっっ!
それであの受付の緊迫感が理解できた!
うわーーーっだいぶ以前に大倉集古館へ向かう道すがら、SPの先導する車の次に美智子様のお姿を拝見したけど、あれはクルマ越しだった。今回は同じ空間にいるわたし~~~!
びっくりした!ドキドキしたわ~~
し、しかもなんと秋篠宮様が姫様と共にお越しに!そして観客が少ないこともあってか、わたくしにニコニコとご挨拶を下さったのだ!それもゆく角々でバッタリがあるたび「ああ、先ほどの」と言う感じで。
嬉しかった、本当に嬉しかったです。展覧会でこうした偶然の幸せな遭遇は、国際フォーラムでのスターウォーズ展のとき、ルーカス監督とヘイデン・クリステンセンの来場以来でしたわ~~♪
ご一家は葉山でご静養の最中においでになったようです。
美術好きなご様子がとても伝わってきました。

・・・まぁそういうわけで、ドキドキが大きすぎて、この辺りの展示がどんなだったか記憶が飛んでるのだった。

ところでこの展覧会の狙いはサイトによると、
この展覧会は、日本洋画の父、高橋由一によるものと考えられる《西周(にしあまね)肖像画》が島根県津和野町にある太皷谷稲成(たいこだにいなり)神社から発見され、すでに知られている津和野町立津和野郷土館所蔵の高橋由一作《西周像》と比較検討するため、当館学芸スタッフが中心となって修復調査研究チームが組まれたことから生まれた企画です。
 今回、二点の西周像が約二年におよぶ修復調査を経て、見事に新しい生命が与えられたことを記念し、発表の場として展覧会を開催することにいたしました。
 本展は、津和野出身である明治の思想家・西周を描いた二点の肖像画に関する研究成果を核としながら、これら二点を高橋由一に描かせた、美学美術史、写真術に精通した旧津和野藩当主・亀井これあきにも注目して、二点が制作された謎に迫るとともに、近年当館で修復された岸田劉生、藤田嗣治、松本竣介などを中心に、明治期から昭和前期までの約60 名の画家による油彩画、水彩画約170 点を紹介します。保存・修復という作品の知られざる部分に光をあてることによって、近代日本美術の問題点をさぐり、新たなる発見を浮かび上がらせようとする展覧会です。
 なお、同時に2011年3月11日に起きた東日本大震災で被災した石巻文化センター所蔵の美術作品のうち13点の被害状況とその後の修復作業によって甦った姿を展示し、報告いたします。 」
とのことらしい。

その西周の肖像画を見たが、チラシと違い本物は、昔の500円札の岩倉具視に似ているように思った。←昭和の子どもやな~~

洋画の技法で明治の日本を描いたものも多い。つまり描く技術は日本のままで、道具だけ油絵ということ。

安藤仙太郎 日本の寺の内部 これは以前から好きな絵で、浅草寺がモデルかと思うが、にぎやかで、線香の煙まで感じられるような様子がいい。

五姓田義松 クリュニー美術館にて 茶色く描かれた親子がいたり、写生したりと言う情景を描いている。ここの一族は油彩画を描く、と言うことを職種にした最初の人々でもある。

不忍池 夕暮れの中、池で何かをする人々が描かれているが、それが何かはわからない。

中村不折 根岸御行松付近夜景 ぼんやりとランプの灯りが。明治の象徴の一つ・ラムプの灯り。

浅井忠による「新小説」の表紙絵がいい。「桜狩」桜吹雪の中に佇む女芸人。
川村清雄は芸妓、たけのこと水仙。

川村では他に戯画風な「三河武士騎馬突撃の図」があった。尤もこれはドーミエなどの仲間に近く、疾駆する馬の絵などはかっこいい。

松岡壽 工部大学校風景 ロングで捉える。手前に松ではないが何かの木がある。
松岡といえば中之島の中央公会堂の天井画「天地開闢」を思い出す。

久米民十郎 裸婦 堂々たるイタリアの裸婦。近年になり永青文庫からこの画家の艶かしい絵が出てきたときは、ちょっとしたショックだった。

久米では他にもエジプト風の「ラクダと従者/王妃たち」や不思議な「off ENGLAND」などがある。
ここにはこうして久米の作品が所蔵されていたのだ。

青木繁 真善美 好きな作品。それぞれの構図がいい。鉛筆画による。肩にいる孔雀、男女の間にある球体、球を回す男と嘆く女などなど。

山下新太郎 百合子像 美人の奥さんを描いた作品もいいが、可愛い子どもを描いたものもいい。机に向かう少女白地の浴衣を着ている。

南薫造 バーン・ジョーンズの模写がある。「ブルターニュのドリゲン」よく描けてる。

藤島武二 T氏肖像 1909ROMAとサインがある。横顔のT氏。髭を少し蓄えている。

このほかにも有島生馬、萬鉄五郎、中村彝、佐伯祐三らの作品が集っていた。
小出楢重、前田寛治もある。昨年ここで見た松本の絵もある。

珍しいのが高橋由一の息子・源吉の1894年の「東京市」のあちこちの様子を描いた草稿。
こういうのを見るのも面白い。絵として楽しむのではなく、記録として面白いのだ。

岸田劉生 寒山拾得 向かい合って座り込む二人。巻物は持たず筆で以って宙に素描を描く。金屏風に二人いる。とても可愛い。
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伊東深水と関根正二の絵が並ぶのもいい。仲良しさんの二人。


梅原龍三郎の二枚の絵が並ぶ。
「山荘夏日」と「熱海野島別荘」。IMGP2537.jpg

nec183.jpg


どちらも1936年に熱海の野島康三の山荘を描いたもので、わたしはどちらも非常に好きだ。
以前に世田谷美術館で福原信三と彼に関わった芸術家の展覧会があったとき、この絵が出ていて、とても嬉しかったことを思い出す。

人がいるか・いないか、それだけの違いなのだが、在・不在はそんなに重く考えなくてもよさそうで、色彩の明るさ・構図のよさ・夏日の空気感が素晴らしい。
やはりこの絵は梅原以外には描けないし、また梅原だからこその豊かさがある。
梅原の作品でも特に好きな作品である。


最後に古賀春江「サーカスの景」があった。
彼の絶筆である。とても好きな作品。

そして東北の震災で傷ついた作品が修復されていて、それらも出ていた。
やはり人の力による仕事が一番大事なのだった。
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