美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

国芳えがく「梁山泊の好漢たち」

今月の東博の浮世絵展示室では国芳えがく水滸伝の英雄たちの絵がドーンッと展示されていた。
寄贈の記念で展示。ありがたいことです。
サイトによると「平成24年度に江森早苗氏より寄贈を受けた水滸伝関連の浮世絵版画を紹介します。歌川国芳の出世作として知られ、幕末の水滸伝ブームを牽引した「通俗水滸伝豪傑百八人之一個」シリーズから選んだ38枚と、梁山泊を俯瞰的に描いた歌川貞秀の3枚続を展示します。」とのことです。

連作物でこれだけの数を一度に見るのは初めて。
素晴らしい。
わたしは子供の頃から国芳の好漢たちにときめき続けているので、本当に嬉しい。

水滸伝に熱中したのも国芳の絵を見てからだから随分と長い。
'86年に平凡社版の駒田信二訳による120回本を読んで熱狂した時も、そこにはもともとの挿絵があったが、それを見ながらなお国芳えがく好漢たちを観ていたのだった。
今日は浮世絵太田記念美術館「江戸の美男子」展感想もあるので、丁度いいラインナップだと思う。

以下、延々と続きます。

さてはじまりはまず「通俗水滸伝豪傑百八人之一個・九紋龍史進、跳澗虎陳達」から。
IMGP1610_20130718230937.jpg 九紋竜の史進は第一の人気者。
物語の中では大した活躍はないのだが、まだ少年の内から(後進と書いてわかいものと読む)その父・史太公により、彫り物上手の職人によって背中に煌びやかな刺青を入れられるのだ。
刺青は膚白く肉も乗っていないと美しくもなんともない。
雪白の膚にしてふくよかなる…という肉でなければ刺青はさすべきてはないのだった。

IMGP1611_20130718230939.jpg 智多星呉用
この人は戦略家で賢いと評判のキャラで、そのために絵にも地球儀と星とが描かれる。彼はその智を振るい占いもよくしたのだった。

IMGP1612_20130718230941.jpg花和尚魯智深初名魯達
蛸坊主で剛腕のめちゃくちゃな坊主上がりの好漢だが、120回本の最後に、大悟する。
その頃にはキャラの性格も多少変わり、思慮足らずだったのがそうではなくなり、やがて「潮信」を聞いて「円寂」するのだ。
108人の好漢たちの死のうち、彼の最期には深い感銘を受けた。

IMGP1613_20130718230931.jpg清河縣之産武松
「行者武松」。虎退治で名をはせたが、かれは「水滸伝」からのスピンオフ「金瓶梅」でも活躍する。稀代の悪女・藩金蓮により兄を殺され、そこから彼は梁山泊へ身を投じるのだ。
彼は最後には「不具廃疾」の身となり、そのため魯知深の円寂した寺に残り、修業して終わるのだ

IMGP1614_20130719002920.jpg黒施風李逵一名李鉄牛
李逵は色黒の暴れん坊で、トラブルメーカーだが、この男は純朴で、とうとう最後の最後まで「兄貴」と奉る宋江のために生き、そして死んでゆく。
宋江は自死する際に李逵を道連れにするのだが、毒を飲まされた李逵は涙ぐみながらも、兄貴の心に従うのだった。

IMGP1615_20130719002923.jpg小李廣花榮
弓の名人でこの人もわりと早いうちに登場している。

IMGP1616_20130719002925.jpg青面獣揚志
あだ名も名前もかっこいいが、どんなエピソードがあったか忘れた。

IMGP1617_20130719002927.jpg金鎗手徐寧
名人なのでちょっと動いたら鳥がパタパタ落ちる。国芳はその鳥が落ちるのを見る人々を洋風画で描く。

IMGP1618_20130719002917.jpg立地太歳阮小二
阮3兄弟の一人。立地太歳とはこれまたかっこいいあだ名なのだが、実は意味としてはかなりコワい。太歳は木星のことで、木星は不運・悪運をもたらす力があると言い、そんなのか立っているぞと言うほどの意味。
お付き合いは遠慮した方がいい。
とはいうもののこの顔!IMGP1619_20130719002950.jpg
ぞくぞくするなあ~~

IMGP1620_20130719002951.jpg短冥次郎阮小吾
上の人の弟。これまた怖い名乗り。命短くして冥途へ送るぞ、なくらいの意味。彼はまた水練の達者。

IMGP1621_20130719002953.jpg浪裏白跳張順
これぞ梁山泊百八好漢随一の水練の達者。わたしも大好き。雪をも欺く白い膚を青々と染め刻む。
張順は刺青の柄にもよく選ばれている。浪裏白跳の名乗りは泉鏡花「風流線」の水練上手・河童の多見次も使わせてもらっている。これからもわかるように、「風流線」は「水滸伝」にも影響を受けている。

IMGP1622_20130719002954.jpg活閻羅阮小七
三兄弟の末弟でこれまたとんでもない名乗り。活きてる閻魔王というほどの意味。

IMGP1623_20130719002948.jpg病尉遅孫立
色白過ぎてこんなあだ名になった人、のはず。

IMGP1624.jpg轟天雷凌振
ごらんのように大砲の名手。

IMGP1625_20130719003228fb6.jpg神醫安道全、母大蟲顧大嫂
梁山泊には神様のごとき医者がいる。それが安道全。そして女性の英雄もいる。顧大嫂の腕のけがを見る神医者。
顧大嫂は孫新の妻で夫婦は居酒屋を経営していた。梁山泊入りしてからも夫婦そろって活躍することが多い。

IMGP1626_20130719003230.jpg扈三娘一丈青
こちらも女性で、梁山泊入りするまえから武名の誉が高かった。たいへんな美人で、後に好漢の一人と婚姻し、最後の戦いではともに死ぬ。

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飛天大聖李袞

IMGP1628.jpg白面郎君鄭天壽

この二人、呼び名はれぞれかっこいいのだが、エピソードを忘れた。

IMGP1629_20130719003249dff.jpg操刀鬼曹正
なかなかっこいいのに、しまった、ブレてしまった。

IMGP1630_20130719003251.jpg旱地忽律朱貴
こちらも元・居酒屋亭主。この絵もかなり人気があり、わたしはわりと早いうちにこの絵葉書を手に入れている。
クールなところがかっこいい。

IMGP1631_20130719003253.jpg皷上蚤時遷


IMGP1632.jpg醜郡馬宣賛

108人もいると忘れてしまった人もいる、ごめんね。

IMGP1633_20130719003247.jpg母夜叉孫二娘
こちらも元は居酒屋を営んでいたが、メニューは人肉饅頭が有名。
とにかく中国の小説には人肉饅頭が出るので、ついつい「…一口だけなら」という気にさせられてしまう。
彼女は父から武芸を叩きこまれていて、あの武松を持ち上げるくらいの力持ち。
雪の中で大暴れ。絵としてもとてもかっこいい。

IMGP1634_20130719003716.jpg大刀関勝
凄い大きな青竜刀。それだけで説明がつく。
この衣裳がまたなんとも魅力的。

IMGP1635_20130719003718.jpg没羽箭張清
嫁さんの孫二娘よりずっと温和。馬の描き方に洋風画の味わい。

IMGP1636.jpg毛頭星孔明
三国志とは無縁です。それにしてもこのかっこよさ…!!

表情を見てだけでぞくぞくする。IMGP1638_20130719003721.jpg

IMGP1639_20130719003706.jpg獨火星孔亮、雲裡金剛宗萬
三枚続きの2枚だけがある。

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IMGP1642.jpgIMGP1641.jpg 
鎮三山黄信と矮脚虎王英の戦い
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次はきれいに残る三枚続き。
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IMGP1644_20130719003737.jpg赤髪鬼劉唐

IMGP1645_20130719003934.jpg玉麒麟盧俊義

IMGP1646.jpg撲天鴎李應、設遮欄穆弘

真ん中の盧俊義は浪子燕青の主人で、雪白の膚を持つ少年燕青に美麗な刺青をさせたのたった。
かれは平和になって後、燕青の忠告を聞かず都にとどまり、ついには暗殺されるのだった

三枚続き。IMGP1651_20130719004000.jpg

IMGP1648.jpg短命治郎阮小五
再び登場。これまたとてもかっこいい。
国芳の描く男伊達はたまらなくかっこいい。
ときめくばかり。IMGP1652_20130719004001.jpg

IMGP1649.jpg豹子頭林冲
最初に現れる好漢。この人は主人公の一人。最後は脳溢血をおこし、武松が面倒を見ることになる。
ただしその脳溢血も毒によるという噂もある。
来月の21世紀歌舞伎組の公演は彼を主人公としたもの。市川右近さんが演じる。

なかなか遊び心な文様。IMGP1653.jpg

IMGP1650.jpg摸著天杜遷

IMGP1654_20130719003956.jpg天目将彭玘

IMGP1656.jpg急先鋒索超

IMGP1657.jpg井木犴郝思文

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おもしろい意匠いくつか。
とら?ですか・・・IMGP1661.jpg

きつね・・・とか?IMGP1663_20130719231121.jpg

ゾウライオンかな・・・IMGP1664_20130719231114.jpg


最後に貞秀の「忠義水滸伝豪傑一百八人梁山泊集会官軍合戦図」
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やっぱりかっこいい!!!
ときめきがとまらないわたしです。




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