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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

和様の書 2

東京国立博物館「和様の書」展その2。

こちらは完全に鑑賞することに徹した。
書に耽溺する人が多いのもやはりこの界隈だったかもしれない。
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第4章 高野切と古筆
平安時代の文化を考えるうえで、書と言うものの重要さは我々の予想以上の存在感を持つものではないだろうか。
とはいえそれはあくまでも貴族階級に限られており、庶民には無縁なものだったろうが。

石山切 伊勢集 伝藤原公任 徳川美術館   なによりまず見栄えのするところが好き。

和歌(詩)と書と音曲。中世の世界は洋の東西を問わず、その三つを大事にした。

古今和歌集 巻第二十(高野切) 伝紀貫之 土佐山内家宝物資料館  ああ、これが。しかしなによりもこの作品を所蔵する先を見て、そうしたところがあったのかと知る。
ほかにも「巻第一巻頭(高野切)」五島美術館、遠山記念館の作品が今回出てくる。
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雲紙本和漢朗詠集 源兼行 宮内庁三の丸尚蔵館 上巻  分かりやすい漢字の連なり、漢文。その隣にやさしい流れを見せる仮名文字。
わたしはこのひとの仮名は好ましいと思った。

倭漢抄下巻 伝藤原行成 陽明文庫 下巻上  仙家より山家のあたりが綺麗だと思う。

元暦校本万葉集 巻第一 東京国立博物館 巻第一   ああ、これは読める。読めることでどんな状況かもわかる。天智天皇、天武天皇、額田女王のいる風景。
戯れ歌なのか、兄への揶揄を含めたいやがらせなのか、本音なのか、天武天皇のあの歌が仮名で書かれている。その前には額田女王の「あかねさす」がある。
目に見えてくるような文字の流れ。

粘葉本和漢朗詠集 伝藤原行成 宮内庁三の丸尚蔵館 上  料紙がまた綺麗。亀甲柄に梅。その上に行成の雅な字が流れる。

和漢朗詠集 巻下(太田切) 伝藤原公任 静嘉堂文庫美術館   これも綺麗。「述懐」がいい。「命」「父」といったあたりもよく、言ベンとシンニョウがとてもいい。
しかし「上」の字はちょっと抑制が利きすぎていて、わたしなぞは不自由な心持ちになる。

古今和歌集 巻第十二(本阿弥切) 伝小野道風 京都国立博物館  これはその料紙の美麗さにドキトキした。紙ではなく布なのかと思う。解説を読むと「布目打ちの後、白具引きを施し、夾竹桃の型文様を雲母で摺りだし優美な舶載の唐紙を用いている」そうだ。
角度を変えると夾竹桃がきらきらと浮かび上がってくる。
あまりに綺麗なので何度も何度も往来して眺めた。
なおこの「本阿弥切」は光悦が所蔵していたことからその名が付いたそうだが、光悦もさぞや楽しくこの巻物を眺めたことだろう。

古今和歌集(修学院切) 伝藤原公任筆 9葉(一式のうち)  3葉ずつ展示。初公開。
これは可哀想に汚れがある。そういうこともあって、これまで未公開だったのだろうか。いや、そうではなく戦後すぐにアメリカへ渡り20年前に帰国したそうな。

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第5章 世尊寺流と和様の展開

本願寺本三十六人家集 貫之集上:藤原定実 西本願寺   これを見ると某和菓子屋を思い出す。その店はこの料紙をモデルにしたものを包み紙にしているのだった。


古今和歌集 序(巻子本) 藤原定実 大倉集古館   これは数年に一度、大倉集古館で展示されるので、なんとなく親しみがある。つい最近も見たように思う。料紙を次々変えてゆき、書体はそんなに変わりはしないものの、見る者に新しい心持ちをもたらす。
とても好きな巻なのだった。

唐紙和漢朗詠集切 藤原定信 京都国立博物館  表具の獅子が可愛い~。字はやや大きめに思う。間の取り方がとてもいい。

善無畏金粟王塔下感得図(両部大経感得図 のうち) 書:藤原定信 画:藤原宗弘 保延2年(1136)頃 藤田美術館  東博で見てもやはり暗い絵。藤田美術館のお蔵展示室の中で見たときもよくわからないままだった。

熊野懐紙 「深山紅葉・海辺冬月」 後鳥羽上皇 建仁元年(1201) 陽明文庫   
後鳥羽上皇はかなり好きだ。この人は剛毅なひとで体も立派で、両手の朱の手形を見たときもびっくりした。めちゃくちゃ力強いのだ。かっこいいな~
島流しされた後の和歌もいい。
さてここにある熊野懐紙は行幸したときの歌会のもので、展示されている家隆や寂蓮だけでなくほかにも残されている。
上皇は最後に藤代王子の和歌会で作ったものだと日にちも入れている。
とにかく力強い。あの手形の親指を支える肉のふくよかさを考えても、本当に強力なひとだったのがわかる。

熊野懐紙 「古渓冬朝・寒夜待春」 藤原家隆 正治2年(1200)
熊野懐紙 「古渓冬朝・寒夜待春」 寂蓮 正治2年(1200)
どちらも陽明文庫。写しではなく、それぞれが歌会に参加してこのタイトルで詠んで書いたもの。
同年の飛鳥井雅経のも出ていたが、こちらは東博所蔵。

平治物語絵詞 六波羅行幸巻 詞書:伝藤原教家 東京国立博物館  ああ、牛がいる。妙にリアルな後姿。馬も働く。この世に残る全ての平治物語絵詞を一度に見てみたい。

四季草花下絵和歌巻 本阿弥光悦  あまりに綺麗でびっくりした!!これはこの展覧会でいちばん胸を衝かれたもの。
林に始まり様々な花が現れ、ついには千鳥が飛び立ってゆき、そして林に戻り全ては終わる。音楽的な流れのある下絵だった。書はその絵を通り過ぎる影のように見えた。
これは個人所蔵なので8/4までに見ておかないと、次に見る日が来るかどうか。

和歌六義屛風 近衞信尹 陽明文庫  6曲1双いっぱいにものすごく大きな闊達な字が躍る!さすが信尹!前に見たときと同じく、胸が明るくなった。

舟橋蒔絵硯箱 本阿弥光悦 東京国立博物館   やっぱりこういうのが出て来ると和む。

信尹は文字で人物画を描いた。
柿本人麻呂と渡唐天神像が有名。前者は8/4まで、後者はその後に出てくる。
大和和紀の作中で、小野のお通にあてた手紙に天神像を描き、秀吉の妨害に遭おうとも関白になる、という意思表示をするシーンがある。
石田三成もその彼らの意図を読み取れない、という設定だった。

龍虎二大字 後陽成天皇 東京国立博物館   力強い!字が虎や龍になり暴れだしそうだ。

三十六歌仙帖 近衞信尹 東京国立博物館  たまに常設で出たりすると喜んで見る。もし勘違いであっても、やっぱりどこかで見ている。いいなあ。大好き信尹。

色紙貼付桜山吹図屛風 書:伝本阿弥光悦、画:俵屋宗達 東京国立博物館   これもこうした場におかれると、イキイキしているように見える。

宝蓮華 近衞家凞 陽明文庫  そういえばこれを見て思ったのが、家煕の作品はこれだけだったということ。書そのものより、それを飾るほうが巧いからだろうか。

いろは屛風 貫名菘翁 安政元年(1854)  遠目に「あ、民藝の人か」と思ったら貫名菘翁だった。わかりやすい大きな字だった。

盆明けにまた見に行くが、いいものをたくさん見ることが出来てとても嬉しかった。
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