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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

當麻寺 極楽浄土へのあこがれ

當麻曼荼羅完成記念1250年記念ということで、奈良博で「當麻寺」展が開催されている。
「極楽浄土へのあこがれ」という副題が示すように、中将姫伝説を柱にした展覧会である。
展示替えが激しいので、色々見残したものが多いが、それでも二度ばかり出かけたので、その感想を書きたい。尤も展覧会は本日6/2までだったのだが。
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会場に入るとすぐ、「當麻寺」の扁額が眼に入る。
室町時代のもの。そして展覧会門司の両脇に釣り燈籠がある。寄進したのは今井町の人ということだった。二つともに透かしの入った綺麗な燈篭である。

第一章 當麻寺の草創と二上山麓の寺院
二上山に残照が映える光景のパネル展示があった。
こうした光景を見ると、自分が今立つ場所は夕刻過ぎの當麻寺の参道のような気がするのだ。誰の手による撮影かは知らない。
以前に入江泰吉先生の撮られた二上山の写真をいくつか見ている。
やはり夕陽の落ちる二上山は荘厳だった。
これが誰の写真であれ、こうして気持ちをその場へ連れ出してくれる力があるのはすごいことだと思う。

當麻寺の四天王像のうち、持国天像が立っていた。
立派な風貌である。このチラシの右に立つ姿がそれ。
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どこか異国の武人を思わせもする、剛直な風貌。

他界信仰ということを二上山から考える。
中将姫伝説と大津皇子の最期とを綯い交ぜにし、古代を現出させたような小説「死者の書」を思い起こす。
折口信夫のその小説を胸に思い起こしながら、さらに考える。

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展示品を眺める。
四天王寺にある金銅の骨蔵器をみる。しばしばどこかで見ているものだが、ここにあるということを想う。

當麻寺縁起をみる。室町のものとその百年後の寛永十年のものと、どちらも見た。
原本は土佐光茂の手による。美しく、哀しく、そして人の心に生きる善意と悪意とを写し取った名品である。

中将姫伝説は、継子いじめから世をはかなんだ姫が称讃浄土経を千巻写経したとき、二上山に沈む夕陽に阿弥陀如来の御姿を幻視し、そこから現身の御仏の姿を見たいと欲するようになる。そこへ不思議な老尼が現れ蓮糸を集め曼荼羅を織ることを勧める。また、いつ出現したのか織機が現れ、不思議な女が紡いだ蓮糸を織り出す。
これら「化尼」と「化女」とはそれぞれ阿弥陀や観音の化身した姿であった。
やがて尼僧となった姫は五色の雲に乗った菩薩たちに迎えられて、極楽往生を遂げるのだった。

第二章 平安時代のほとけたち
木造仏が多かった。またそれぞれ個性が強い。

倶利伽羅龍蒔絵経箱nec381-1.jpg
左右のセイタカ・コンガラが可愛い。

板光背が40枚も出てきたそうだ。すごい数である。
こういうものを見ているとぞわぞわしてくる。
そして台座残欠をみていると、不意にリカちゃん人形の磁石つき靴とそれ専用の台座を思い出した。確かにこんなには装飾はされていないが、とても似ていた。

可愛いのは前鬼・後鬼と伝承される尼藍婆・毘藍婆坐像。このコンビはエネルギッシュで元気そうでいい感じ。

第三章 中将姫の姿 極楽往生の夢・迎え講
実はこのお練が非常にニガテなのだった。

お練の仏像の面がある。完全なるかぶりもの。その時点で怖い。
そして来迎のときの仏の眷属たち25菩薩像が巧い具合に配置されているが、これがまた奏楽中のもの・踊ってるもの色々で、大変にぎやかである。

中将姫の法体の坐像がある。たいへん静かであり、また美しい像である。
かぶりものは布製。nec382.jpg


画像もある。こちらは大阪市立美術館蔵だととあるが、初見。綺麗な剃髪姿の尼僧である。

第四章・第五章で當麻曼荼羅の世界が開かれる。
どうも極楽というものは宇宙都市にも似ているように思えた。
いろんな曼荼羅があるが、やはりこの當麻曼荼羅は極楽アイランドもしくは極楽パークの楽しい案内マップに見えてしまう。

国宝である綴織の當麻曼荼羅はやはり凄い。
これをみていると折口信夫「死者の書」を基にした川本喜八郎の映画を思い出す。
藤原南家郎女による作画風景を。涙が出てきそうになった。

そして當麻曼荼羅厨子の扉があった。蓮池の絵がついた扉である。
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下には由縁の人々の名前がずらずらと書かれている。

後半は浄土宗、葛城の修験道、周辺地域、そして江戸時代の當麻寺と中将姫といった辺りが現れる。
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唐の善導大師像は久しぶりに見たが、やはり可愛らしい僧侶だと思う。
一遍聖絵も来ている。一人だけ長身色黒なので、それが遠目からでも一遍だと知れる。
天河弁才天と取巻きの童子たち、こちらは色鮮やかな絵だった。
十界図には可愛い犬の家族もいるが、基本的にコワい絵である。食物連鎖が描かれていた。

當麻寺もいいお寺だが、こうして眺めていると久しぶりにゆっくり訪ねたくなった。
そして「死者の書」の映画も見たくなった。
さまざまなことが胸に去来する展覧会だったように思う。
やはり奈良博はいい企画展が多い・・・
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